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第2章 スリランカ-投資環境

投資環境

■投資環境

■ビジネス環境の現状2015

世界銀行と国際金融公社(IFC:International  Finance  Corporation) が、2016年に「ビジネス環境の現状 2016」を共同で発表しています。このアンケートから世界のスリランカへの評価を見ることができます。スリランカは総合順位が189の国と地域中107 位で、 2015年版の113 位よりランクが上昇しています。一方、日本は34位でした。

 

 

2016年版のランキングで、スリランカが総合順位より特に優位であったのは、「事業の開始」「建設許可手続」「資金調達」「投資家の保護」「クロスボーダー取引」「事業の撤退」の6点となります。

 

■為替レート

スリランカ中央銀行によると、為替レートは2011年11月までは1USドルあたり90ルピー後半から100ルピー前半の間を推移しており、安定傾向にありましたが、2012年から急激にルピー安が進み、 2015年10月現在では およそ1USドル= 140LKRとなっています。

 

 

■直接金融(株式)市場

コロンボ証券取引所(CSE:Colombo Stock Exchange)は 1985 年に創設され、上場企業数が293銘柄(2014 年 9 月時点)です。コ ロンボ証券取引所には2つの主要なインデックスがあります。
(1) 全上場銘柄から計算される ASPI(All Share Price Index)
(2) 代表的な 25 銘柄から構成される MPI(Milanka Price Index)
ASPIが日本でいうところのTOPIXで、MPIが日経平均に該当します。ASPIはコロンボ証券取引所ができた1985年を1,000ポイント としてスタートして、7,055.84ポイント(2 0 1 5年 11月23日時点)と30年で約 7 倍になっています。
内戦終了後の2009年5月以降、スリランカマーケットは世界的に 注目を集めるようになり、売買代金も膨らんできました。2010年10月4日には、ハットン・ナショナル銀行の大口取引などがあった こともあり、時価総額は2008年末の4,888億スリランカルピーから2009年末に1兆921億スリランカルピーに倍増し、さらに2014年9月には3兆660億スリランカルピーとなっています。株価収益率(PER:Price Earnings Ratio)も急上昇しており、2008年5.4倍、2009年1.66倍となり、2014年には26倍を突破しました。 スリランカの企業は含み資産が16年前の数字で計算されているため、PERで見ると、割安でまだまだ上値余地があると分析されています。

 

 

 

■外国直接投資額(FDI)

近年の対内直接投資(BOI法 1 7 条認可ベース)は9億15百万US$(2013年)、対外直接投資は6億5百万US$となっています。
日本の対スリランカ直接投資は、2013年で38百万USドルで前年の26百万US$と比較すると5.2%減、国・地域別では13位でした。分野としては遠洋漁業・輸出向け水産加工、果物栽培があげられます。金融危機の影響で、世界的に直接投資の減少傾向が顕著となる中、スリランカ向けの投資は着実な増加傾向を示しています。
内戦の終結に伴い、北部・東部地域を中心に投資需要が生じていることに加え、治安に対する投資家の信頼も急速に回復していることが背景にあります。
日本がスリランカへ投資するためにスリランカ側が対応すべき点は多くあります。諸問題を解決するために「官民合同フォーラム」を2009年8月に開催し、スリランカ側に対してソフトハード両面の改善を日本は求めました。BOIは、スリランカのビジネス環境改善に具体的に貢献できるよう、下記の重要セクターへの投資を計画してい ます。
・ 観光セクターの開発と近代化
・ 教育と職業能力開発
・ 質の高いインフラ(道路、通信、発電所など)
・ 農業への投資

 

[国別外国投資受入額]

国別に見ると、インドが継続的な投資上位国ですが、2013年には香港が1位となり、259百万USドルで、全体の19.4% を占めています。 日本からの投資が占める割合は大きくなく、全体の  1.9%  となっていま す。

 

 

[業種別外国投資受入額]

業種別では、サービス業が706億4,200万ルピーで投資総額の85.5%を占めて最大の受け入れ分野となりました。同分野の主要案件にはホテル・レストラン、情報技術・ソフトウェア開発、発電、商社、農業プロジェクトなどがあります。

しかし、2009年と2010年を比べると全体の金額は80%以上の減少が見られます。製造業では、金属加工・機械・輸送機械分野が99%以上減少し、外国投資総額の50%超だった前年からわずか1.9%まで下がりました。この要因は、BOIの投資優遇措置の見直しにより、投資認可受付を事実上一時停止したとの報道から、認可ベースの投資額に大きく影響したことが推測されます。

なお、唯一増加しているのは紙・紙製品であり、金額ベースでは2009年と2010年を比較すれば12倍を超える規模となったことが記録されています。

 

 

■日系企業の進出状況

日本の進出企業は2001年時点では56社でしたが、2014年になると約118社(スリランカ日本商工会会員企業及びジェトロ独自調べ)まで増加しています。

日本及びその近隣国への製品輸出を目的とする製造業が多数を占め、F.D.K、YKK、三井鉱山、ノリタケ、新日本空調、尾道造船、NTTコミュニケーションズ、伊藤忠商事、三井物産、住友商事、丸紅など有力企業がスリランカへの進出を果たしています。

 

■投資メリットと課題

■投資メリット

スリランカは、下記の3点が投資をする上で魅力的な国だといえます。
・通信、電力、交通の各インフラの発達
・地政学的優位性
・観光産業の繁栄

■インフラ面の発展

[電気通信のインフラ]
近年、整備計画が最も成功した分野といえるのが電気通信です。1996年の規制緩和と1997年のスリランカテレコム(SLT:SriLanka Telecom)の一部民営化によって、電気通信分野の成長が加速されました。固定回線電話網は、1997年から2001年にかけてほぼ倍増し、70万8,200回線の電話網が設置されました。移動電話は激しい競争によって1999年から2001年にかけてユーザー数が3倍増となり、ユーザーの数は66万7,662人でした。2005年の電話の普及率は移動回線も含めると100人当たり6.3人に達しました。
そして2009年には近隣国に先駆け3G(第3世代移動通信システム)サービスを開始しました。テレコム・マレーシアをはじめ、インドのBharti Airtel、香港のハチソン・ワンポア、Maxis Telecomなどの国際事業者がサービスを提供しています。またスリランカのすぐそばには大容量海底光ファイバー・ケーブルSEA-ME-WEIII、SEAME-WEIVが通っていて、ますますの拡大が期待されます。
[電力のインフラ]
スリランカでは2014年現在、電力の10%が再生可能エネルギー、22%が石炭火力発電、33%が石油火力発電、34%が水力発電によってまかなわれています。
急激に増加し続ける電力需要に対応する為、中国のEXIM銀行の資金協力の下に、石炭火力発電所が2011年から2014年にかけて3基設立されました。
政府は2020年までに再生可能エネルギーによる発電量を20%に、更に2025年の電力供給設備の容量を6400MWにする目標を掲げています。
[交通のインフラ]
現在、スリランカの交通は、ほとんどを道路に頼っており、旅客、貨物ともに全輸送量の8割を占めているともいわれています。総人口の3割程度は、首都が位置する大コロンボ圏(ガンパハ県(GampahaDistrict)、コロンボ県(ColomboDistrict)、カルタラ県(KalutaraDistrict)に集中していて、大コロンボ圏では道路の利用過多や総合的な交通管理がなされていないことから、慢性的な交通渋滞が顕著となっており、2005年当時で通勤時のピーク時における自動車の平均時速が時速10km、日中平均でも時速30km以下でしか進むことができないほどでした。政府は交通量の増加に伴う交通事故等の多発に対応すべく、既存道路の改善、新規道路や高速道路の開発、農村道路の開発やコンクリート舗装による改良を行っています。また、都市部だけでなく、国の道路網の改善は特に農村道路の建設に高い優先順位を与えています。
2009年に始まった、政府主導の農村道路の整備やコンクリート舗装を推進する「ガマ・ナグマ(GamaNeguma)」プログラム(農村開発プログラム)によって、地方自治体や研究機関が主体となり整備が現在も進められています。アジア開発銀行は2014年に、スリランカ、南部州、サバラガムワ州、中部州、北中部州、北西部州とカルタラ地区の6州でこの計画を実行するために8億USドルの融資支援を行いました。
鉄道は通勤需要を満たすのと同時にコロンボ周辺の交通渋滞を減らす上でも重要な手段となっています。2010年3月時点で、スリランカの鉄道網は全長1,447km、172駅、10路線であり、コロンボを中心として放射状に拡がっています。
鉄道や空港の整備を行うことで、道路利用偏重から公共交通機関利用へのシフトを促し、市民活動や経済活動を活発化させるべくインフラ開発事業が進められています。この状況が改善に向かえば、物流や人の流れがスムーズになり、国民生活の質の改善や地域格差の是正、国全体の経済成長につながることが期待されます。
スリランカでは港湾サービスが発達しており、コロンボ港は南アジア1位の港と評価されています。
コロンボ港はベンガル湾とアラビア海の中間に位置する地理的に有利な条件を活かし、南アジアの中継基地としての役割を担ってきました。また、アジアだけでなく、中東と極東の間の最も戦略的な貿易地でもあります。今、世界で最も高い経済成長率を見せているアジア、そしてドバイ等中東諸国へのゲートウェイとなる、戦略的に重要な位置にあります。
スリランカとインド、そしてパキスタン間で締結されている自由貿易協定(FTA:FreeTradeAgreement)も、スリランカ活用の可能性を広げています。横浜まで9日、インドの主要港までは8時間~3日、シンガポールまで3日、中東ドバイ・バーレーンまで5日という好立地のため貿易のハブとして活躍しています。また、コロンボ空港のほかにもスリランカ南部にマッタラ・ラージャパクサ国際空港が建設され、スリランカ第二の国際空港として整備が進められています。

■地政学的優位性

地政学的優位性についてはBRICsの一員であるインドとの距離が、一番近いところで30kmしか離れていないことがあげられます。昔からスリランカとインドは交流が深く、インド・スリランカ自由貿易協定
(ISFTA:Indo Sri Lanka Free Trade Agreement)が結ばれています。そのため、多くの品目の関税がインドとの貿易においてかかりません。
また、アフリカや中東、アジアを結ぶ中間点に位置しており、物流の拠点として大変重要な国であることもわかります。今後はこの地政学的優位性を存分に発揮して、ネクストアジアとして大きく成長が見込まれます。

■観光産業の繁栄

観光産業の繁栄については、世界遺産が8つ(文化遺産が6つ、自然遺産が2つ)もあることで、世界各国から旅行者を多く呼び込める可能性を秘めています。
更にはスリランカの南西海岸にはゴールデン・ビーチと呼ばれる褐色のビーチが続き、更に南下すると世界有数のリゾートホテルが立ち並びます。現在のところスリランカへの年間訪問客数は2012年に100万人を突破し、内戦終結と好調な経済が呼び水となり、今後も更なる成長が期待されています。特に中間層が3億人強もいるインドからは、将来的に多くの訪問客数を見込めます。

■投資課題

スリランカへの投資環境面の問題は次の3点です。
(1)政府の不透明な政策運営
改善策としては、BOIが管理する輸出加工区(EPZ:Export Processing Zone)内の工業用水の供給改善や通関システムの効率化があげられます。
(2)不安定な政治・社会情勢
内戦が続き、一応の終結を迎えたものの、いまだに社会情勢が不安定という印象があり、さらには不透明な法制度も投資に踏み切れない要因の1つとなっています。
(3)インフラの整備状況が不十分
日本では環境の観点から鉄道による運送も多く使われており、鉄道輸送は一般的です。一方、スリランカでは鉄道がマイナーな存在であり、運輸セクターだけでなく旅客輸送ですら拡大していません。
前述の投資メリットでも述べた通り、インフラ面については徐々に改善されています。現在は投資課題としてあげられるものの、整備が完了すればスリランカの経済成長へとつながるでしょう。

 

投資規制とインセンティブ

■投資規制

さまざまな通達が出されているため、当局の担当者によって回答が異なるなどの理由から、スリランカの投資規制を体系的に整理するのは困難な状況にあります。

■禁止業種・規制業種

スリランカの外国資本に対する規制は、投資庁(BOI)が中心となって定めています。投資規制の程度により、大きく3つに分類することができます。
[外国資本の参入が禁止される業種]
以下の事業については、外国資本企業の投資が禁止されています。
・質屋業
・資本500万USドル未満の小売業
・沿岸漁業
[スリランカ政府の自動承認または条件付承認を必要とする業種]
以下の事業を行う場合には、外国資本比率が40%以下の場合は、自動承認により事業を行うことができます。ただし、外国資本比率が40%を超える場合には、投資案件ごとに、BOIの審査を通過し、事業認可を取得しなければなりません。
・スリランカからの輸出で、国際的に定められた割当制限の対象である輸出財の生産
・茶・ゴム・ココナッツ・ココア・米・砂糖・香辛料の栽培および第一次加工
・再生不可能な自然資源の採掘および第一次加工
・スリランカの木材を使用する林業
・漁業(遠洋漁業)
・マスコミ
・教育産業
・貨物輸送
・旅行代理店
・海運代理業
[関連政府機関の事前承認が必要な業種]
以下の事業を行う場合には、  関係する政府機関(一定の場合、 BOI)の事前承認を得なければなりません。
・航空運送業
・沿岸海運業
・1990年法律第46号、産業促進法の第2予定表に記載されている産業事業:武器・弾薬・爆発物・軍用車両・軍用設備・軍用機・その他軍用ハードウエアを生産する産業。毒物・麻薬・アルコール類・危険薬物・ 危険毒物・危険有害物質・発癌性物質を生産する産業。貨幣・硬貨・有価証券証書類を作成する産業。
・宝石の大規模・機械化採掘業
・富くじの胴元業

■ 土地に関する規制

新たに外国人及び外国企業は土地の購入が禁止となるため、スリランカへ進出する場合は、土地をリースする形となります。適用対象は、2013年1月1日以降に購入された土地です。
これまで外国企業は購入資産価値の100%の資産譲渡税の支払いを行った場合、スリランカの土地の購入が可能でしたが、(2004年法律第8号、財政法・同改定)2015年施行の新土地法では、外国企業・外国資本が50%超の株式を保有する場合、土地購入が禁止されています。
コンドミニアムの場合、4階部分以上は適用外となります(1~3階は外国企業・外国資本による保有不可)。今後は、現在の印紙税及び付加価値税に加える形で、土地部分のリースに対するリース税が課せられます。

■ 支店に関する規制

現地法人を設立せず、本店と同様の活動を行うための支店を設置することができます。支店の場合、現地法人を設立する場合と異なる通達により、規制の内容が一部異なっています。
[ 禁止業種 ]
海外支店が行ってはならない事業及び取引活動
・貸金・質屋業
・200万米ドル未満の資本金での小売業
・沿岸漁業
・茶、ゴムノキ、ココナッツ、ならびに米の栽培および一次加工
・再生不可能な国内資源の採掘および一次加工
・貨物輸送
・海運代理店業
・機械による宝石の採掘
・宝くじ業
・個人や民間企業への警備コンサルティングを含む警備サービス業
[(為替管理局より) 事前認可が必要な業種 ]
 スリランカの輸出が国際的に定められた割当制限を受けている商品の生産
・砂糖、ココア、香辛料の原料となる植物の栽培および一次加工
・スリランカの木材を利用する木材関連事業
・遠洋漁業
・ マスコミ
・ 教育産業
・海外旅行代理店業
・地方の航空輸送業
・沿岸海運業
・下記物品の製造または生産に関する全ての事業
・武器、弾薬、爆薬、軍用車両、軍装備品、軍用機、およびその他の軍用機材
・ 毒薬、麻酔薬、アルコール、劇薬、毒性物質、危険性物質、および発癌性物質
・通貨、硬貨、または有価証券類

■ 資本金に関する規制

[ BOI 認可を取得しない場合 ]
現地法人 ➡小売業・卸売業(BOI見解。ただしROC見解では規制なし)は 100万USドル以上、物流業は貨物輸送・海運代理に関しては外資40%まで、その他(航空・沿岸運送)の許可範囲内。
[ BOI 認可を取得する場合 ]
BOI法 1 6 条認可 ➡ 小売業・卸売業(BOI見解)は500万USドル以上、物流業は貨物輸送・海運代理に関しては外資40%まで、その他の許可範囲内。
BOI法 1 7 条認可 ➡ 規制無し(例外:国内生産企業の一部に対して例外処置あり)。
〔海外支店〕
小売業・卸売業(BOI見解。ただしROC見解では資本金20万ドル以上)は 200万USドル以上、物流業は貨物輸送・海運代理に関しては外資禁止。その他の許可範囲内

■ 為替管理規制

[ 貿易取引 ]
商品の輸入取引に関しては特に規制がありません。輸入業者は、輸 入許可書、輸入信用状開設依頼書、手形支払条件の船積書類、または手形引受条件の船積書類の引渡時に、必要な外国通貨を商業銀行から購入することができます。
輸出業者は、外国為替管理の規制を受けることなく、自由に輸出取引を行うことができます。輸出代金については、スリランカ国内の商業銀行に開設しているルピー建口座か外貨建口座に入金する、または国外の商業銀行に留保する方法の、いずれかを選択することができます。
[貿易外取引]
一般政策として、国際収支取引の分類に該当する取引については、送金目的を提出したうえで、自由に外国に送金することができます。
例えば、スリランカ企業で雇用されている従業員の給与の送金、株主に対する配当金などが該当します。
[資本取引]
直接投資資本を清算した場合には、本国に送金することができます。また、駐在員がスリランカを離れる場合に預金残高を本国へ送金することも認められています。
一方、スリランカの居住者が外国へ投資する場合には、スリランカの輸出を促進し、技術移転や専門知識の移転などの利益をもたらすものに限り、認められます。
[借入]
外国からの借入
BOI法17条に準拠して、BOIと協定を締結した企業は、外国為替
管理の規制を受けずに外国から資金を借入れることができますが、その場合、外貨収益から返済しなければなりません。ルピーを外貨に交換する場合には中央銀行の承認が必要となります。
その他の企業の場合、外国からの短期借入は規制されています。中長期借入に関しては、利率などの借入条件次第で認められます。外国から資金の借入を行う場合、中央銀行の承認を得なければなりません。
国内での借入
スリランカ国内の商業銀行は、外貨を十分獲得できると見込まれる輸出業者に対して、外貨建貸付を行うことが認められています。この場合、元本及び利息の支払は外貨で行わなければなりません。
[支店に関する規制]
資金調達
支店の場合、資金調達の方法が以下のように制限されています。
・スリランカの市中銀行で「対内投資口座」(IIA)と呼ばれるルピー建の特別口座を通して、最低20万USドルを投資しなければならない
・送金証明書を、登記日から30日以内に企業登記局(Registrarof Companies)に提出しなければならない
本国への送金
海外支店から本国へ送金をする場合には、以下の書類が必要となります。
[現金による持込み・持出し]
スリランカ国内に1万5,000USドル以上を持ち込む場合は、税関において申告しなければなりません。ただし、出国する際に5,000USドル以上を持ち出そうとする場合は、1万5,000USドル未満の持込みをするときでも税関申告が必要になります。
なお、1万USドル以内の外貨を海外へ持ち出す場合は、税関申告は不要であり、紙幣で5,000USドル以上を持ち出す際に申告をしなければなりません。

■投資インセンティブ

BOIは外国投資を誘致するために、税金の減免を中心とした優遇措置を与えており、進出企業にとって大きなメリットとなります。ただし、複数の法律が発効されており、どの法令が適用されるか等、運用面では曖昧な点があります。ここでは、現在BOIにより公表されている所得税の免税についての内容を掲載していますが、この他、関税の免除などが業種により認められています。実際に進出する場合には、事前に優遇措置の有無、内容を確認しておく必要があります。
BOIのインセンティブ供与の判断基準は以下のように定められています。
・スリランカに公共のメリットがあるもの
・外貨獲得に貢献するもの
・雇用を増大させるもの
・技術をもたらすもの
[BOI法17条及び内国歳入法17A条による優遇措置]
2012年予算案により、優遇措置の内容が体系的に整備されることになりました。投資の規模により、優遇内容を区別し、大規模な投資ほど、より大きなメリットを享受できるような仕組みとなりました。
上記の他、資本財、輸出型プロジェクトの原材料の輸入に関する関税が免除となります。
上記の他、資本財、輸出型プロジェクトの原材料の輸入に関する関税が免除となります。
上記の他、資本財、輸出型プロジェクトの原材料の輸入に関する関税が免除となります。
輸入代替産業投資
輸入の代替産業を育成するために、下記に該当する業種に対しては、税制面の優遇措置が与えられます。
共通の優遇措置
BOI法17条に基づく優遇措置を受ける場合には、プロジェクトに関連する機械装置などの輸入品について生じた費用を削減するため、対象となる付加価値税、関税、PAL(港湾・空港開発税)は、BOIによって認可を受ければ、プロジェクト実施期間中は免除されます。

■工業団地情報

スリランカには、コロンボ近郊を中心に10カ所の輸出加工区(EPZ:Export Processing Zone)と2カ所の工業団地(IP:Industrial Park)が設置されています。
最も入居企業が多いのは、コロンボ港から約30km北にあるカトゥナヤカEPZで、80社を超える企業が操業しています。
EPZはインフラが整備されているのに加え、税制面で優遇措置が与えられるため、進出企業には大きなメリットをもたらしています。

参考文献

・ARCレポート2006スリランカ