経済
経済動向
■GDPと経済成長率の推移
一方、一次産品の国際価格高騰や対中国輸出の伸びと、レアル高を背景とした製造業の国際競争力の低下などの複数の要因により、2011年の成長率はやや鈍化し2.7%台となり、2013年は2.5%、2014年は0.1%と辛うじてプラスに留まっています。0.5%と辛うじてプラスに留まっております。その後、2015年、2016年は-3%台のマイナス成長となりましたが、2017年より回復し、2018年は1.050%となります。
■国家財政の推移
■インフレの抑制
貿易
■国別・地域別の輸出
■国別・地域別の輸入
■品目別の輸出
輸出を品目別に見ていくと、大豆13.8%(331億USドル)、原油10.5%(251億USドル)等の一次産品が全体の49.7%(1,193億USドル)と多く、次いで乗用車2.1%(51億USドル)、航空機1.4%(34億USドル)等の工業製品が36.1%(865億USドル)、つづいて木材パルプ等の半製品が12.%(305億USドル)となっています。工業製品、一次産品が前年と比べてプラスになった一方、半製品は伸び率がマイナスとなりました。一次産品は18.1%増で、中でも原油は51.2%増、大豆油かすは34.7%増となりました。さらに、大豆は29.1%増と食品に関しても、増加傾向を見せております。なお、最大輸出国である中国の全体の43%を占めるのが大豆となります。
■品目別の輸入
出所:JETRO
産業別動向
■ブラジルの産業構造
■製造業
■農牧業
■鉱業
Latest News&Updates
【カナダとメルコスール間での自由貿易協定締結へ】
ブラジルカナダ商工会議所が主催したイベントにて、ブラジルとカナダ間における貿易関係の現状が発表され、将来自由貿易協定が結ばれた場合、例えば農作物など、ブラジル製品がカナダへ輸出されることによって、ブラジルに大きな恩恵を与えることになるであろうと発表されました。
今後も、メルコスール(南米南部共同市場)とカナダ間では、例外を設けず、幅広い範囲で交渉に及んでいくとの事であり、また、その他産業部門、自動車業界、輸送機器業界、なども前向きに検討しているとしています。
また、ブラジル外務省の話では、今後、ブラジルがカナダとの二国間での協議を行うことに興味を示しており、「2018年10月頃にカナダ政府の代表者との会合を検討している」と述べています。
一方、サンパウロのカナダ総領事館によると、国際協定に関する議論は、諸国の発展にとって不可欠であるとし、こちらも相互の協定締結へ向けて前向きな姿勢を見せていると言えます。
カナダメルコスール間にて自由貿易協定が締結されれば、今後、カナダへのブラジル製品輸出が一気に拡大することが期待できますので、今後の展開に注目していきたいと思います。
投資環境
アンケートから見るブラジルの投資環境
■日系製造業企業の海外事業展開の動向
いかし2018年では順位を2つ落とし12位となっています。
直接金融(株式)市場
為替
外国直接投資(FDI)
■国別外国投資受入額
■業種別外国投資受入額
インフラ状況
その他の投資メリット・デメリット
■人材
■巨大な消費市場(世界第5位の人口、中間層による消費への期待)
■日系ブラジル人
日系企業の進出状況
■日本企業の直接投資
■日本企業の進出数
主な地域情報
■アマゾナス州マナウス
■アマゾナス州アマゾン
■サンパウロ州
■リオデジャネイロ州
■パラナ州
■ゴイアース州
投資規制
■禁止業種
■規制業種
■資本金に関する規制
■外国為替規制
■その他の規制
投資規制とインセンティブ
ブラジル国内において、連邦レベルでのインセンティブは外国資本とブラジル資本とで大きな差異はありません。投資に対する促進機関として、ブラジル輸出投資振興庁(Apex Brasil:AssociacaoInternacional de Programacao Existencial)、マナウス・フリーゾーン監督庁(SUFRAMA:Superintendencia da Zona Franca deManaus)、 アマゾン地方開発監督庁( SUDAM:Superintendenciado Desenvolvimento da Amazonia)や 北東部開発監督庁( SUDENE)があり、それぞれの管理監督において、斡旋している 投資インセンティブが異なります。これらは主に低開発地域の雇用創出や産業育成を目的としており、中小企業に対して初期投資の助成金援助や融資を行っています。
連邦レベルのインセンティブには、特定地域開発の観点から設けられている優遇措置と、特定産業の発展の観点から設けられている優遇措置があります。以下、この2つの観点から考察していきます。
■特定地域投資支援
特定地域投資支援における地域別優遇措置は、主にマナウス・フリーゾーン、アマゾン地域、北東地域の3地域に区分されます。詳しい内容は以下の通りです。
[マナウス・フリーゾーン(ZFM)]
ブラジルでは、外資系企業誘致による国内産業の発展を促進しており、地方開発と結びつけたフリーゾーンの設置が行われています。このうち、マナウス・フリーゾーン(ZFM)には、製造業を主とする日系企業も多数進出し、成功しているフリーゾーンの一つといえます。マナウス・フリーゾーンに立地する企業の主な事業は、海外から部品を輸入して完成品を組み立て、主にブラジル国内向けに販売するというビジネスモデルに基づいて行われています。
奨励業種に関しては、特に外資、内資は区別されていません。情報通信関連、航空機産業関連、自動車産業関連には、仮想保税工場システム(RECOF制度)と呼ばれる輸出入向け製品に関する特別措置があります。
下記の優遇措置の多くはブラジル産業技術開発計画(PDTI)に基づいています。企業は当該計画に基づくプロジェクトを開始する前に、産業開発特別事務局(SDI)を通じて産業開発諮問委員会(CDI)宛に伺書を提出し、会社情報、事業目的等の詳細について、説明を行う必要があります。CDIの承認が下りたのち、企業はプロジェクトを遂行することになります。
税制上の優遇措置
マナウス・フリーゾーン監督庁(SUFRAMA)から認可を与えられた企業に対して、以下の恩典が与えられます。
(1)法人所得税(IPRJ)の免税
マナウス・フリーゾーン監督庁における申請手続きを行った企業に対して、課税所得に対する法人所得税が免税、課税所得に対する社会分担金(CSLL)負担率9%のうち25%が免税されます。
ちなみに、法人所得税は通常月額2万レアル(年額24万レアル)以下の利益額に15%、月額2万レアルを超える利益額(年額24万レアル以上の部分)については25%が課税されます。
(2)輸入税(II)の免除
マナウス・フリーゾーン監督庁にて認可を受けたプロジェクトである場合、ブラジルに輸入される外国商品や生産物、製造プロジェクト、設備投資や製造工程で使用される消費財などに対して課税される輸入税が免除されます。また、同機関にてプロジェクト認可を受けているマナウスの中間財メーカーから、完成品製造のために輸入部品を購入した場合も、同様に免除となります。
ただし、認可工業プロジェクトを行う同地域の法人が、フリーゾーンから製品を持ち出す場合は、輸入原料、部品等の輸入税に対して最大で88%免除、例外として四輪、トラクターおよびその部品、情報機器については、免税率の算出に対して国産化率に基づく計算式(CRA=[国産材料費+直接人件費]/[国産材料費+輸入材料費+直接人件費])が適用されます。 また、情報産業関連機器、車両製造については、労働コストを含めた国産化率による免税が適用されます。
(3)工業製品税(IPI)の免除
マナウス・フリーゾーン監督庁にて認可を受けたプロジェクトである場合、工業製品ごとに定められている付加価値税である工業製品税が、製造、輸入、国産商品購入ともに100%免除されます。また、マナウス・フリーゾーンによる認可プロジェクトとして製造された工業製品の移出の際の工業製品税も免除の対象となります。
(4)商品流通サービス税(ICMS)の減免措置
商品流通サービス税は州ごとに異なる付加価値税ですが、フリーゾーンにおける生産を目的として部品等を輸入した場合や、製造に使用される機械などの固定資産を搬入する場合には免税となります。また、完成品を出荷する際は、通常のICMS税率が55〜100%減免されます。商品流通サービス税は州税であり、減免措置の享受にはアマゾナス州企画・経済開発庁(SEPLAN)内に設置されている開発審議会(CODAM)の認可が必要となります。一般完成品の還付率は原則として55%ですが、製造製品ごとに同州審議会より許可が下りるため、製品によりその減免率は異なります。詳細はアマゾナス州の州法2826/2003にICMSの税制恩典に記載されています。
(5)社会統合計画・社会保険融資負担金(PIS/CONFIS)の減免措置
社会保障関連税であるPISおよびCONFISは、正確には税金とは少し異なりますが、企業の負担金として連邦国税庁が徴収監督を行うことになっている税金の一種です。部品などを輸入する際の課税は免税となり、輸入部品等を使って生産した完成品を出荷する際には通常の合計税率9.25%が条件によって下記の通り減免されます。
・搬出先がマナウス・フリーゾーン内の企業の場合は3.65%減免
・搬出先がフリーゾーン外の場合は3.65%減免
・PIS/CONFISの非累積課税方式が適用される企業の場合は3.65%減免
・累積課税方式が適用される企業の場合は7.3%減免
(6)サービス税(ISS)
サービス提供受取対価に対して課税される間接税の一種であるサービス税については、マナウス市が承認する企画に関するサービスを提供する企業に対して、マナウス市サービス税(5%~10%) が免除されます。
(7)流通サービス税(ICMS)
州によってそれぞれ定められている付加価値税であるICMSは、55%減税~100%減税(免税)となります。
[アマゾン地域]
アマゾン地域はブラジル国土の60%を占め、アクレ州、アマパー州、アマゾナス州、マト・グロッソ州、パラー州、ロンドニア州、ロライマ州、トカンチンス州の各州、およびマラニョン州の一部が該当します。この地域においては国家統合省管轄下のアマゾン開発監督庁(SUDAM) が地域優遇措置を管理しています。
アマゾン地域の優遇措置を受けるためには、企業はまずアマゾン開発監督庁宛に会社登記書類、プロジェクトにかかる書類等を提出し、プロジェクトの概要を説明する必要があります。そちらをもとに、特別プログラムとして適格か否かの審査を当局に要請します。要請が認められると3~4カ月後に正式な審査が行われます。審査に対し、将来的なファイナンス計画や製造費用、技術並びにマーケティングの詳細等について正確な内容をまとめた資料を提出する必要があります。なお、アマゾン開発監督庁がプロジェクトを承認するのは、審査開始から通常は約6カ月後となります。
税制上の優遇措置
アマゾン開発監督庁から認可を与えられたプロジェクトを実施する法人に対しては、以下の恩典が与えられます。
(1)法人所得税(IPRJ)の減免措置
アマゾン開発監督庁管轄のアマゾン流域地域への投資事業に対して、事業所得に対する法人所得税の課税が、10年間免除、もしくは減税されます。また、工業設備の更新や増設、新規事業プロジェクトの立ち上げを行う場合、それらの稼働から10年間は、更新、増設、新規プロジェクトから発生した所得に対する法人所得税も免税、もしくは減税されます。
しかし、1997年法改正後の1998年以降に許可されたプロジェクトについては、免税では無く減税のみの恩典となっており、また、2014年以降は、法人税の恩典が廃止される予定となっています。
暫定措置令2058/00号によると、2000年1月1日~2013年12月31日の期間に承認・登録されたプロジェクトで、新規実施・拡張・設備更新などを行う法人に対しては、稼働より10年間は75%の所得税減税措置が適用されます。
(2)流通サービス税(ICMS)の減税措置
州によってそれぞれ定められているため、減免率は州や商品の種類によって個別に設定されています。減税の適用には、アマゾン開発監督庁の認可が必要となります。
(3)商船更新追加税(AFRMM)の免除措置
海上貨物の場合、通常は輸入時に商船更新追加税(AFRMM)として海上運賃の25%が課税されますが、アマゾン開発監督庁の評価を受けることにより、免除恩典を受けることができます。2010年12月30日付暫定措置令517号によれば、この恩典は2015年12月31日まで適用の余地があります。
[北東地域]
北東部開発庁(SUDENE)には、マラニョン州、セアラー州、ピアウイ州、リオグランデドノルチ州、パライーバ州、ペルナンブッコ州、アラゴアス州、セルジッペ州、バイーア州、エスピリト州・サント州の各州、およびミナスジェライス州北部地域が含まれます。現在は経済発展という点では立ち遅れ気味ですが、今後連邦政府によって政策的な産業振興等が図られることが期待されています。
税制上の優遇措置
北東部開発庁から認可を与えられたプロジェクトを実施する法人に対する税制上の優遇措置については、上述のアマゾン開発監督庁アマゾン地域と同様の恩典となります。また、北東部開発庁が地域優先分野として設定している事業分野に関しては、法律に基づいた形での公表がされていません。
【その他の優遇措置】
サンパウロ州およびリオデジャネイロ州においても、投資の際における州税および市税上の優遇措置を受けることが可能です。両州の優遇措置の詳細、適用条件、適用可否については、すべて州政府との個別交渉となっています。
■特定産業投資支援
特定産業投資支援における産業別優遇措置は、ブラジル産業における国際的な競争力の強化、貿易拡大および産業発展という観点から、情報通信関連事業、自動車産業関連事業および技術革新関連事業に関する措置として、以下のように定められています。
産業別優遇措置の種類は以下の通りです。
- 半導体産業支援プログラム(PADIS)
- デジタルテレビ装置産業の技術発展支援プログラム(PATVD)
- インフラ投資プログラム(REIDI)
- 技術インセンティブ(TI)
- 自動車産業のインセンティブ
【半導体産業支援プログラム(PADIS)およびデジタルテレビ装置産業の技術発展支援プログラム(PATVD)】
半導体産業支援プログラム(PADIS)およびデジタルテレビ装置産業の技術発展支援プログラム(PATVD)については、以下表の優遇措置となります。PADISおよびPATVDは法律11484/2007(LEI Nº 11.484, DE 31 DE MAIO DE 2007)にて定められています。同プラグラムは、半導体のデザインを含むIC生産行程を行う法人、IC製造を含む液晶パネル、プラズマパネル、LEDの製造を行う法人や、デジタルTVチューナーの製造を行う法人などが該当します。
しかし、上記の優遇措置を受けるための条件および期間はそれぞれ異なり、下記の表の通りになります。
また、PADISおよびPATVDによる優遇措置を受けた企業は、毎年7月31日までにインセンティブに関する報告書を作成し、科学技術省へ提出する必要があります。(法律11484号7条、18条)。
【インフラ投資プログラム(REIDI)】
インフラ投資プログラムに対する特別税制恩典(REIDI)は、法律11488./2007(LEI Nº 11.488, DE 15 DE JUNHO DE 2007.)にて定められ、インフラ投資、プロジェクトの建設や工事を行う法人に対して与えられます。運輸事業(高速道路、鉄道、水路、都市交通システム、港湾)、電力事業(水力、風力、原子力、太陽発電)、公衆衛生事業、農業水利事業を行う際に、固定資産に使用される新たな機械、装置、建材、提供したサービス、設備における国内取得、輸入に係るPIS/COFINS税が優遇されます。
上記の優遇措置を受けるためには、当該事業の許可の取得および連邦国税庁からのCNPJ(税務登記番号)を取得し、許認可を取得する必要があります。
これらの要件を満たせば、事業の許可取得から5年間、通常税率9.25%が免除されます。
【技術インセンティブ(TI)】
技術インセンティブは、法律11196/2005(LEI Nº 11.196, DE 21 DE NOVEMBRO DE 2005.)にて定められ、研究開発および技術発展の促進を目的とした、ハイテク産業に係わる企業が該当される優遇措置となります。大学や技術研究所などの研究機関との共同開発も含め、技術開発投資を行う法人に対して、法人所得税などの恩典が与えられます。恩典の有効期限は条件によって異なりますので注意が必要です。優遇措置を享受するためには、連邦国税庁からのCNPJ(税務登記番号)取得と研究プログラム、技術発展・技術革新の内容に係わる情報提供、科学技術省の認可取得などが必要になります。
■その他の奨励措置
[情報通信法による奨励措置]
2004年の法律第11077号(情報法、Lei de Informatica)で改正された情報通信法によると、情報産業法(法律8248号、法律10.176/01にて制定)に基づき、ブラジルで製造された情報機器にかかる工業製品税(IPI)の免除および減税を定めています。これはマナウス・フリーゾーン監督庁でも同様の奨励措置となります。
減税率は2004年1月1日以降、2014年末までは80%、2015年末まで75%、2019年末までは70%の減税となります。また2010年12月30日付暫定措置令517号によれば、ブラジル国内にて開発された情報機器についての減税率は2014年末までは100%となり、2015年末までは90%、2019年末までは70%減税と定められています。
この優遇措置を受けるためには、2014年12月31日までの投資条件として、企業はブラジル国内における情報機器の販売・サービスに係る国内売上高から、一定額を差し引いた金額の4%を毎年ブラジル国内で行われる情報技術分野の研究開発活動に投資する必要があります。
また、上記国内売上高の1.84%以上は次に規定される条件のもと、協定等により科学技術省の指定を受けた教育機関あるいは研究機関に対し投資しなければならないとされています。
1)中西部およびアマゾン地方開発監督庁(SUDAM)・北東部開発監督庁(SUDENE)管轄地方の機関に売上高の0.64%以上を投資すること
2)その他の地域の機関に対し売上高の0.8%以上を投資すること
3)全国科学技術開発基金(FNDCT)へ売上高の0.4%以上を投資すること
ただし、ブラジル中西部、北部、北東部に設立を希望する企業に対しては工業製品税の減税率、研究開発投資の条件が異なります。工業製品税の減税率に関して、2003年12月31日までは免除が定められていましたが、2004年~2014年末は95%、2015年末までは90%、2016~2019年末は85%となります。