第2章 コロンビア-経済・投資環境

経済環境

経済動向

コロンビアは南米における地域大国で、人口はブラジルに次いで2番に多く、経済規模もブラジル、アルゼンチンに次いで3番目に大きな国です。長らく反政府武装ゲリラによるテロや、麻薬カルテルによる抗争などが足かせとなって、経済が停滞していましたが、2002年ウリベ政権以降に経済成長期に入り、2010年サントス政権に引き継がれました。
両政権下において、石油の輸出拡大と、旺盛な国内消費によって好調な経済を続けてきましたが、2014年以降は、国際原油価格の暴落、米国の金融緩和縮小、中国経済の減速といった、世界的なマイナス要因に直面しています。しかし、安定した財政とマクロ経済運営、力強い内需によりコロンビア経済は底堅さも見せており、低迷する新興国の中にあって、もっとも注目されている国の1つとなっています。

■GDPと経済成長率

1990年代後半から2000年代前半にかけてのコロンビア経済は、反政府武装ゲリラによるテロなどによって低迷していました。しかし、2002年にウリベ政権成立以降、反政府武装ゲリラの本格的な掃討作戦が奏功し、治安が劇的に改善されました。また、国有企業の民営化などの規制改革も進められました。それにともなって、外国投資や個人消費が活発化し、経済は成長軌道へと向かいます。
2006年、2007年には6%台の高い成長を遂げました。リーマンショックの影響で一時減速しましたが、活発な投資によって進められてきた石油や石炭など鉱物資源の増産と、世界的な資源価格の高騰が重なり、2011年には再び6%台の高成長をマークしています。
その後、世界的な景気後退が進む2012年~2014年にも4%台の堅実な成長を続けてきました。しかし、2014年後半に国際原油価格が急落し、景気は急速に冷え込んでいます。コロンビア経済は一次産品依存度が高く、石油・石油関連製品は輸出の5割、歳入の2割を占めるため、その影響は非常に大きいと言えます。
2015年の成長率は、3.1%(コロンビア中央銀行 速報値)、2.5%(IMF予測値)とされており、2016年は2.8%(コロンビア中央銀行)、2.8%(IMF)と低い予測がなれています。今後の原油価格の動向と、鉱物資源以外の産業育成の進捗が鍵となると見られています。
※2015年はIMF予測値
出所:IMF「World Economic Outlook Database, October 2015」
一人当たりのGDPは、この10年に約3倍になり、2013年には8,000 USドルを越え、
チリやブラジルなどに次いで中進国の仲間入りを果たしたと言えます。また、中所得者層は10年間で3割から6割に倍増しており、資源輸出だけではなく、旺盛な国内消費も経済成長を牽引している原動力であることがわかります。
一方、コロンビアは南米でもっとも貧富の格差が大きい国と言われており、ジニ係数は南米で最低の53.5(2013年 世界銀行)で、失業率も高いのが現状です。中間層の拡大とともに、低所得者層の底上げが社会不安の払しょくのための必須事項と言えるでしょう。
※2015年はIMF予測値
出所:IMF「World Economic Outlook Database, October 2015」

■インフレ

コロンビアの経済は、成長軌道にありながらも、インフレ率は比較的安定的に推移してきました。1980年代、1990年代にも、ブラジルやアルゼンチンのような中南米諸国の多くが経験してきたハイパーインフレはありませんでした。
1999年に中央銀行は3%±1%というインフレターゲットを設定しており、これを軸に堅実な金融政策が取られるようになります。2000年代前半はターゲットの上限を越えていましたが、その後は安定してターゲット内に収まるようになりました。
しかし、2015年に入ってからは、アメリカの金融緩和の縮小を背景としたペソ下落による輸入物価の上昇と、エルニーニョ現象による農産物の価格高騰により、再びターゲット上限を超えるようになっています。これに応じて、中央銀行は政策金利を3.25%から6.25%まで段階的に引き上げています。為替の動向と景気の鈍化の見合いで、今後はますます繊細な金融政策が求められる局面に入ったと見られています。
※2015年はIMF予測値
※消費者物価指数:2008年12月末を100とした指数(年平均)
出所:IMF「World Economic Outlook Database, October 2015」

■財政

コロンビアの財政は比較的健全です。急速に財政赤字を拡大させているブラジルや、デフォルトを繰り返すアルゼンチンなど、財政状況の悪い国が多い中南米の中において、コロンビア財政はチリなどと並んで優等生と言われています。
プライマリーバランスは、リーマンショック後の景気対策や大規模な水害があった2009年~2011年の3年間は例外的に赤字ですが、それ以外はおしなべて黒字となっています。コロンビア政府が、ポピュリズム的な放漫財政に走らず、堅実な財政規律を維持してきたことがわかります。そのため、財政収支の対GDP比は、2003年以降12年間連続で3%以下を続けています。
しかし、2014年後半の原油価格下落によって、歳入の約2割を占める国営企業「エコペトロール」による国庫納付金が大幅に減少しています。2015年度は財政緊縮措置を講じたものの、プライマリーバランスは赤字となり、財政赤字の対GDP比も3%台になりました。今後もしばらくは、景気刺激と財政規律の難しいさじ加減が要求されるものと思われます。
※2015年はIMF予測値
出所:IMF「World Economic Outlook Database, October 2015」

貿易

コロンビアの貿易額は、治安が回復して経済成長軌道に乗った2003年から2013年までの10年間に、輸出は4.5倍、輸入は4.3倍となりました。リーマンショック後の2009年にやや減速したものの影響は軽微で、力強く貿易拡大を続けてきたと言えます。
背景として、歴代コロンビア政府が自由貿易志向を継承してきたことがあります。南北アメリカの中央に位置し、カリブ海と太平洋の両洋に面した地政学的に優位性を生かすべく、貿易や投資の自由化に積極的に取り組んできました。2013年に就任したロハス商工観光相はやや慎重派と見られていますが、基本的な方針に変更はないとしています。
もうひとつは、2000年代後半から2010年代前半における、コロンビアの治安回復による石油生産量の急増と、新興国のエネルギー需要の逼迫による国際原油価格の高騰があります。10年間にコロンビアはラテンアメリカ第3位の産油国となり、資源の一大輸出国となったのです。
しかし、2014年後半に国際原油価格が急落し、順調だった貿易拡大に暗雲が垂れこみます。翌2015年は貿易赤字が前年の2倍になりました。また、主要輸出先であったアメリカは「シェール革命」により石油純輸出国へ転換、同じく主要輸出先であった中国は経済の減速によりエネルギー需要が激減しています。原油価格の早期回復が見込まれない中、堅調な国内消費やインフラ需要を牽引力とした国内産業の競争力向上が急務とされ、資源輸出依存の脱却という大きな課題が突きつけられていると言えます。
出所:コロンビア共和国統計庁

[自由貿易圏、自由貿易協定]

コロンビアは自由貿易を積極的に進めている国の1つです。アメリカ、メキシコ、カナダ、EU、主要ラテンアメリカ諸国との二国間・地域自由貿易協定(FTA)が発効済となっており、45 カ国との間で多くの関税撤廃品目を有しています。また、韓国やパナマとは批准待ち、日本、トルコなどとも交渉中です。
さらに、ラテンアメリカにおける共同経済圏確立に積極的で、アンデス共同体(ボリビア、エクアドル、ペルー、コロンビア)、太平洋同盟(メキシコ、チリ、ペルー、コロンビア)に加盟しており、メルコスール(ブラジル、アルゼンチン、ベネズエラ、ウルグアイ、パラグアイ)とは貿易協定も発効済みです。
特に、近年は太平洋同盟の経済統合への動きが盛んで、アジア太平洋地域との連携姿勢を鮮明に打ち出しており、保護貿易的なメルコスールとは一線を画していると言われています。

[国別・地域別の輸出入]

コロンビアは、南米でもっとも対米貿易が盛んな国で、長年貿易額の3割以上を占めてきました。これは、南米大陸の北端に位置しカリブ海に良港を持っているという地理的な条件だけではなく、親米的な政権が続いてきたことや、自由貿易を積極的に進めてきたことなどによるものが大きいと言えます。そういった意味で、他の南米諸国、特にブラジルやアルゼンチンなどのメルコスールの国々とは異なった貿易状況を示しています。
 2015年の輸出額を国別に見てみると、最大の輸出先が米国で27.6%、次いでパナマ6.7%、中国6.3%、エクアドル4.0%、ブラジル3.3%、ペルー3.2%となっています。米国は2010年には42.2%という圧倒的な割合でしたが、2011年をピークに金額・割合ともに下降しています。最大の理由は「シェール革命」によって石油の対米輸出が大幅に減少したことです。また、中国への輸出額も2014年から半減しており、やはりエネルギー需要の減退が大きく響いています。
一方、2015年のラテンアメリカ統合連合(南米の主要10か国+メキシコ、キューバ)合計は26.0%となっており、米国に匹敵する割合となっています。原油価格の下落により輸出額自体は減少していますが、パナマ、エクアドル、ペルーなど隣国との国境取引は活発で、ラテンアメリカ地域の経済連携の進捗による効果が出ていると考えられます。
輸入を国別に見ると、やはり米国が最大で28.7%、次いで中国18.6%、メキシコ7.1%、ドイツ4.2%、ブラジル3.9%と続きます。米国からは、石油製品を多く輸入しているのが特徴的です。コロンビアは産油国ではありますが、精油施設の能力が不十分であるため、ガソリンなどの石油製品を米国からの輸入で賄っているからです。中国からは電子・電気製品など、メキシコからは自動車の輸入が多くなっています。メキシコ=コロンビア間のFTAが2011年に締結されたことにより、完成車の関税撤廃が行われたことが背景にあり、コロンビアの自動車産業にとっての脅威となっています。
今後、韓国とのFTA批准、日本とのEPA交渉の進捗などによっては、アジア太平洋地域との貿易が飛躍的に拡大する可能性もあると考えられており、太平洋側の港湾、道路インフラ整備が、今後の貿易多角化の鍵となるでしょう。

[品目別の輸出入]

品目別に輸出を見てみると、石油とその石油関連品が圧倒的に多く40.1%、次いで石炭が12.8となっており、エネルギー資源輸出が全体の半数以上を占めています。そのため、国際的な資源の需給動向や価格変動に影響を受けやすく、特に2014年後半以降は大幅輸出額減少となっています。
次いで、コーヒー・紅茶類が7.2%、プラスチック原料4.0%、貴金属・宝石類3.7%、園芸作物3.7%となっています。コーヒーは、1980年代後半までは輸出額の半分を占めてきた花形輸出品でした。その後、エネルギー資源の台頭で比率は下がりましたが、いまでもコロンビアはブラジル、ベトナムに次ぐ世界第3位のコーヒー輸出国で、主要品目の一角を担っています。また、貴金属・宝石類は産出される金やエメラルド、園芸作物には北米を中心として輸出が急増しているバラやカーネーションなどの切り花があります。近年は、隣接するエクアドルやパナマなどへ向けた軽工業製品も有望な輸出品となっています。
輸入については、ボイラー・発電機が12.8%、機械・電子機器など10.3%、車両・車輛部品7.8%といった工業品の輸入が目を引きます。さらに、製油所不足からくる鉱物性燃料・石油製品9.5%、さまざまな原材料、中間財も盛んに輸入されています。近年は、中間層の拡大によって、自動車、家電、携帯電話などの電子機器などの個人消費向けの輸入も拡大しており、国内マーケットの拡大を反映したものと考えられます。景気の陰りから2015年は輸入額も減少に転じていますが、国内消費は底堅く、中長期的にはさらなる消費の多様化と拡大が見込まれるでしょう。
出所:コロンビア共和国統計庁

産業動向

コロンビアの産業構成をGDPに占める割合で見ると、第1次産業が6.4%、第2次産業が 36.9%、第3次産業が56.7%となっています。
第1次産業はGDPでは6.4%に過ぎませんが、コーヒーや切り花などの換金農作物の生産が盛んなため、主要輸出品の一翼を担っている重要産業の1つです。第2次産業については、エネルギー資源(石油・石炭)などの鉱業、盛んなインフラ整備にともなって成長著しい建設業、地場の労働集約型軽工業、南米大陸北部におけるグローバル産業の生産拠点としての自動車・二輪車産業など、幅広く立地しています。この地域においては比較的工業化が進んでいると言えます。第3次産業は、56.7%と先進国並みに発達しており、卸売小売業などサービス業も発達しています。さらに特筆すべきは、コロンビアの金融業が南米屈指の信頼性と厚みある業態となっていることでしょう。

■農業

かつては6割以上を占めた農村人口が、反政府ゲリラ活動が主に農村地域を拠点としてきたために、農民の都市流入が急激に進みました。農村人口は2000年代初頭に2割を下回りましがが、近年の治安回復によって農村回帰が進んでいると言われています。
コロンビアは、農耕地面積が国土の3%ほどしかなく、GDPに占める農業の割合は6.4%と大きくはありません。しかし、コーヒー、切り花、バナナなど輸出競争力のある換金作物が盛んに生産されているため、治安が維持されていけば今後も重要産業の1つという位置づけは変わらないでしょう。
また、近年は、エタノールの原料としてのサトウキビや、バイオディーゼル燃料となるアブラヤシへの生産も増えています。
[コーヒー]
コーヒーは石油、石炭に次ぐコロンビアの主要輸出品で、生産量、輸出量ともにブラジル、ベトナムの次ぐ世界第3位を誇ります。生産種のほとんどがアラビカ種という高級種であることが特徴で、近年生産量を伸ばしているベトナムやインドネシアなどの安価なロブスタ種とは異なる優位性を持っています。なお、対日輸出の6割をコーヒーが占めています。
アンティオキア県やカルダス県などのアンデス北部の標高1000m以上の高地が生産適地で、傾斜地での栽培がメインのため小規模農家による生産が多く、機械化が進んでいないためコスト競争力が課題とされています。そのため、国立コーヒー生産者連合会(FEDECAFE)は、新たな植樹に対する奨励金や、フェアトレードの取り組みなどを進めて、小規模農家に対する様々な支援を実施しています。
[園芸作物]
コロンビアでは1970 年代に切り花生産が盛んに行われるようになり、カーネーション、バラ、菊など輸出向けに多くの品種が生産されるようになりました。赤道に近く日照時間が長いが、温暖で適度な雨量がある高原地帯を生産適地とし、ボゴダやメデジン近郊が主要生産地から、航空便で欧米や日本にも輸出されます。最大の輸出先は米国で約7割を占めます。近年は日本への輸出も増加しており、日本の輸入カーネーションの7割がコロンビア産です。
近年は、バラなどを原料とするエッセンシャルオイルなどの2次加工品生産を拡大させており、高付加価値品の産業育成が進められています

■石油産業

コロンビアのエネルギー資源は、コロンビア国営石油「エコペトロール」を通じて国有とされてきましたが、2000年代に入って一部民営化などの規制改革により、外国企業による投資を呼び込むことができるようになりました。
また、時期を同じくして反政府武装ゲリラ対策が実を結び、石油生産量が増加に転じたため、コロンビアは石油純輸出国となりました。特に上流部門での外国投資が盛んで、探鉱・採掘が活発に行われるようになり、エコペトロールはコロンビアの石油生産の約6割に留まっています。
一方、精油設備の不足、パイプラインの輸送能力の不足、埋蔵量の少なさなど、課題も多くあります。製油所はカリブ海に面したカタルヘナや北東部のマグダレーナ川沿いなど数か所あるのみで、製油能力が国内需要に追い付いていません。また、内陸の油田からのパイプラインの輸送能力が不足しているため、生産量を上げられないなどの事情も重なっています。そのため、石油純輸出国であるにも関わらず、おもに米国からディーゼル油などを輸入している状況が続いています。エコペトロールは、カタルヘナ製油所を8.0万BPDから16.5万BPDへ、マグダレーナ川沿いのBarrancabermeja -Santander 製油所20.5 万BPDから30 万BPDへ設備増強する工事を進めており、2016 年に完成予定です。
また、治安の回復によって反政府ゲリラによるアタックはやや少なくなっているものの、今後の和平プロセスの進捗によるところが大きく、石油設備の安全性確保が引き続き重要課題となります。
さらに、コロンビアの石油埋蔵量は24億バレル(世界33位)で、可採年数は2013年現在で6.8年と短いため、新たな油田探索の進捗が今後の石油業界だけでなく、コロンビアのエネルギー戦略の鍵となります。新たな探鉱では重質油やシェールオイル・ガスの埋蔵が確認されています。こうした新しいタイプの油田採掘への投資意欲は、国際原油価格の動向に左右されるため、グローバルイシューとして注目されるところです。
出所:US Energy Information Administration

投資環境

コロンビアの投資環境

 ■ビジネス環境の現状2016(アンケート)より

世界銀行と国際金融公社(IFC)が、2015年に「ビジネス環境の現状2016」を共同で発表しています。このアンケートから世界のコロンビアの評価を見ていきます。

コロンビアのランキングは、総合順位では189の国と地域中54位(2015年は34位)です。ラテンアメリカで着実に経済発展を遂げている太平洋同盟のチリ(48位)やペルー(50位)などと同等で、停滞気味のメルコスールのブラジル(116位)、アルゼンチン(121位)、ベネズエラ(186位)とは大きく水をあけています。

 

【世界のビジネス環境ランキング】

指標項目 2015 2016 アップダウン
事業の開始 84 84 変化なし
建設許可手続き 61 38 23ランク↑
電力の調達 92 69 23ランク↑
資産の登録 42 54 12ランク↓
資金調達 2 2 変化なし
投資家の保護 10 14 4ランク↓
税金の支払い 146 136 10ランク↑
クロスボーダー取引 93 110 17ランク↓
契約の履行 168 180 12ランク↓
事業の撤退 30 30 変化なし
総合ランキング 34 54 20ランク↓

出所:世界銀行・国際金融公社(IFC)

「ビジネス環境の現状2015」「ビジネス環境の現状2016」

2016年のランキングで、コロンビアが総合順位より、高いランキングがついた項目は、「建設許可手続き」「資金調達」「投資家の保護」「事業の撤退」の4項目です。

 

金融(株式)市場

 1928年に設立された「ボゴタ証券取引所」を前身とし、2001年にメデジンとカリの各取引所と合併して、現在の「コロンビア証券取引所」(BVC: Bolsa de Valores of Colombia)となりました。時価総額2,026億USドル(2013年12月)で、ラテンアメリカではサンパウロのBM & F Bovespa(ブラジル)、メキシコ証券取引所、サンチアゴ証券取引所(チリ)に次ぐ規模となっています。

2013年の上期をピークとして、原油価格の下落、米金融緩和の縮小、中国経済の減速などの国際情勢を受けて、株価は下落傾向にありましたが、2015年末よりやや回復の兆しも見せています。

経済統合を進めている太平洋同盟(コロンビア、ペルー、チリ、メキシコ)は、証券取引所の統合を進めており、2011年にラテンアメリカ統合市場(MILA:Mercado Integrado Latinoamericano)を設立しました。コロンビア、チリ、ペルーの証券取引所相互でそれぞれの国の証券取引が可能となり、2014年にはメキシコ証券取引所が合流しています。市場統合が完成すれば、時価総額ではサンパウロのBM & F Bovespaに次ぐ第2位の規模、上場企業数ではラテンアメリカ最多となります。

 

 

【コロンビア証券取引所 株価の推移(COLCAP)】

※COLCAP:上場株式のもっとも流動性の高い20銘柄の時価総額加重平均指数

出所:Bloomberg

 

為替レート

   コロンビアの通貨ペソは、1994年に一定の範囲内に為替レートを誘導する管理フロート制になりましたが、1990年代後半のアジア通貨危機を発端とした新興国での世界的な通貨危機を契機として、1999年に変動相場制(完全フロート制)に変更されました。

 変動相場制への移行の後にペソの下落が続きましたが、ウリベ政権の2年目に治安改善の見通しがつき経済成長が本格化すると同時に、ペソ高基調へと転じます。リーマンショックで一時期急落するものの持ち直し、2014年半ばまではペソ高で推移してきました。

しかし、国際原油価格の下落、米国金融緩和の縮小、中国経済の減速を受けて、2014年後半から急激なリラ安となりました。2014年9月には1USドル1,800リラ台でしたが、2016年2月に3,360リラの最安値を更新し、1年半で対USドルが80%も下落をしたことになります。しかし、コロンビアのマクロ経済は堅牢で、外貨準備高が輸入額約7か月分相当あるため、当面の通貨危機のリスクは低いと見られています。

 

【為替レートの推移】(USドル/ペソ)

出所:OANDA「Forex Trading and Exchange Rates Services」

 

なお、2016年3月24日現在の為替レートは、1USドル=3,097.36ペソです(OANDA「Forex Trading and Exchange Rates Services」)。

 

外国直接投資額

  1990年代後半は、アジアやブラジル等の通貨危機と、反政府武装ゲリラによる治安の悪化の影響を受けて、コロンビアへの外国直接投資(FDI)は低迷していました。しかし、ウリベ政権下で治安が回復したため、2005年には製造業への投資が急増し100億USドルに到達しました。その後、増減を繰り返しながらも、石油・石炭の探鉱・掘削への投資が盛んに行われるようになり、2013年には160億USドル台の過去最高額に達しています。

2014年は、前年と同様に160億USドル台となっていますが、業種別に見てみると変化が見られます。2014年後半の原油価格下落と、大型プロジェクトのライセンス手続きの遅延などによって、石油・石炭などの鉱業関連投資がやや停滞しました。80億USドルから64億USドルへ2割も減少し、全体に占める割合も5割から4割になりました。

一方、力強さを見せる国内消費やインフラ需要で活況を呈する、金融・不動産、運輸・倉庫・通信が大きく伸ばしています。特に欧州からの投資が盛んで、2014年には、ミルコム・インターナショナル・セルラー社(ルクセンブルグ)がコロンビア通信大手UNEを51%の株式を取得、世界的な再保険会社スイス・リー社(スイス)や同じく大手保険会社アクサ・グループ(フランス)による大型投資も決まっています。また、2015年には、ヒーロー(インド)の二輪車工場建設、北京汽車グループの福田汽車(中国)による小型商用車工場の建設など、製造業の投資案件も続いています。

日系メーカー動向としては、2013年にボゴタに進出して即席麺の新市場を狙う日清食品、ボゴダ郊外にバスとトラックの生産ラインを新設したいすゞ自動車、2014年に太平洋岸の港湾ブエナペントゥラ近いカリに光ファイバケーブル工場の操業開始した古川電工など、活発な投資が始まっています。

コロンビア国内マーケットへの参入を狙った投資は、今後も有望と見られており、鉱業部門だけではなく投資対象業種の多様化が進むことで、より重層的な産業構造への変革が期待されます。

 

 

【直接投資(FDI)受入れ額の推移(フロー)】(単位: 100万USドル)

2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014
直接投資受入額 9,049 10,596 7,137 6,899 13,438 15,529 16,200 16,054

出所:JETRO

 

 

【業種別直接投資受入額(フロー)】(単位:100万USドル)

  2013 2014
金額  構成比 金額 構成比 伸び率
石油 5,112 31.6 4,837 30.1 -5.4
鉱業((石炭含む) 2,977 18.4 1,582 9.9 -46.9
 (石油・石炭など鉱業 小計) 8,089 49.9 6,419 40.0 -20.6
製造業 2,590 16.0 2,928 18.2 13.0
金融・不動産 1,606 9.9 2,478 15.4 54.4
運輸・倉庫・通信 1,386 8.6 1,921 12.0 38.6
商業・外食・ホテル 1,136 7.0 840 5.2 -26.1
建設 378 2.3 661 4.1 74.9
電力・ガス・水道 395 2.4 458 2.9 15.7
農林水産 296 1.8 199 1.2 -32.9
合計(その他含む) 16,200 100.0 16,054 100 -0.9

※国際収支ベース、ネット

出所:JETRO

 

 

【国・地域別直接投資受入額(フロー)】(単位:100万USドル)

  2013 2014
金額 構成比 金額 構成比 伸び率
北米(NAFTA) 3,674 22.7 3,263 20.3 -11.2
  米国 2,861 17.7 2,213 13.8 -22.7
  メキシコ 565 3.5 618 3.9 9.5
  カナダ 248 1.5 432 2.7 74
欧州 6,083 37.6 7,061 44.0 16.1
  スイス 2,084 12.9 2,814 17.5 35.1
  スペイン  951 5.9 2,155 13.4 126.7
  英国 1,416 8.7 1,080 6.7 -23.8
  オランダ 580 3.6 419 2.6 -27.6
カリブ島しょ地域 3,222 19.9 2,162 13.5 -32.9
  バミューダ諸島 846 5.2 1,070 6.7 26.4
  バルバドス 418 2.6 535 3.3 27.9
中米 2,070 12.8 2,519 15.7 21.7
 パナマ 2,055 12.7 2,453 15.3 19.4
南米 891 5.5 944 5.9 5.9
  チリ 319 2.0 456 2.8 43.1
  ペルー 76 0.5 266 1.7 251.5
  ベネズエラ 91 0.6 115 0.7 26.7
アジア・太平州 131 0.8 137 0.9 4.6
  日本 67 0.4 56 0.3 -16.9
  オーストラリア 7 0.0 34 0.2 384.8
  中国 22 0.1 29 0.2 33.6
合計(その他含む) 16,199 100.0 16,054 100.0 -0.9

※国際収支ベース、ネット

出所:JETRO

インフラ

 世界経済フォーラムが行っている、「世界競争力レポート(The Global Competitiveness Report)2015-2016」によると、コロンビアのインフラの総合評価は140カ国中84位です。ラテンアメリカのチリ45位、メキシコ59位、ブラジル74位よりも低いランクにあり、アルゼンチン87位、ペルー89位とともにインフラ整備が遅れた国との評価です。各インフラの評価は、道路126位、鉄道106位、港湾85位、空港74位、電力59位、固定電話72位、携帯電話72位となっており、道路や鉄道などの輸送インフラが特に立ち遅れているとの評価です。

 コロンビアでは近年の治安の改善を受けて外国投資が急増しましたが、インフラ整備には課題があると言われてきました。サントス政権は、官民パートナーシップ(PPP:Public Private Partnership)を全面に打ち出してインフレ強化するとし、2012年に官民パートナーシップ法(APP、Asociaciones Público Privadas)が施行されました。

これは、インフラの整備と運営を、主にコンセッション方式(民間企業・団体などに運営権を譲渡する方法)で行うため、内外の民間投資を有効にインフラ整備に向けることができ、財政支出をある程度抑制することができます。

コロンビア政府は、インフラ整備を国家開発計画2010-2014 年(PND :Plan Nacional de Desarrollo 2010-2014)に位置付け、さらにPND 2014-2018において発展的に継承しています。地域住民の反対運動など、民間では対処できない課題への政府のコミットがあれば、今後はいままで以上に急ピッチでインフラ整備が進むのではないかと考えられています。

 

 

■道路

コロンビアは、南米で唯一カリブ海と太平洋の両洋に接しているため、北米、欧州、アジア・太平洋地域にもアクセスが良い地政学的な優位さを有した国です。しかし、3つに分かれた標高3,000mから5,000m級のアンデス山脈が南北に国土を貫き分断しています。ボゴタやメデジンなどの主要都市がアンデスに挟まれた中央部に位置しており、カリブ海に面したカルタヘナやバランキージャなどの港湾から離れているうえ、太平洋側の港湾都市ブエナベントゥーラへはアンデスの二つの山系を越えるためアクセスが悪く、長年の課題とされてきました。

特に、ブエナベントゥーラからボゴタは経路が一つしかなく、自然災害などにより通行不能となることも多く、物流のボトルネックと言われてきました。アジアからの太平洋航路よりも、ブエナベントゥーラ港-ボゴタ間の方が多くの日数を要する場合もあり、輸送コストも高いのが実情です。苦肉の策としてパナマ運河を通してカリブ海ルートを利用ケースもあります。アジア・太平洋地域との貿易拡大を狙うコロンビアにとっては、東西道路の整備が最大の課題となっています。

 コロンビア政府は、「国家開発計画」(PND: Plan Nacional de Desarrollo )に基づいたインフラ整備計画として、2013 年に「繁栄の道(Prosperity Roads)プロジェクト」をスタートさせ、2021 年までに高速道路5,200 ㎞を含む道路整備が予定されています。また、ボゴタ-ブエナベントゥーラ間の第1・第2リネア・トンネルと二車線化整備、南北路線でのマグダレナ川架橋と二車線化整備などが計画されています。コロンビアでは、急峻な山岳地特有のトンネル工事と架橋が、道路整備の鍵の1つとなっています。

道路整備による物流コスト軽減は、対外的にはコロンビア国際競争力を高め外国投資を促進し、国内的には分断傾向にある主要都市間の連携を高め、経済を活性化させる大きな要素となると見られています。

【道路整備計画(~2021年)】

出所:経済産業省

 

■港湾

コロンビアは、北部はカリブ海、西部は太平洋に面しており、パナマ運河にも近いため、世界的にみても海運に恵まれた位置にあります。さらに、アジア・太平洋地域との貿易拡大、2016年に完成するパナマ運河拡張工事などにより、コロンビア海運の重要性はますます増している状況にあると言えます。

1990年代から港湾管理の民営化が始まり、政府の監督下のもと独立採算制の地域会社(Sociedad Portuaria Regiona)が担うことになりました。そのため、効率的なオペレーションで24時間稼働している港湾が多く、インフラ整備が進めばよりダイナミックな海運拠点として、中南米のハブとしての位置づけを強めていくものと思われます。

カリブ海沿岸には、マグダレナ川やカウカ川の河口デルタ地形が広がり、内陸へのアクセスも比較的良いため、カルタヘナ港、バランキージャ港、サンタ・マルタ港などいくつもの港があります。これらの港湾は、カリブ海、大西洋を通じて北米や欧州、パナマ運河を経てアジア・太平洋地域へと通じる航路の起点で、自由貿易を進めるコロンビアの生命線とも言えるものです。

対照的に、太平洋沿岸は急峻な地形のため港湾適地は少なく、ブエナベントゥーラ港などに限られます。主要都市のある内陸へのアクセスが課題とされてきましたが、近年のアジア太平洋地域との貿易拡大にともない、太平洋沿岸港の重要性が非常に増しており、最優先課題として整備が進められています。

 

【主要港別の荷動き(2013年)】(単位:100トン)

  輸入 輸出 その他 合計
カタルヘナ 71,982 97,744 155,330 325,056
サンタ・マルタ 63,509 124,018 67 187,594
ブエナベントゥーラ 116,028 42,045 5,158 163,231
パランキージャ 54,944 41,260 1,462 97,666
モロスキージョ湾 na 369,995 5 370,000
合計(その他含む) 314,891 1,341,357 174,491 1,830,739

出所:JETRO

 

[カタルヘナ港]

カルタヘナ港は、最大の貿易相手国である米国とのアクセスが良く、パナマ運河に近いなどの地理的条件を有し、多くの海運会社が拠点を置く両洋に航路を持つカリブ海有数のハブ港です。コンテナ貨物、バルク輸出、積み替え貨物など幅広く、取扱貨物総量は2006年の1,630万トンから2013年3,250万トンに倍増しました。水深 15~20mと深いため「パナマックス」(パナマ運河を通過できる最大の船舶サイズ)など大型船を受け入れることができ、さらにパナマ運河拡張工事にともなう「ポスト・マナマックス」への対応にも着手しています。

近年は、効率性の高いオペレーションにより24時間稼働が行われており、衛星からの管理システムでのコンテナ積み下ろし、監視カメラによる密輸取り締まりやセキュリティー強化、迅速な通関などが高く評価されています。

カタルヘナには、石油化学関連の外資企業が多く進出しており、周囲には多くの自由貿易地区が立地している産業拠点でもあります。また、旧市街が世界遺産という観光地で、クルーズ船の寄航地としても有名です。今後もカリブ海でもっとも重要な港湾都市の1つとして発展が見込まれています。

 

[ブエナベントゥーラ港]

太平洋沿岸の主要港ブエナベントゥーラ港は、アジア・太平洋地域からのほとんどの貨物が陸揚げされるため、コロンビアでもっとも輸入量の多い港です。しかし、すでに荷捌きのキャパシティを越えていると言われています。輸入量の拡大が見込まれているだけでなく、将来的にはアジア・太平洋地域への資源輸出の拠点とする計画もあり、さらに物流の拡大が想定されているポテンシャルの高い港湾です。

現行のブエナベントゥーラ港はカルカハル島とう小さな島に位置しており、港湾拡張スペースがほとんどないため、近隣のアグアドゥルセ地区や、デルタ・デル・リオ・ダグア地区、マラガ湾に新たな港湾施設を建設する計画があります。中でも、現港の隣接地に建設中のアグアドゥルセ港が完成すると、年間1,200万トンのコンテナ取り扱い、700万トンの石炭輸出が可能になると言われており、浚渫やターミナル建設だけでなく、21㎞におよぶ周辺道路の整備も急ピッチで進められています。

主要都市へのアクセス、通関手続きの迅速化、ブエナベントゥーラ地域の治安の悪さなどの課題もありますが、今後のアジア・太平洋貿易の一大拠点として、さらに飛躍を遂げることは間違いないでしょう。

 

[バランキージャ港]

カリブ海に面してマグダレナ川の河口域に位置するパランキージャ港は、一般貨物や石油・石油製品などの液体貨物などを中心として、122ヵ国(2014年現在)と航路を結ぶ貿易港です。

また、パランキージャ港は河口域にあるため水深が12~15mとやや浅く、大型船には対応できませんが、国内河川輸送の要として重要なポジションを占めています。コロンビア最大の大河マグダレナ川は、中流域まで約1,000㎞が水運に適していると言われており、ディケ運河を通じてカタルヘナへの接続ができます。マグダレナ川は、2019 年までに4 億USドルを投じて、護岸工事、浚渫、水門整備が行われる予定で、河川輸送がさらに活発化されることとなります。

パランキージャでも、水深22mの新港建設計画が立ち上がり、2030年の共用を目指して官民の大型プロジェクトが始まったところです。

 

[サンタ・マルタ港]

カリブ海に面するサンタ・マルタ港は、石炭、石油、パーム油、穀物などのバルク輸送をメインとしたコロンビア最大級の資源積出し港です。現時点でポスト・パナマックスも受け入れ可能なコロンビア唯一の港湾で、パナマ運河の拡張にともない重要性がさらに高まるとみられています。

 

[モロスキージョ湾]

カリブ海の南部に位置しているモロスキージョ湾には石油輸出の専用積み出し港が複数あり、コロンビア随一の資源輸出の拠点となっています。年間3,699 万トン(2013年)もの輸出が行われています。

出所:JETRO

■鉄道

コロンビアには約3,000㎞の鉄道が敷設されていると言われていますが、多くの区間で保守・設備更新がされてこなかったため、現在運行されているのは約 3 分1の900㎞程度です。旅客輸送も一部行っていますが、ほとんどが貨物輸送用に使われています。

主要路線は、チリグアナ~サンタ・マルタ線、セレホン~プエルト・ボリバール線のように、内陸に位置する炭鉱と積み出し港を結ぶもので、鉄道輸送貨物の7,668 万トン(2013年)のうち7,678 万が石炭で、これは99%以上にあたります。運営は国営鉄道(National Railways of Colombia)と民営があります。

コロンビア政府は、5億USドルを投じて既存路線の修復を行い、26億USドルを投じて新線を敷設する計画を打ち出しており、2021年までに約1,400㎞におよぶ運行がなされる予定です。

 

【鉄道整備計画(~2021年)】

 

出所:経済産業省

 

■空

コロンビアの航空旅客数は、21世紀にはいってからの治安の改善と経済成長にともない増加を続けており、2004年からの10年間に3倍にも伸びています。

全国には大小50以上の空港が点在し、日本の約3倍の国土を急峻なアンデスが分断しているコロンビアにおいて,都市・地域間の道路や鉄道インフラが未発達な状況を補っています。

国際空港は、首都ボゴダのエル・ドラード国際空港、第2の都市メデジンの郊外にあるホセ・マリア・コルドバ国際空港、第3の都市カリのアルフォンソ・ボニージャ・アラゴン国際空港などの内陸の主要都市や、カリブ海沿岸のカタルヘナやバランキージャ、ベネズエラ国境の中心地ククタ、カリブ海のリゾート地サン・アンドレ島など10ヵ所にあります。中でもボゴタのエル・ドラード国際空港は、国内線・国際線旅客数、航空貨物ともに最多をほこるコロンビアの空の玄関です。

 

 

【コロンビアの航路旅客数の推移】(単位:千人)

  2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014
旅客数 8,829 9,984 10,616 11,631 12,339 12,115 16,932 18,769 22,012 25,993 25,053

出所:世界銀行

 ■電

電力の需給バランスを見てみると、経済成長にともない消費量はこの10年間に1.5倍に増加しましたが、早くから民営化と発電・送電・小売りの分離が行われ、電源開発が進められ発電量も1.3倍に増加しました。年間平均では発電量が消費量を常に上回っているため、需給バランスはおおむね安定的に見えます。

コロンビアは水資源に恵まれているため、水力発電が電源構成の79%(2013年)を占めています。国内での水力電源の開発ポテンシャルが高いこと、温室効果が低い持続可能エネルギーであることなどから、引き続き水力発電は重要は電源と考えられています。しかし、水力発電は降水量に大きく左右されるという欠点があります。直近では1991年~1992年、1997年~1998年、2009年~2010年にエルニーニョ現象による渇水で水力発電量の急激な低下が起き、水力発電比率が50%を下回る事態に陥り、計画停電も起きました。そのため、水力発電を軸にしつつも、電源の多様化による電力の安定供給をより重視し、石炭と天然ガスによる発電所の増設が決定、地熱発電プロジェクトも始まりました。

また、電気料金が近隣国と比べて割高であることも課題とされています。1kWhあたりの電気料金(業務用)がサンチアゴ(チリ)0.09 US ドル、リマ(ペルー)0.11 US ドルですが、ボゴタで0.19US ドル、メデジンで0.15 US ドルと高く、安定供給とともに電力事業の効率化が必要とされています。

 

 

【コロンビアの電源構成(2013年)】(単位:%)

電源

 割合(%)

水力 79
ガス 13
石炭 4
バイオ・廃棄物 3
その他 1
合計 100

出所:経済産業省

 

【電力需給の推移】(単位:TWh)

2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012
発電量 42.5 44.1 45.6 48.8 49.3 52.7 54.2 55.0 55.8 55.4 59.2 57.8
消費量 33.9 34.7 35.4 37.4 37.8 40.5 42.2 42.8 46.4 45.5 50.3 49.4

出所:EIA: U.S. Energy Information Administration

 

 

■通信

新興国で多く見られるように、コロンビアでも固定電話の普及は頭打ちで、携帯電話が急速に普及しています。2000年にはわずか5.7%でしがが、2012年には100%を越え、2014年には113.1%となっています。携帯電話サービスは、国営のEPN、モビスター・コロンビア、アバンテルに加え、アメリカ・モビル(メキシコ)傘下のクラロ、ミリコム・インターナショナル・セルラー(ルクセンブルク)の傘下のティゴ・コロンビア、ディレクTV(米国)なども参入した競合状態にあります。また、スマートフォンが急速に普及しており、加入者の3分の1(2013年)程度にまでなっています。

インターネットも急速に普及し、2013年に普及率が5割を超えました。しかし、地域による差が大きいこと、ブロードバンドの普及率はまだ10%未満であることなど、今後の課題と可能性があります。

テレビ放送は、国営のRTVC(3チャンネル)、民間のカラロール・テレビジョンとRCNテレビジョンが全国放送をしているほか、ローカル放送をしてい局が複数あります。

【携帯電話の登録数・普及率の推移】(単位:千件 %)

2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014
携帯電話加入数 2,257 3,265 4,597 6,186 10,401 21,850 29,763 33,941 41,365 42,160 44,478 46,200 49,066 50,295 55,330
携帯電話普及率 5.7 8.1 11.2 14.8 24.5 50.6 67.9 76.3 91.6 92.0 95.8 98.1 102.9 104.1 113.1

出所:ITU (International Telecommunication Union)

 

【インターネット普及数・普及率の推移】(単位:件 %)

2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014
インターネット普及率 2.2 2.9 4.6 7.4 9.1 11.0 15.3 21.8 25.6 30.0 36.5 40.4 49.0 51.7 52.6

出所:ITU (International Telecommunication Union)

規制とインセンティブ

コロンビアは、早くから外国投資の自由化を進めており、投資家の保護や投資の自由度は中南米でもっとも進んだ国の1つと言えます。外国投資に対する規制は少なく、投資に関する優遇措置も外資内資の差がほとんどありません。優遇制度は貿易や税制に関わる諸法にまたがりやや複雑ですが、総合して一連の規則が定められています。

 

 

■投資家の保護

「新外国為替法-法律第9号」(1991年)、「国際投資一般規則に関する政令2080号」(2000年)、「改正政令4800号」(2010年)によって外国投資が規定され、下記3原則の投資家保護がなされています。また、「法的安定性確保法 法律第963号」(2005年)によって、一定の基準以上の新規投資は、法制度変更リスクからも保護されます。

 

外国投資の3原則
外資と内資の同等な待遇を供与
外資の登録の自動承認する
資本・利益の対外送金の自由を保証

(外貨準備高が輸入額の3ヶ月相当額以下にならない状況に限る)

 

 

規制

 

投資禁止業種は極めて少なく、投資規制業種も非常に限られています。

 

[禁止業種]

禁止業種
国防・安全保障・治安に関わる分野
国外で産出された有害物・放射線物資の処理廃棄分野

 

 

[規制業種]

投資分野 監督・承認官庁 依拠法 備考
金融機関

保険部門

金融監督局 「金融制度基本法」
政令第663号(1993年)
政令第2080号18条(2000年)
①~③の場合に事前承認が必要
①金融監督局の監督下機関・企業の発行株式/資産を10%以上取得。
②発行済み株式/転換社債の5%以上取得する。
③外国投資基金を通じての投資で議決権付き株式の5%以上を取得する。
炭化水素分野

鉱業

鉱業・エネルギー省 政令第2080号20-25条(2000年) ※炭鉱・採掘権は政府との契約により付与される。
証券投資 金融監督局 政令第2080号26-40条(2000年) ※外国投資ファンドを通じての証券投資を行う場合に事前承認が必要。
テレビ放送 国立テレビ委員会
(Comisión Nacional de Televisión)
法令第640号(2001年) ※外資比率は40%まで。
※投資国において、コロンビア企業に同等の投資機会が保障されていることを条件とする。
※国立テレビ委員会による技術移転の審査が必要。
環境関連 環境住宅地方開発省
市街地環境局
地方自治公社(CAR)
法令第99号8条(1993年)
法令第491号(1999年)
環境への深刻な影響、景観を著しく変える可能性のあるプロジェクトは、当局の認可(環境ライセンス)が必要。

 

 

投資優遇

コロンビアでは、外国投資を促進して貿易の拡大を図るために、フリートレードゾーン(ZF:Zona Franca)、輸出経済特区(ZEEE:Zonas Especiales Economicas de Exportacion)などが設けられています。また、多数の国・地域との二国間・多国間自由貿易協定を利用した恩恵を受けることができます。

また、内資外資に限らずいくつかの育成分野で期限付きの所得税、付加価値税(IVA)、関税の減免措置が講じられています。農業(カカオ、柑橘類、ゴム、パームヤシなどの作付けから収穫までの期間が長い作物)、河川交通(フェリー)、電力(再生可能エネルギーによる電力の販売)、出版(文化的・科学的分野)、観光(新設・増築ホテル)、林業(新規の植林、製材所の新設)、エコツーリズム、不動産などです。

 

 

[フリートレードゾーン(ZF: Zona Franca)]

従来より、ボゴタ、メデジン、カリ、カルタヘナ、サンタ・マルタ、バランキージャなどの主要都市・港湾近郊にZFが設けられてきました。2007年に関連法規が新法(政令第383号)にまとめられ、常設ZF(ZFP:Zona Franca Permanente)、特別常ZF(ZFP:E Zona Franca Permanente Especial)、一時的ZF(ZFT:Zona Franca Transitoria)に統合・分類されるようになりました。

その際、2007年以降に新設された高い経済効果が期待されるZFPに関しては、単一法人ZF(ZFU :Zona Franca Unipersonal)として承認されるようになりました。これは従来の地理的に限定されたZFとは異なり、単一の企業がZFU申請をして承認されれば、コロンビア国内のどこでもZFとしての優遇を受けられるものです。そのため、新規承認が増加しており、ZFUを含めて約100のZFが承認済みとなっています。

 

【主なZFの分布】

主なZF 立地地域 場所
カルタヘナZF カリブ沿岸地域 カルタヘナ
ラ・カンデラリアZF カリブ沿岸地域 カルタヘナ
パルケ・セントラルZF カリブ沿岸地域 カルタヘナ
サンタ・マルタZF カリブ沿岸地域 サンタ・マルタ
バランキージャZF カリブ沿岸地域 バランキージャ
ボゴタZF アンデス地域 ボゴタ
リオネグロZF アンデス地域 メデジン
パシフィコZF アンデス地域 カリ
パルマセカZF アンデス地域 カリ
エヘ・カフェテロ アンデス地域のコーヒー生産地帯 カルダス県、キンディオ県、リサラルダ県

 

常設フリートレードゾーン(ZFP)、単一法人フリートレードゾーン(ZFU)における主な優遇措置は以下のとおりです。

 

【主な優遇措置】

主な優遇項目 備考
所得税、公平税 ・2012 年12 月以前にZF認定された企業は15%(所得税15%+公平税免税)
・2012 年12 月以降にZF認定された企業は23%(所得税15%+公平税8%)
※通常は33%(所得税25%+公平税8%)
付加価値税(IVA)、関税 ・ZFに海外から持ち込まれる物品は、IVAおよび関税免税。
・ZFにコロンビア国内から持ち込まれる物品は、IVA免税。
ZFで生産された製品の国内販売 ・関税、IVAを支払い国内製品化することができる。
・原材料の輸入に際して関税を払い国内製品化することができる。
建設機器、機械類 ・ZFの製造工場用の建設機械や機械類は免税。
外貨の保有と送金 ・国内外の金融機関の当座預金口座に外貨を保有し外貨で取引する権利を有する。
・ZF利用者の海外送金税が免除。

 

 

輸出経済特区(ZEEE :Zonas Especiales Economicas de Exportacion)]

 

輸出経済特区は、輸出志向型の投資を促すことで、雇用の創出、技術移転、地域開発などを実現するために2001年に定められた制度です。輸出のために有利な国境地帯や港湾地域を立地とし、現在は、太平洋沿岸の港湾都市ブエナベントゥーラ、ベネズエラ国境に近いククタとバジェドゥパール、エクアドル国境の町イピアレスとトゥマコ市がZEEEに指定されています。

「輸出経済特別区法」(法令第677号)および、政令第1227号(2002年)、政令第045号(2003年)、第2484号(2003年)によって規定されており、商工観光省の事前契約(期間:5年~20年)が必要です。

 

 

【 ZEEE適用の条件と優遇措置】

適用条件 優遇措置
新規投資 輸入関税の免除
投資額下限200万USドル
(初期投資は100万USドル)
付加価値税の免除
製品、サービスの80%以上を輸出 労働契約の弾力的適用

 

【 ZEEEの分布】

 

参考文献

 

経済環境

・コロンビア統計庁
DANE: National Administrative Department of Statistics
・農林水産省
・IMF 
・世界銀行
・EIA
・USDA (United States Department of Agriculture)
・BP
・三菱UFJリサーチ&コンサルティング
・国際通貨研究所
・国際金融情報センター 新興国 カントリーフォーキャスト
・日立総合研究所 
コモディティスーパーサイクル終えんに伴う資源国経済の変容
・JETRO 
「世界貿易投資報告(コロンビア」」
・JPEC(石油エネルギー技術センター)
JOGMC

 

投資環境

コロンビア国家統計庁  

DANE: National Administrative Department of Statistics

外務省

農林水産省

世界銀行 「世界の貧困に関するデータ」

CIA

FAO

世界通信情報事情

西村あさひ法律事務所 「中南米ニュースレター 2015年1月号 コロンビアのフリートレードゾーン(指定保税地域)について」

 

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