GDPとGDP成長率
■ GDPとGDP成長率
2003年頃から数パーセントの高成長を遂げており、2009年には世界金融危機の影響を受け落ち込んだものの、翌年にはV時回復しています。
チリは地下資源を豊富に有する国で、資源輸出を牽引力として経済成長を続け、さらには、好調な経済を背景として中間層が拡大して内需が伸びるというという成長サイ クルに入っていると見られています。
財政と対外債務
■ 財政と対外債務
南アメリカ経済には、財政赤字、ハイパーインフレ、過剰な対外債 務といったイメージがつきまといます。1980年代から1990年代に は多くの国がそういった状況に陥っていましたが、その後の、経済開放政策と適切な財政運営によって、多くの国が21世紀には安定した経済基盤を手に入れているのが現状です。 中でも、チリは南アメリカ経済の優等生といわれており、好調な資源輸出に支えられて財政は健全で、外貨準備残高が高く、対外債務残高比率は低く抑えられているため総じて良好です。これらの指標を受けて、アメリカの大手格付け各社によるソブリン債の格付けは、1990年代に比べ改善され、アルゼンチン以外は投資適格となっています。
【ソブリン債格付け】
チリ Moody’s Aa3
S&P AA-
Fitch A+
貿易
■ 貿易
チリは貿易の自由化に積極的で、この10年間に貿易額を数倍に伸ばしています。輸出入ともに2009年は世界金融危機の影響を受けて後退しましたが、その翌年には大きく回復しています。チリは常に輸出が輸入を上回っており、貿易収支は黒字が続いています。
[ 品目別輸出 ]
チリは、輸出品に占める鉱物品等の 割合が大きく、58.5%となっています。その内訳は、5割以上は銅(世界一の銅の生産 国)が占めています。
[ 国・地域別輸出 ]
チリの対米輸出 が全輸出額は約13です。また、チリはアジア地域への輸出が大きな比重を占めており、中でも、中国への輸出が約 25%、日本への輸出が約10%となっており、アジアがきわめて重要な輸出先であることがわかります。
[ 国・地域別輸入 ]
総輸入額に占める割合は、チリはEU各国から輸入割合が10~18%程を占め、中国、日本、韓国の3 カ国からの輸入割合が約20~25%となっています。一方、ブラジルからの輸入割合は、チリは一桁台の割合であります。
産業別動向
■ 産業別動向
[ 農林水産業 ]
チリの農林水産業においては、ワイン等の製造のため、ぶどうの生産が大きな割合を占めるのが特徴的です。
[ 鉱業 ]
チリは銅の産出で知られますが、鉱業のGDP構成比は全体の10% 強程度です。資源の輸出に依存する「モノカルチャー」型の経済構造ではありますが、資源収入が中間層を生み、内需が拡大したことで、国内向け製造業などの産業も発展している状況です。 今後も、鉱業以外の産業をいかに発展させるかがポイントとなります。
[ 製造業 ]
チリは製造業が全体の10%強を占めますが、自動車の国内生産は 行っていません。国内で重工業の発達はあまり見られず、木材加工や 食品加工が中心となっています。
直接金融
■ 直接金融(株式)市場・為替
[ 証券取引所 ]
チリは国を代表する証券取引所を、政府機能の 所在地である首都において開設しています。チリのサンチアゴ証券取引所(SSE)は、2012年度の取引価額が 456億USドルに上り、時価総額も3,133 億USドルとブラジルを除く南米諸国では最大規模です。上場企業数では、2012年末でサンチアゴ証券取引 所が245社であります。
また、代表的な株価指数として、SSEのチリIPSA指数については、2014年9 月までは総じて堅調に推移していましたが、9月以降は下落していま す。
[ 通貨 ]
通貨は、チリは「ペソ」(頭に国名を付けて呼ぶ)となります。
外国直接投資
■ 外国直接投資(FDI)額
[ 業種別外国投資受入額 ]
FDIについては、額だけでなく投資先の業種を見ることで、雇用など国内経済にどれだけ影響を及ぼしているかがわかるといわれます。 コロンビアのFDIは、大半が資源開発に向けられ、 あまり雇用創出等につながらない構造となっています。
[ 国・地域別外国投資受入額 ]
FDIを投資国・地域別に見ると、投資実施国が世界に広く分散していることがわかります。特にチリは環太平洋パートナーシップ(TPP)の原始加盟国であり、その他アメリカ、カナダ、メキシコ、EU、中 国、韓国等とも自由貿易協定(FTA)を結んでいます。これにより世界のどの地域とも資本や財の移動を容易に行えるのです。また、チリと日本が二国間の経済連携協定(EPA)を結んでいます。
インフラ
■ インフラ状況
世界経済フォーラムが行う、インフラ等の世界競争力を調査する「国際競争力レポート(Global Competitiveness Report)2013‐2014」によると、チリは調査対象の全148カ国中34位となっています。
道路
南北アメリカ大陸を縦に貫くパンアメリカンハイウェイが、チリを通過。全般に南米はモータリゼーションが進み、道路整備は国内外の連携の下、広範に行われている。
鉄道
国土が長大なチリでは一時期栄華を誇った鉄道輸送も、今では空運や海運に押され、一部の大都市近郊路線を除いて衰退傾向にある。
港湾
チリ北部のアリカ港は、一部の管理運営権がペルーに譲渡され、また全取扱量のうち隣国ボリビアの貨物が大きな割合を占めるという特色ある港である。
空港
チリのアルトゥーロ・メリノ・ベニテス国際空港は主要な空港であり、エルドラド国際空港はア ビアンカ航空の、アルトゥーロ・メリノ・ベニテス国際空港はラン航 空のハブ空港となっている。
[ 交通インフラ ]
南米諸国におけるインフラレベルはそこまで高くなく、特に交通インフラについては、国際競争力レポートの調査対象の他の地域の国か ら大きく出遅れている印象があります。そのため中南米各国では、企 業間の国際競争力を維持するために、物流を効率化させる交通関連の インフラを充実させる取組を行っています。
【物流コスト対 GDP 比率】 チリの物流コスト対 GDP比率は18.0%であります。
南米諸国では輸送や流通にかかわる物 流コストの高さが昔から指摘されています。南米諸国を縦断するアンデス山脈等の影響もありますが、インフラ整備が不十分なことが主な原因です。 そのため、商品や製品が上手く流れず、企業が保有する在庫も増加 する結果をもたらしています。アメリカと比較した各国の在庫水準を 確認してみましょう。
【在庫水準(対アメリカ比)】
チリの対アメリカ比の在庫水準2.17 倍です。
市場概況
■ 市場概況
チリ市場の強みとして、1人当たりのGDPの高さ、コロンビア同 様に女性の社会進出および女性向けの市場の拡大など、新たなマーケットの開拓が進んでいる点、各国との貿易協定の締結、国内物流の安定などが挙げられます。 しかし一方で、南北にのびた国土であり、都市部以外の交通インフラの未整備、製造業の未発達などが投資の懸念事項となっています。 今後、留意すべき点としては、資源産業に依存した産業構造、外国企業投資と国内産業の育成のバランスが挙げられます。
日本企業の進出動向
チリの日本企業の進出動向をみると、2013年末の段階において、76社(これらの数字は日本企業による投資であり、現地在住の日本人が設立した法人は含まない)であり、同年における日本からの直接投資額は、チリは23億1,686万USドルとなっています。 チリが他の各国を抑えて進出企業数および直接投資額で断トツであります。
ビジネス環境の現状2015
■ ビジネス環境の現状2015
世界銀行と国際金融公社(IFC)が、「ビジネス環境の現状2015」 を共同で発表しており、このアンケートから世界の4カ国への評価を みることができます。チリは総合順位41位で健闘しています。これらの国は、投資家保護の面で共通して評価が高く、また、それぞれの強みを活かした外資誘致政策が一定の効果を挙げているといえます。