第13章 インド-国際人事マネジメント

国際人事マネジメント総論

■人事マネジメントの4つの切り口

 マネジメントの父と呼ばれるP・F・ドラッカーは、「マネジメント とは、事業に命を与えるダイナミックな存在である。彼らのリーダー シップなくしては、生産資源は資源にとどまり、生産はなされない」 と述べています(P・F・ドラッカー『チェンジ・リーダーの条件』)。 一般的には、国際人事マネジメントの成功要因として、現地の気候 やインフラ状況などの環境、国民性、文化などに適応したマネジメン トを構築できるかどうかが挙げられます。 一方で、人事マネジメントを行う上で、変えてはいけない本質もあ ります。それは「組織とベクトルの合った人材を教育していくこと」 です。この本質を変えてしまえば、会社として統一された人事マネジ メントができず、国際経営もまた破綻します。 本質的な人事労務マネジメントを考えるにあたっては、まず、人事 を4つのテーマ(採用、賃金、評価、教育)に分けて考える必要が あります。インドにおける人事マネジメントも同様です。 「企業は人なり」という言葉があるように、人材のいかんによって、 企業の成長が決まると言っても過言ではありません。優秀な人材の確 保には、外部から優秀な人材を連れてくる方法と、自社内の人材を教 育する方法があります。
採用は、外部からの人材調達であり、賃金、評価、教育は、内部の 人材育成方法に関わるものです。人事マネジメントのポイントは、教 育に繋げるための賃金設計と評価制度設計をひとつの人事マネジメン ト機能として構築することにあります。
そのためには、会社として統一的な方針を持ち、それに合った行動 ができているかという評価基準を持つことが必要不可欠となります。 全社統一した人事マネジメント方針を明確に共有していないと、労働 問題の解決やそれに必要なインド人との交渉を有利に進めることが困 難になる恐れがあります。

全社として統一的な方針を定めた上で評価を行い、出した評価結果 は必ず社員にフィードバックすることが重要です。「当社は○○を評 価する会社です。しかしあなたは○○が××の分だけ足りません。 だからあなたの評価は△△です」といった評価結果のフィードバック は、会社の方向性および「優秀な人材の定義」を会社として示すこと を意味します。

フィードバックに際しては、定量化して具体的に明示できるように しておくことが必要です。「何が、どれだけ足りないのか ?」を会社 として社員に明示できることが望ましいと言えます。このフィードバ ック機能が十分でないとインド人からの賃金アップの交渉に対応がで きません。

評価制度の構築は、「会社としてどのような人材を評価するのか」 という優秀な人材の定義づけを明確にすることから始まります。

どのような人材を理想とするのか」を決めることが、組織における評価や採用、教育までのすべての方向性を決めることになります。 最終的に、この方向性が実際の人事に反映されることにより、社員に浸透が図られるのです。

また、一貫性と透明性のある評価制度の導入は、社員の納得性を高め、会社が優秀とみなす社員の定着率向上にも繋がります。 社員に甘い評価制度は、全体の社員定着率を高めますが、必ずしも会社が欲する社員の定着率を向上させるわけではありません。会社が優秀とみな さない社員の定着率の高さは、優秀な社員の採用を阻害する要因にもなります。

■人事マネジメントの指針

インドでは職務に必要な知識・技術の習得は個人責任であるというような考え方があります。 社員は、職務をまっとうすることを求められ、それが自己の成長や評価に繋がると認識できれば、意欲を持って仕事に取組みます。

そのためには、職務を明確に区分し、各自の役割を明らかにしなけ ればなりません。日本におけるマネジメントのように上司が部下に

「背中を見せる」だけでは部下にはその意図が伝わらないばかりか、 求める方向に行動を起こさせることはできません。

特に「チームワーク」や「忠誠心」のように成果の見えづらい行動を求める場合はなおさらです。日本人がインド人を動かすうえで最も 苦労するのが、チームプレーをさせることです。行動することで得られる利益を明確にして教え続けることが要求されます。

たとえば、インドや日本をはじめ約 8 0 カ国に事業所を持つ P&G では、「世界の人々の、よりよい暮らしのために」という企業理念を持ち活動しています。

これは国や地域が変わっても普遍的なもので す。国や文化によって「よりよい暮らし」の定義が変わるため、販売 などの戦略は変化しますが、より良い暮らしを目指すことには変わり はなく、会社のビジョンや戦略に基づいて統一された人材の育成や採 用・評価が行われています。

私たち日系企業にとって、インドは魅力的な市場であり、進出する ことの意義を非常に強く感じることができる国だと言われています。 しかし、単に自社の利益のみを追求するのではなく、自社が進出する ことによりインドにどんなことをもたらしたいのかといった社会的意 義を、現地のスタッフに伝える必要があります。

会社が本国の利益のためだけに活動をしているとなれば、現地の社 員にとっての働く目的は「お金を稼ぐため」「家族のため」「ステータ スのため」と自分本位になってしまいます。特にインド人は家族を大 切にしているので、時として、家族より仕事を優先できる日本人とは 大きく異なります。インド人が家族を大切にすることは良いことです が、家族が体調不良だという理由で、重要な仕事を放置して、簡単に 休みを取ることさえ、往々にしてあります。

このように、インド人の考え方を正しく理解したうえで、管理をして行く必要があります。 インドにおいて、企業の社会的意義や経営理念を浸透させることは、日本で行う以上に大変ですが、良い企業を作るためには不可欠です。

採用実務

■採用フロー

日系企業がインドに会社を設立した後、活動規模に応じて、現地労働者を募集する必要が出てきます。
インドにおいて現地スタッフの募集を行う場合には、日本と同様に募集要項を掲示し、書類選考や面接を経て採用を行います。インドでもインターネットの普及により、ホームページからの募集が行われて
います。また、古くから新聞紙面での募集活動も盛んです。

[ 募集要項]
インドの採用方法は日本よりも欧米のそれに近く、多くの企業が職務分掌(ジョブ・ディスクリプション)で職務範囲を比較的明確に規定しています。
職務範囲は採用後にも大きくかかわってきます。職務範囲を明確に定めることは、良い面と悪い面があります。良い面としては、与えられた自分の仕事に、責任を持って取組みやすくなります。
一方、悪い面は、2 点あります。1 点目は、与えられた仕事にしか取組まないということです。たとえば、職務分掌に記載されていない掃除は、清掃のために雇われた人の仕事であると考え、工場内で自分
の作業場の近くにゴミが落ちていても、拾わないことが多くあります。カースト制度の考え方は、ここにも色濃く反映されます。これは、日本企業が得意とするカイゼンや5S にも影響します。
2 点目として、自分の仕事に対して責任を取ろうという姿勢から、その場で自分が対応できないであろう仕事に対しても、“It’s OK, noproblem.”(問題はありません)という返答をすることがあります。これには注意が必要です。インド人は、常にOK と返事をする習慣が
あることを覚えておかなければなりません。もちろん、状況によって異なりますが、“No problem.”と答えておきながら、実は後で知り合いに聞いたり、あるいは調べて対応することもあります。この背景には、インド人の、相手を安心させるための言葉を選ぶ傾向があります。まだやっていない仕事に対して、“Iʼvealready done it.”(終わりました)と答えるケースすらあります。
日本人にも「はい。わかりました」とばかり答えるイエスマンが多いとよく言われます。日本人は、多くの場合は言い方や表情で自信がないことがわかりますが、インド人は自信を持って答えるので、なか
なか判断がつきません。“I see. No problem.”(わかりました)は、「やってみます」くらいの意味で捉えたほうが無難かもしれません。書類選考や面接などの際には、語学能力について確認することも必
要です。募集をする現地労働者に、英語力を要求する場合には、筆記試験の実施や合格証明書などで、その能力を確認します。
[ 労働条件明示書]
書類選考や面接を経て、応募者に内定を出す際には、内定通知書(Offer Letter)を提示します。内定通知書を提示する際には、単に労働条件等を伝えるのではなく、内定の理由、自社で働いてほしい理
由、自社がインドで企業活動を行っている業務の目的や社会的意義、本人の志望動機とのすり合わせを行うことで、求職者の入社率を高めることが大切です。
応募者が入社の意思を示した場合には、労働条件明示書(Appointment Letter) の提示、雇用契約書(EmploymentAgreement)の締結、就業規則の確認を行います。インドでは、企業によっては、労働条件明示書を雇用契約書として使用しているケースもあります。
[ 試用期間]
インドでは労働者保護が強い傾向にあり、1 9 4 7 年労働争議法(Industrial Disputes Act, 1947)で解雇について厳格に規定されています。そのため、労働者の雇用にあたっては、試用期間を十分に活
用して、雇用のミスマッチを防ぐことが大切です。試用期間は小規模店舗法や工場法で3 カ月までと規定されていることが一般的ですが、地域によって6 カ月とされているケースもあります。
また、雇用慣行として、法令で規定されている期間の2 倍まで許容される場合もあります。ただし、その場合には、正当な理由が必要です。たとえば、試用期間を経ても十分な実績が出せず、あるいは勤務態度が不良であるなど、本採用をしかねる理由がある場合などです。
試用期間が終了し本採用をする場合には、事前に本採用決定通知書(Confirmation Letter)を明示することが望ましく、同様に不採用の場合には、最低でも1 カ月前にその旨を通知することで、トラブルを防ぐことが大切です。
また、試用期間中の退職通知期間については1 週間程度と、正社員と比べ短く設定しておくことが、被雇用者および雇用者双方にとって良い条件となります。

■就業規則

日本では1 0 0 名以上の労働者を雇用している工場の場合、労働条件や服務規定など、会社と従業員の決まりごとを就業規則によって明文化することが義務づけられており、会社は就業規則を労働基準監督
署に届出ることになります(労働基準法89 条)。
インドの就業規則は主に三種類あります。
① 産業雇用(就業規則)法によって規定されているStandingOrders
② 企業で作成し従業員に開示するEmployee Manual、EmployeeHandbook、HR Policy
③ HR の担当者が実務的に用いるHR Manual(従業員開示内容に比べ、より複雑な手順等が記載されてる)
※企業の規模および条件によって①および③の作成のない会社もあるStanding Orders では、労働者の分類(常用、臨時、不慮の欠員が生じた際に補充要員として雇われる日雇労働者であるパドゥリ等)、
労働時間、シフト制、休日、始業・終業の時刻、雇用の終了、停職または解雇、違法行為などの労使双方の権利・義務について規定します。ほとんどが、法務および労務に関わる内容となります。
なお、実務上は、Standing Orders に人事的な内容を加えたEmployee Manual 等が運用されています。就業規則はHR Policy やEmployee Handbook の名称で作成するケースが多くなります。
規定する労働条件は、事業所の業種や人数によって、小規模店舗法や工場法で定める労働条件以上の条件を盛り込みます。これらの法律は、当該事業所のある州によって規定される労働条件に違いがみられ
ますので、注意が必要です(小規模店舗法や工場法の詳細については、11 章を参照)。

就業規則に規定する項目の例として、下記が挙げられます。

[ 就業規則の作成・届出義務]
就業規則の作成・届出義務の対象となるのは、従業員を1 0 0 名以上雇用している工場です。しかし、デリーの管轄区内に登記している事業所の場合は、過去12 カ月間に50 名以上の従業員を常時雇用
している事務所までが対象となるなど、州によっては1 0 0 名未満でも提出の必要がある場合もあります(産業雇用(就業規則)法1 条、範囲と適用3 項)。
作成・提出の対象となる事業所は労働局に就業規則を届出て、労働局委員会の認定を受けなければなりません。

[ 就業規則に関する罰則]
就業規則の作成を怠り、届出を行わない場合には、上限5,0 0 0 ル
ピーの罰金が科され、届出をするまで上限2 0 0 ルピー/ 日が課金さ
れます。また、記載内容が法規制を遵守していない場合は上限1 0 0
ルピー、是正しない場合は、上限25 ルピー/ 日が課金されます(産
業雇用(就業規則)法13 条)。
[ ノンワークマンの取扱]
労働法上、ノンワークマン(Non-Work Man)は、就業規則や労
働法の適用外となります。したがって、ノンワークマンについては、
個別の契約において雇用関係、権利義務などを定めることになりま
す。
[ 従業員100 名未満の事業所の場合]
従業員が1 0 0 名未満の事業所であっても、雇用関係を明確に定め
ておくことは、労使関係を円滑にするために必要となります。就業規
則を用いて服務規程を定め、従業員に周知させる方法が一般的です。
現地労働者を募集する場合には、事前に就業規則を作成しておくとよ
いでしょう。
就業規則、服務規程は通常英語で作成されますが、応募者に内容を
確認してもらうために、ヒンディー語やタミル語など、現地の言語で
も同内容で作成する場合もあります。
また、非識字者を雇用する場合には、口頭で要点の説明を行うケー
スもあります。日系企業でも、特に製造業ではこのような対応をして
いる企業もみられます。

[ 就業規則・服務規程作成の準備]
インドにおける就業規則作成にあたっての要検討事項は、下記のとおりです。以下の表を参考にして、事前に検討をしておくことで、スムーズに作成することができます。

[ インドの雇用慣行に関する留意点]
就業日や休日、有給休暇の管理をする際には、日本とインドの違いに留意する必要があります。インドでは、労働法で週の法定労働時間が48 時間である州が多く、特に製造業の場合、多くは土曜日も営業
日です。そのため、有給休暇や傷病休暇の取得率は日本と比較すると高くなります。
たとえば、日本人の場合、企業の繁忙期や突発的な顧客対応が必要な場合には、有給休暇の取得時期をずらすなど、組織や仕事を優先した行動を取るのが一般的です。
一方、インド人の場合、会社の状況にかかわらず家族や宗教の行事を優先することが多々あります。週6 日勤務にして、必要な労働日数を確保している日系企業も多くみられます。インド人を管理する日
本人社員は、日々の労務管理の場においても、このような現地の雇用慣行に注意する必要があります。
現在、インドの国民の祝日(National Holiday)は、以下の3 日だけです。
1 月26 日:共和国記念日(Republic Day)1950 年1 月26 日にインド共和国憲法が発布され、公式に主権国家となった記念日。最も重要な記念日とされており、特にデリーでは盛大に祝い、大規模なパレード等も行われます。
8 月15 日:独立記念日(Independence Day)1947 年8 月15 日にイギリスから独立したことを祝う記念日です。
10 月2 日:ガンディー生誕記念日(Gandhi Jayanti)1869 年10 月2 日生まれの国父、マハトマ・ガンディーの生誕記念日。ガンディーの墓のあるデリーのラージ・ガートでは特に盛大な
祈りが捧げられます。
これら以外に、各企業は州・地域などにより異なる宗教に基づいた祭日から、1 2 ~ 1 5 日程度を選出しています。その他の有名な祭日としては、Holi(水掛け祭)、Diwali(ヒンズー教新年祭)等があります。インドは太陰暦を使用しているため、太陽暦のカレンダーを用いた
場合は、毎年、祝日の日程が変更となります。各企業は、作成した祝祭日のリストからバランスよく選び、その年の就業カレンダーを設定します。
インド国内の複数州に拠点がある企業は、休日の合計日数を同じにした上で複数の就業カレンダーを作成する、または各州の休日を考慮した1 つの就業カレンダーを作成するなどの工夫が必要です。
商社などは地域の商工会議所の休日に合わせるか、銀行に合わせるケースが多く、メーカーは納入先に合わせる傾向にあります。

■雇用契約書

前述のとおり、インドで就業規則の作成と届出が義務付けられてい るのは、原則として 1 0 0 名以上の従業員を雇用する企業のみです。 そのため、インドでは、日本に比べて就業規則を作成していない企業 が多く、その場合には雇用契約書の中に、就業規則に定めるべき労働 条件や服務規定その他の項目を定めることになります。

雇用契約書に記載する項目の例として下記が挙げられます。

以下に具体的な記載内容のポイントを解説します。

 

給与と経費(Salary And Expenses)

職務分掌や給与構成の詳細、勤務時間などは、別紙(Annexure) として記載するケースが多くなっています。

 

解雇(Termination)

解雇の具体的な条件などを規定します。日本においても、雇用契約 解約に際しては、遅くとも 1 カ月前までに互いに通告する旨を就業 規則に記載しますが、インドでも同様に規定することが望まれます。 どのようなときに普通解雇・整理解雇・懲戒解雇をするかについ て、具体的なケースを記載しておくことが望ましいでしょう。また、 有期の労働契約の場合には、契約満了の前に更新 / 改定または終了に ついて通知をする必要があります。

 

利益相反(競業避止義務)(Conflict Of Interest)

他の企業に雇用されたり、競合するビジネスに関与することを 禁じる項目を記載しておく必要があります。また、Continuing Obligations(守秘義務の退職後の継続)のように退職後の禁止事項 を規定している企業もみられます。 インドで労働者を雇用する場合には、上記の事項等が記載された雇 用契約書を各個人と締結します。その分量は、十数ページに及ぶこと もあります。インドは契約社会ですので、就業規則・服務規程に記載 されている事業所全体のルールの中で、特に重要な事項については、 個別の雇用契約書にも同様の内容を盛り込むことが慣行になっている ためです。 労働者の就労に係る重要な事項ですので、事前に十分な準備と検討 を重ねて雇用契約書を作成することが肝要です。

賃金制度

成果主義を補完する賃金制度]

インドでは採用後、従業員が自ら就業する企業で成長をしていくためには、賃金、評価、教育が一体となった制度づくりが重要です。中でも賃金制度には、企業が求める人物像を明示する重要な役割があります。大切なのは、賃金の分配の仕方に、会社としてのメッセージを込めることです。

インド国内で長期的に成長している企業は従業員全員が会社の理念を共有し、それを実践する従業員を評価しています。短期的には売上や業績に貢献しても、長期的には組織の成長を阻み、または混乱させる人には、特に注意が必要です。

そのためにはインドにおいても「禄」と「格」という考えに基づいて分配と処遇を行うことが有効です。禄と格は、日本において戦時中にどのように人を動かし、そして勝利を手にするのかを論じたことから発展したマネジメント手法です。


戦で同じように成果を上げても、優秀な管理者としての能力を持たない者には禄のみが与えられ、管理者としての能力の高い者には、軍隊を動かすための格が与えられました。この考え方は、現代におけるインドの評価制度でも同様に応用することができます。給与の分配は、評価制度における短期的な目的のために、一定の期間の売上や利益への貢献で分配額を決定します。つまり一定期間の業績に対する貢献を禄(=賞与や業績給)という形で反映させます。

しかし、重要なのは短期的ではなく長期的に会社への貢献ができる社員です。

組織を作り、部下や周囲を巻き込んで会社を成長させることができる人材こそを、重要なポジションに充てるべきです。格とは、昇給や昇進を意味します。格決定の際に、どのような人材を評価するかは、会社としてどのような人材を優秀な人材と定義しているのかを全社に示すことでもあります。単独志向の強いインドでは、とかく成果主義で評価しがちですが、長期的な観点からは、それだけでは不十分です。

インドで企業理念を浸透させ、会社に対する忠誠心を育てることは非常に困難ですが、志向性評価制度として成果主義を補完する仕組みづくりをすることは、長期的な売上・利益を生み出し、成長性の高い企業に成長させるポイントになると言えます。

次に、具体的な給与や賞与への分配について考えます。

インドにおいても、基本給のほかに、役職手当、業績手当、賞与※、その他家族手当、住宅手当等があります。

賞与の支給月数は、職種に応じて平均1~3カ月分となっています。

※すべての会社が支給をしているわけではない。ただし該当企業および該当の従業員がいる企業においては、BonusActに基づく支給が必要

[長期的な賃金と短期的な賃金]

インドでも、給与や手当は長期的な賃金と短期的な賃金に分けて考えることができます。

短期的な業績を測る項目による評価点数は、業績手当や賞与により大きな金額で加算し、長期的な評価項目による評価点数は、基本給や役職手当に大きな金額で加算することが重要です。また、役職への登用も、長期的な評価項目による評価点の配分を大きくします。

たとえば、短期的な評価が高く、長期的な評価が低い A さんと、 短期的な評価が低く、長期的な評価が高い B さんの分配の例を考え てみましょう。

このような場合、A さんは業績手当や賞与は多く支給されますが、 基本給の上昇や役職への登用もあまり行わず、結果として役職手当も 上がりません。

一方の B さんは、業績手当や賞与は A さんと比較すると低い金額 となりますが、基本給が上がり、役職に登用され、役職手当が上がり ます。このように、長期的に会社がどのような人物を求めているのか を明確にし、賃金の分配もその方針に沿って分配することで、統一さ れたメッセージを発信していくことができるのです。

人事評価制度

■人事評価制度の問題点

これまで中国をはじめとする新興国において、日系企業がとってきたビジネスモデルは、新興国の安い労働力を活用してモノを作り、日本など先進国の市場に輸出することが中心でした。そのため、中国で製造する製品は、日本製と同じ品質のものが安く製造できればよかったのです。

しかし、2 0 0 8 年以降、中国が輸出型から内需振興型に転換したことや、所得が上昇してきたことをきっかけとして、日系企業が新興国 をマーケットとして見る動きが加速しました。

インドに進出する日系企業も、その多くはインドでの国内売買または近隣諸国への輸出を目的としています。そのため、日系企業としての品質を保ちながら、インドにあった価格帯の製品づくりやサービスを行う必要があります。この影響はインドでの韓国との競合に顕著にみられます。日系企業の多くの製品やサービスは高品質なだけでなく高価格です。

 

一方、韓国企業は日系企業より製品の品質は劣りますが、価格を安くすることで、日系企業よりも相対的に価値のある商品を提供しています。

また、家電製品に関しては、長期の無償保証期間を設けることで、品質に対する不安を払拭させました。

 

この結果、日本製品は品質は良いが価格が高く、中国製品は安いが品質は悪く、韓国製品は安く品質も問題なしと評価され、インドで受け入れられたのです。

日系企業がインドで成功するためには、インドの市場に合わせながらも、他国企業との差別化を図ることが重要です。そこで、それを支える人事制度をいかに機能させるかがポイントになります。

人事制度構築の影響は、企業の賃金にも及びます。人事制度を構築するにあたっては、優秀な人材ほどキャリアアップを求めて絶えずより良い条件の職場へと転職するという、日本の終身雇用的キャリアプランの考え方との違いに注意をする必要があります。

インド人はもともと転職率が高く、より高収入を目指して転職を繰り返す「ジョブホッパー」が比較的多くいます。そのため、多くの企業が人材の定着を図るために賃金を上げて対応しています。

また、インドでは 4 月の昇給が一般的ですが、同じ時期に昇給を 行うと、結託して団体交渉をされる可能性があります。その対策とし ては、社員ごとに入社から 1 年おきのタイミングで昇給を行うなど が考えられます。

さらに、日本とインドにおける根本的な人事評価制度の違いも、賃金の高騰を招きます。

そもそも日本における評価制度は上司が部下を評価し、社員はその 評価に従うことが一般的です。「あなたの評価は○○です。したがっ てあなたの給料は○○になります」というように、部下をどう評価す るかは上司の判断によるところが多く、また部下もその評価結果に黙 って従うことがほとんどです。

一方インドでは、社員が自己評価をし、会社に交渉するのが一般的です。つまり「自分は今期これだけのことをした、だから給料は○○にして欲しい」というように、社員が会社に対してかなり積極的にア

ピールします。昇給基準についても、年功序列より能力評価や実績評価を重視した基準を望んでいます。もともとインド人は自己主張が強く論理的で、交渉力の高い国民性があるといわれています。これに対して日本人は、国際社会での外交力の低さを見てもわかるように、基本的に交渉ごとを苦手とする国民性があります。

古くから「お上」が決めたことに従うという歴史の中で生きてきた ことの影響もあり、交渉に慣れていないのかもしれません。そのため、日本企業はインド人からの強烈な交渉に負けてしまうことが多 く、結果としてインド人が主張するままに高い賃金を支払い、昇給を 余儀なくされているケースも見受けられます。

このように、日本企業の場合、インドの経済的背景以上に、こうした両国の人事評価制度の違いが、賃金の高騰を招く最大の要因となっ ています。
インドの現地スタッフは 「 勤め上げ指向 」 が強く、これは「解雇さ れにくい日系企業で安定して働きたい」という指向を持っている人 が、日系企業を選んでいる傾向の表れとも考えられます。 したがって、比較的安定した日系企業の中で本人の能力や実績を正しく反映させる人事評価制度を導入することで、現地スタッフの定着率の改善を図ることが可能と言えます。

■日本の労務管理とインドの従業員の特徴

インドでの評価制度を構築するにあたり、まず、日本の人事評価制度の変遷を見てみます。日本においては、バブル崩壊までは、終身雇用・年功序列とともに学歴主義がありました。

この頃は、モノが売れて、個人の能力より組織の能力により会社の業績が決まった時代です。

 

そのため、会社が求めるものは、何か特別に対処しなければならない事象が発生したときの問題解決能力を有する人が重要視され、普段の経営成績を測定する意義は乏しかったと言えます。問題解決能力は人間の根本的な能力ですが、これを測定することは非常に困難であり、結果として学歴という目に見える指標が重視されました。

バブル崩壊後、特に1995年以降、長期にわたる不況の影響を受けた日本では個人の成果が重要視されることとなり、結果として成果主義を取り入れる企業が多くなりました。

 

ところが、成果主義の弊害として、既存事業と比べて成果の出にくい新規事業にかかわる社員に対する公平性の問題や、短期的思考に陥りがちになるなどの問題が発生しました。そのため成果主義を廃止する企業も多くなりました。

早くから成果主義を導入した企業として有名な富士通でも、こうした問題が出たことで成果主義を廃止しています。

そうした中で、成果を生み出す原因、すなわち行動(プロセス)に着目する企業も増えてきました。コンピテンシー・モデルに代表されるような行動自体を、評価対象として取り入れるものです。

 

これは、良い行動が良い成果を生むというという考えに基づくものです。成果と行動には因果関係があります。成果は外的要因と内的要因によってもたらされますが、我々を変化させるのは内的要因だけです。内的要因は、我々自身の行動を変化させることによって変えることができます。つまり、結果を変えるには、行動を変えることが重要なのです。

 

このように考えれば、行動の変化に着目したコンピテンシー・モデルは、結果ではなく原因に着目したものであり、非常にすぐれた側面を持っていると言えます。

しかし、多くの企業ではプロセス評価もまた、機能させることが困 難でした。業務プロセスが部門ごとに異なるので、あるべき行動を定 義することが難しいだけでなく、測定にもまた恣意性が介入します。 さらに、良い結果を出すべき行動を網羅することも困難です。結果と してコンピテンシー・モデルは複雑化し、運用段階で失敗するケース が多く見受けられます。

あるべき人材としてのビジョンを共有し、それを実現させることを 評価制度の本質と考えれば、成果のみを評価するような成果主義や、行動のみを評価するコンピテンシー・モデルも、本来の評価制度の目的には合致していないと言えます。

■評価制度のポイント

評価制度を構築するためには、次の 3 つを決めることが重要です。

 ❶ 「評価対象」 (成果、行動、考え方、能力 etc)の決定

 ❷ 「測定方法」(インタビュー、評価シート etc)の決定

 ❸ 「分配」(給与・賞与への反映・昇進 etc)の決定

 

「評価対象」の決定とは、「何を評価するのか」を決めることです。 三項目のうち、評価の対象を決定することが、最も重要なポイント となります。何を評価するかの定義付けは、社員が成長すべき方向性 を示し、ビジョン達成のために会社が求めている人物像を明確にする

ことになるからです。

 

また、評価には客観性が求められるため、客観的に測定しやすい評価対象、つまり、定量化できるものが評価対象として選択され、定性目標がおざなりになってしまうケースが往々にしてあります。定量的な指標と定性的な指標の両方の視点から評価をしていくことが大切です。

 

「測定方法の決定」とは、「評価対象を誰がどのように評価するか」 を決めることです。通常、評価を行うのは上司です。上司からの評価 のみでは、評価が主観的になされる傾向があり、3 6 0 度評価など上 司以外の視点を取り入れる企業もあります。ただし、3 6 0 度評価は 被評価者が好き嫌いで判断されたり、相対評価となる可能性を孕んで います。自分自身の認識と上司との認識の違いを明らかにし、今後の変化を生みだすために、自己評価を導入することも有効です。

特に、評価制度を人材育成に活用する際には、自己評価を導入するケースが多くあります。

最後の「分配の決定」とは、「評価結果をどれくらい社員へ分配するのか」を決定することです。会社レベルでは、全体賃金管理として労働分配率の目標値を決めることであり、個人レベルでは、評価を給与等へどれくらい反映させるかを決めることです。また、前述のように、給与の各手当や賞与などの分配に意味合いをもたせることも大切です。

このように、「評価対象」「測定方法」「分配方法」の3つを決定することが、評価制度を構築する上での基本となります。中でも「評価対象」は、会社の「求める人物像」社員に伝えるメッセージとなるため、特に重要です。

通常、評価制度には主に2つの目的があります。

第1は「分配」、つまり賃金を決定することです。評価を行い社員に対し給与をいくら払うのかを決定することです。一般的にはこれが主たる目的と考えられています。評価結果に基づき給与を決定することは、組織全体で見れば能力に応じた利益の分配となります。これにより、社員の毎年の処遇が明確になるので、短期的にみて必要不可欠な目的です。

第2に、会社として優秀な人材の定義を行い、それを社員に知らしめることです。評価の目的としては忘れられがちですが、長期的観点からは、非常に重要なものです。これは「昇進」を決定する基礎になる概念です。会社にとって必要な人材に役職を与え昇進させることには、会社の求める人物像を社員に知らしめる役割があります。

インド人は、日本人以上にポジションにこだわります。高いポジションにつけば、次の転職に非常に有利になるからです。社員の離職率を抑えるためにポジションを与えることは重要ですが、安易な昇進の決定は、組織の混乱を招きます。

会社が定義する優秀な人材との違いを評価結果として社員にフィードバックすることは、社員の改善を促し、社員の育成にも繋がります。長期的な視点では、この第2の目的がより重要なもので、教育制度とリンクさせて考えるべきものと言えます。

第1の目的である「分配の決定」は、第2の目的である昇進する優秀な人材の定義があってはじめて公正な決定ができるとも考えられます。つまり、評価制度の構築の本質とは、「組織の理想とする人物像を制度に反映させ、維持すること」なのです。

優秀な人材の定義付けが正しくできれば、海外法人で人を採用する際の基準にもなります。また、人事評価制度や教育にも会社の定義する優秀な人材の人物像を反映させることで、透明性の高い組織の構築が可能となります。これにより、現地スタッフの給与の上昇や社員の

定着率の低下といった問題を防ぐことができるのです。論理的に説明をし、納得させることが重要です。

■成果主義による評価

現在、インドにおける人事評価は、成果主義が中心です。インド人の志向からしても、成果主義は非常にマッチした考えです。現地に合わせた人事評価制度づくりのポイントは、この成果主義を活用することです。

特に個人の短期的で明確な目標に基づいた成果や行動を評価していくことが有効です。このときの評価項目は、定量化できる指標を選択することが大切です。インド人は、自分の評価結果がなぜそうなったのか、という根拠を知りたがる傾向にあるからです。

たとえば、国際事業におけるサービスにおいて、「スピード&クオリティ」を掲げる企業があるとします。そこで、個人の成果を評価する指標のひとつにスピードがあります。提供するサービスの納期について提出日前日に提出することを目標設定します。これが達成できたかどうかは評価対象の一つとなりえます。

インド人は時間感覚が緩慢で、約束を守れなければ言い訳をすればよいと考えがちです。そのため、定量的評価を行わないと、「納期に間に合わなくても、いずれできるから問題ないだろう」と考えてしまいます。

明確な目標による評価の注意点としては、必ず結果に基づき評価し、決して期待で評価してはいけない、ということです。日本のマネジャーは、従業員に対する期待を上載せして込めて給料を上げることがよくあります。

これを受けて、インド人は給料が上がったのは、自分の成果が認められたからだと解釈します。ひとたび「自分の仕事ぶりが認められた」と感じると、仕事への取り組み方を変えようとはしません。悪い部分があるのなら、明確にフィードバックする必要があります。日本に特有の以心伝心はインド人には通用しないと考えたほうがいいでしょう。

成果の項目については結果で評価すると同時に、従業員の要求が自

分の評価よりも高い場合には、次回の評価に際して、明確な目標を掲

げさせることを条件とするのが有効です。

たとえば、現在の給与の月額が2万ルピーであるインド人スタッフに対して、会社としては2万3,000ルピーまでの昇給を考えているが、本人は2万5,000ルピーを要求してきた場合、「2万5,000ルピーにするためには、○○をしてください。○○ができたら、2万5,000ルピーにします」と具体的な目標管理、会社として求めている成果・行動と結びつけることで、評価の納得性を持たせることができます。

このような短期的な成果による分配は、賞与や業績手当などで支給するのがより望ましいと言えます。

一方、成果主義だけで評価を行うと人材の流出を招きやすく、金銭面だけの繋がりになる傾向があります。日系企業として差別化を図っていくためには、日系企業としての経営理念の追求が必要です。その

ためには、経営理念を促進するための制度づくりが必要です。日本の企業は職務範囲があいまいであることが特徴として挙げられます。チームビルディングにおいては、あいまいさが致命傷となりま

す。日本では、自分の職務範囲を自ら大きくし、責任範囲を広げられ

る人が評価され、マネジャーになる傾向があります。

たとえば、インド人女性スタッフが勤務中に席を離れてスマホで友人や家族と会話していると、仕事の効率にも影響するので、同僚のインド人に注意するように促しました。するとそのスタッフは、「注意するのはマネジャーの仕事ではないのですか」というのです。確かにそのとおりです。本来注意するのはマネジャーの仕事であり、同僚の仕事ではありません。

そこで、上司はそのスタッフと話し合いました。「自らの職務の範囲を広げられる人がマネジャーになれるのです。あなたはマネジャーを目指していますか?もしあなたがマネジャーを目指しているのであれば、今からあなたの職務範囲を広げてみてはどうでしょうか」と聞いてみました。すると、そのスタッフは、「もちろん。やってみます」と言って、管理者的な行動を取るようになりました。

マネジャーに昇進する人は、昇進する前から管理者としての行動ができる人です。マネジャーに昇進すれば、管理者としての役割が求められますが、そのような役割を十分に果たすためには、マネジャーになってからでは遅いのです。管理者意識は、管理者になる前に植え付ける必要があります。

このように、日本の企業に見られる職務範囲のあいまいさを保ち、インド人に広い職務範囲での仕事をしてもらうためには、なぜそのようなあいまいさや広い職務範囲が大切なのかを十分に説明することが大切です。

また、日本人は相手の悪いところを具体的に指摘することが苦手です。日本人のマネジャーが、評価の際にインド人に対してできていないところを明確に伝えないために、インド人が不満を持つケースもあります。評価のフィードバックには、客観的な指標が重要であり、360度評価を導入し、マネジャーから見えない情報を入手することも有効です。

360度評価制度では、通常の評価者である上司のほかに、同僚からの評価と自己評価をします。インド人は日本人と異なり、自分に対しては非常に甘く評価しますが、他人に対しては厳しい目を持っています。360度評価は、日本人が気付かないポイントを知ることができる可能性がある手法と言えます。自己評価と上司や同僚からの評価の違いを明確に示し、客観的な指標で評価することで、評価の透明性と納得性を保つことができます。

■志向性評価

 

次に、教育システムを構築するために重要な役割を果たす評価制度 について見ていきます。現在まで企業で採用されてきた評価制度は、能力、成果や行動など、その時どきの経営環境や情勢の変化に応じて変化してきました。

しかし、評価が本来持つ意味からすると、市場や情勢の変化に応じて分配の量が変化したとしても、長期的な観点から会社として評価すべき人は変わらないはずです。

人間の行動は、その考え方、つまり「志向性」に依存します。どの ような行動をするかは、どのような考え方(志向性)をしているのか によって決まります。志向性が正しければ、目的にあった行動が取れ ます。この発想からすると、行動自体を規定する必要はありません。 その原因となる志向性が正しければ、経営環境に応じて最適な行動を 取ることができるはずです。これは、コンピテシー・モデルの弱点 を補う考え方と言えます。インドで日系企業が差別化を図っていくた めには、志向性評価を導入することが有効と言えるでしょう。

 

元マサチューセッツ工科大学のダニエル・キム教授は「組織の成長循環モデル」を提唱し、人の考え方を変化させるためには信頼関係の構築が重要で、お互いの関係構築のためには、コミュニケーションを変化させることが必要であると述べています。

良い結果を出すためには、行動を変化させることが必要です。良い行動を取るためには、その行動を取ろうとする意識、考え方自体を変化させなくてはなりません。何を意識するかによって、取る行動が異なるからです。

 

意識を変化させるためには、お互いの信頼関係を変化させなくてはなりません。何を言われるかではなく、誰から言われるかによって人間の行動は変化します。信頼関係のない人から言われても、素直に従うことはありません。社員の意識を変化させるためには、まずは、信頼関係の変化に着目する必要があります。信頼関係の形成は、やがて意識、行動そして結果の変化へと繋がっていきます。そして良い結果はさらに良い関係を生み、プラスの成長循環が起こるのです。

たとえば、過去において評価制度を見直した会社も「思うように人材が成長しない」という問題に直面することがあります。これは評価制度の整備はできているものの、運用がうまくいっていないことが主たる原因でした。

評価制度は整備するよりも運用することの方がはるかに難しいと言えます。

多くの会社ではすでに、評価項目の中に志向性に当たる定性目標が取り入れられていますが、定性目標よりも定量目標に偏重されがちです。これは、評価制度では客観性が重要視されるため、計量的に測定することが困難な定性目標は、評価対象として軽視される傾向がある

からです。

さらに評価者に定性目標で管理・評価を行う能力が乏しい場合や、評価者自身が定性目標の意義を十分理解していないことが原因で、正しく評価して社員にフィードバックすることができないケースもあります。結果として、評価が教育と結びつかず、賃金を決定するためだけに用いられる傾向が強くなったのです。

インドにおける評価についても、同様のことが言えます。インドに進出した日系企業では、日本におけるミドルマネジメント層がインドのマネージング・ディレクターとして現地スタッフをマネジメントし、経営をしていきます。日本ではいわゆる中間管理職であった人が、現地ではトップマネジメントを行わなければなりません。そのため、日本の親会社との間に視点の違いや温度差が生じてしまう恐れもあります。

特にインドの現地法人では、日本の親会社と異なる成果主義的な評価項目で評価される傾向が強くあります。成果主義そのものは、インド人が好む評価方法ではありますが、結果として人材育成機能を持たない評価方法に陥っているケースが多数見られます。長期的に成長している企業は、必ず会社の理念を共有し、それを実践できる社員を評価しています。短期的には売上を上げるが、組織の

成長を阻み、また混乱させる人には特に注意が必要です。

■インドのカースト制度と 5S

 

インドでは法的には、カースト制度は廃止されましたが、意識・風習の中では根強く残っています。ホワイトカラーの職場では、直接的な影響は感じられませんが、工場のワーカーなどには、まだこの影響が残っていると言えます。名前からカーストが推測できることも1つの要因です。

カースト制度は、もともと職業区分としての意味合いが強く、職業によって細かな仕事の内容が区分されています。特に、低い階層の仕事を高い階層のカーストが行うことは決してありません。

 

そのため、ワーカー自身が掃除をする習慣がなく、掃除をする人を通常のワーカーとは別に雇っている企業がほとんどで、5Sをインドで実践することは困難です。工場やオフィスで自分の近くにゴミが落ちていても、それは掃除人の仕事だからという理由で拾わない状況も見られます。

 

インドにおいても、日本と同じように5Sを導入すべきでしょうか?これは、日本人駐在員の考え方により大きく分かれます。一方は、「郷に入っては郷に従え」という考えで、インド流の考えで企

業経営をする駐在員です。これは、現地の社員にとって親しみやすく、抵抗なく受け入れられるものとなります。しかし、問題は品質です。インド流のやり方では、インドの企業と同じ品質の製品しか作れなくなる可能性があります。日系企業としての競争力は、あくまでも高い品質です。高品質のものを産み出すのは、5Sに代表されるような、現場での継続的改善活動です。インド流によって、日系企業の強みが失われる恐れがあるのです。

 

もう一方は、日本流のやり方を、インドにおいても徹底して貫き通す駐在員です。この場合、現地の社員との対立や抵抗を招く恐れがあります。インドでは、床はそもそも不浄なものだと考えられ、清掃など、生まれて一度も行ったことのない人もいます。

 

しかし、日系企業が競争力を高めていくためには、品質の向上が必須で

あり、そのためには、5Sは大切にしなければいけない要因のはずです。5Sについては、まずその認識の違いを共有することから始める必要があります。

地方出身のインド人のなかには、日本人からすると少々不衛生だと感じるような生活環境で育ってきた者が多く、それが当たり前のようになっています。そのため、日本人が5Sを提唱し、改善を求めても、インド人からすれば「別に汚くないのに、なぜこれ以上きれいにしなければならないのか」と感じることもあります。まずは、5Sをすることが製品の品質にどう関わってくるのかを、日本人が率先して示すことが必要と言えるでしょう。

 

日系企業の強みは何か、日本的経営とは何かを論理的にインド人社員に説明し、日本流の考え方を浸透させることが、業績にも大きく反映すると言えます。

 

日本流を浸透させている企業の方が、インド流の企業より、結果として、業績も高い傾向があります。日系企業として競争力を維持して、成功できるかどうかは、日本人駐在員の考え方にかかっているのです。

 

人材育成制度

■インドにおける人材育成

前述の5Sなど、企業が大切だと考えることを社員も同様に大切だと考えるようにするには、企業理念・哲学を社員と共有し、行動や結果に繋げる必要があります。そして、評価制度と結びつけ、5Sを徹底することで、本人にどんなメリットがあるのかについて説明をします。評価制度で5Sについての項目を設け、その志向性を測っていくことも有効です。

志向性評価は、社員の目標設定や仕事に対する考え方が、会社の目指しているものと一致しているかどうかを評価することを意味します。したがって、志向性が高いことは、会社の目指しているものと同じ考えのもとで行動することに繋がります。志向性評価のメリットは、どんな部門でも導入可能であること、そして会社が必要とする人材の育成に結びつけることができるということです。

これまで多くの企業では、成果を求めるあまり、結果にウェイトを置いた評価がなされました。その結果、評価の2つの目的のうち賃金の分配ばかりに焦点が絞られてきたのです。

しかし、成果や結果ばかりに着目しても、組織の成長には繋がりません。組織の成長のためには、原因となる社員の考え方に着目しなくてはなりません。評価結果のフィードバックは、社員とのコミュニケーションであり、教育機能を持ちます。これにより、社員と企業との間で価値感の共有ができるようになり、結果として組織力の向上を図ることができます。

では、志向性評価を実施した後に、どのような教育をしていく必要があるのでしょうか。インド人の多くは、働く目的を「家族のため」と考えています。しかし、日系企業がインドで製品・サービスの質を保つためには、社員の働く目的を「顧客のため」であることを理解させる必要があります。

志向性評価では、顧客に何を与えるのかという理念やビジョンがどの程度共有されているのかを、数値化することによって「見える化」し、教育機能を兼ね備えたフィードバックを組み合わせて行います。

会社は顧客や社会に対して、何かを与えることを目的として企業活動を行っています。これは会社の経営理念に反映されます。その結果、対価として利益を得ています。社会的役割を考えれば、企業の目的は利益を得ることではなく、社会に対して価値を提供すること、つまり経営理念の実現こそが本来の目的のはずです。

しかし、製品やサービスを通じての社会に対する価値提供は、目に見えないものであるため、目的がどの程度達成されたのか直接測定することができません。一方、価値提供の対価である利益は、客観的なものとして測定可能です。価値提供とその対価は、本来、等価交換と考えられるため、究極的

には、社会に対する価値提供の大きさは、対価によって測定することが可能です。

成果主義とは、対価を測定し、評価に結び付けた発想と考えられます。これに対してコンピテンシー・モデルは、いかなる行動を取るべきか、つまり企業の中のベスト・プラクティスを定めその実践度合によって評価を行うものです。

成果主義とコンピテンシー・モデルの最大の違いは、成果主義が「結果」を評価するものであるのに対して、コンピテンシー・モデルは「原因」を評価するものであるということです。コンピテンシー・モデルの最大の問題点は、ベスト・プラクティスそのものが職種により多岐にわたり、細かく規定することが非常に複雑かつ困難なことです。

そこで、志向性評価では、本来の目的である会社の経営理念・ビジョンと社員の働く目的のすり合わせに主眼を置いています。行動そのものを規定するのではなく、考え方の共有を行うことによって、社員は状況に応じて、自らベスト・プラクティスは何であるかを判断できるようになります。

コンピテンシー・モデルと志向性評価は、同じ原因を評価するものです。しかし、行動は志向性に影響されるため、望まれる行動を実践するためには、望まれる志向性が必要になります。

この志向性評価は、コミュニケーションを取りながら評価と教育 (フィードバック)を合わせて行うことができるため、目標管理制度 (MBO)とリンクさせることが可能となります。目標管理は、P・F・ドラッカーが「学習する組織」を作る手法として提唱したものです。 日本でも多くの企業が導入しましたが、運用に失敗しているところが 多く見られます。

その最大の理由は、目標管理を評価・査定と直接結びつけたことです。評価と結び付るには客観性が要求されるため、目標管理が行動の管理だけでなく、結果の管理にも利用されました。

しかし、目標管理の最大の目的は、「学習する組織」を作ることで あり、そのためには会社の理念・ビジョンを明確化し、社員とのコミ ュニケーションを通じて、自らあるべき行動を取れるようにすることです。

その意味で、志向性評価は P・F・ドラッカーが提唱した「学習する組織」を実現するための評価方法と言えるのです。 企業の目的は、究極的には利益の追求ではなく、経営理念の実現にあるはずです。利益は、その達成度を測定するための道具にすぎません。経営理念の実現のためには、社員が組織目標を共有することが最も重要です。

 

会社のビジョンを個人レベルに落としこみ、行動を促し、その達成度を検証・評価するサイクルを回すことで、組織は成長します。組織目標を個人目標に落としこみ、合目的行動を自ら取れることが「学習する組織」なのです。

■管理者能力を養う志向性評価

我々の行動は、目的とそれに対する結果の関係で決定されます。目標管理制度を導入したからといって、成長する組織ができるわけではありません。組織目標を掲げ、それを社員が共有して、体現する行動
を促す仕組みを構築することが重要です。
この仕組みを促進するための評価制度は、定性目標である志向性を中心に考え、それを体現する行動、さらに結果にリンクさせることが必要です。ただし、正しい行動と結果との間には、タイムラグがつき
ものです。早急に結果を求めれば短期思考に陥りやすく、正しい行動ができなくなる恐れがあります。
志向性評価の最大のメリットは、人間を長期思考にさせ、本質に基づき行動することを促進することです。これは、まさに、管理者能力の養成といっても過言ではありません。
志向性の意味を正しく理解するために、会社との理念共有度・目的共有度を「心」のベクトル、それを達成するための手段である知識・技術・経験などを「技」のベクトルで表現してみます。手段は目的に従います。したがって、「心」を高めることが、会社として本来行う
べき「教育」であり、「技」を高めることは「研修」とも考えられます。会社にとって重要なことは、研修ではなく教育なのです。

このマトリックスで考えると、新卒社員は「心」も「技」のレベルも低い「新人」領域からスタートします。
企業が求めるのは「エース」領域の社員です。会社が目指す方向性を理解し、かつ実行する能力もある人で、組織を動かすリーダーとしての役割を持つ人物と言えます。
モデリングは人の成長を促進させる機能を持っています。エース領域を会社の理想として掲げることによって、個人の成長の方向性が定まります。教育とは、企業の個人に対する成長のサポートでもありま
す。福利厚生の一環としての教育ではなく、制度として評価にリンクさせることが、個人の成長を加速させると言えます。
このようなモデリングを行い、評価に結び付けないと、社員は個人のキャリア・パスばかりを気にします。特にインドでは、終身雇用という発想が希薄なため、個人のキャリアパスはインド人にとって最も重要です。
そのため、会社に対するロイヤルティを高めることより、自分自身の「技」である知識・技術・経験に強い関心を抱き、また、それを追求します。結果として、多くのインド人はこのマトリックスでいう「職人」領域に入っていき、真の意味での管理者が育ちにくいのが現
状です。管理者は、経営者の持つ経営哲学を共有させる役割を負っており、本来、会社に対するロイヤルティなくして機能するものではありません。
結果として「職人」は、新たな知識・技術・経験を求めて転職をします。インドで転職が盛んであるのはこのためです。企業が即戦力として、知識・技術・経験を求めれば、この傾向はさらに広がります。
また、企業が即戦力を求めることによって、中途採用者の賃金水準が上がり、これが既存の社員の給与の昇給金額を上げるという悪循環にも陥っています。この傾向は、特に日系企業に多く見られます。
このような状況を打開するためにも、即戦力を求めるのではなく、将来の「エース」になる「幹部候補」を育成することが重要と言えます。幹部候補は、知識・技術・経験は乏しくても、会社の目的を理解
し、個人の目標と会社の目標をリンクさせることができる人です。
このような人を見つけるために、日本にいるインド人の中から幹部候補を採用することも有効な選択肢です。最大のポイントは、日本在住のインド人は親日派であるということです。これは、企業立ち上げ
時におけるインド人幹部候補として、非常に重要な要素です。次に、日本語の理解力です。インド国内だけを考えれば、英語だけでも十分ですが、日本の親会社の多くの社員とコミュニケーションを取るためには、日本語の話せるインド人の存在は非常に有用と考えられます。
一方、デメリットは、候補者が少ないことと、インドで雇うより賃金水準が高くなるということです。しかし、良い人材が見つかれば、多少の賃金の差は大きな問題ではないとも言えます。
今後、インドに会社設立を計画する企業は、フィージビリティー・スタディーを行う段階から、プロジェクトにインド人を入れることが、質の高い情報を得る有効な方法と言えます。インドで成功するた
めには、人脈も重要です。一人のインド人を介して得られる情報の多さは、日本人にはない大きな特徴です。

 

■人材育成のポイント

企業の人材育成の目的は何でしょうか。おそらく、次のような答えがあがるのではないでしょうか。

・社員を成長させる

・企業を成長させる

・利益を上げる

しかし、これらは企業の長期的な経営理念、目的ではなく、短期的なビジョン、戦略に基づいた考え方ではないでしょうか。人材育成のポイントは、企業全体で見れば、企業の目的と照らし合わせて、現状足りないものを補うこと、社員一人ひとりで見れば、目指すべき人物像と照らし合わせて、足りないものを補うことです。つまり、企業としての短期的なビジョンや戦略に基づいた教育を行っても、企業にとって長期的に求めている人材の育成はできません。特に、社員や企業の成長・利益といった内向きの視点では、経営環境に左右されやすいインドでのビジネスにおいては対応できなくなる懸念があります。

 

 

そこで、志向性評価で求めている人物像と実際に志向性評価を実施して出た社員の差、足りないところを教育していくことが必要です。

成果の評価項目と志向性の評価項目を前述の心(目的)と技(手段)のマトリックスに当てはめると、高い技術や成果を上げるだけのタイプは、職人気質になりがちです。

特に教育が必要な人は、幹部候補に該当する社員です。幹部候補の志向性評価結果から、足りないところの対策を人材育成制度として導入することで、長期的な成長に繋がります。これにより、ダニエル・キム教授による「組織の成長循環モデル」のとおり、関係性の変化を意識、行動、結果の変化に繋ぐことができます。

■海外赴任者に求められるもの

インドで成功できるか否かは、最終的には、インドに駐在する日本人の考え方に左右されます。本章では、インド人の評価方法・教育方法について考えてきましたが、日本企業にとって最も欠けているのは、海外赴任者のリーダーシップ教育と言えます。

海外駐在員、特にマネージング・ディレクターは、真の意味での「起業家」であり、リーダーでなくてはなりません。

リーダーの条件は3つあると考えられます。

第一が「価値設定」です。目的が何かを定めることです。赴任者が、自分や家族のためだけに働けば部下もまたその影響を受けます。早く日本に帰りたいと思っていれば、その気持ちは部下に伝わり、近い将来、交代するであろう上司についてくるはずもありません。すべてに、海外赴任者の価値観が影響するのです。

第二は、「価値共有」です。価値共有のためには、熱く語り続けることが重要です。人間は感情の動物であり、理論だけでは動きません。パッションなくしてリーダーにはなれないのです。ただし、価値は、リーダーの普段の言動に現れます。部下は、リーダーが何を話すかより、何を行うかに着目します。価値観は、言葉より行動に反映されます。

第三は、「価値実現」です。これは、マネジメントという言葉に置き換えられます。マネジメントとは何か、その本質を知ることが重要です。海外赴任者は、経営とは何か、リーダーとは何かを問い続けなければなりません。

リーダーを養成できるか否かは、日本の本社が持つ教育システムに

係っています。今後、日本企業は少子化により国内マーケットが縮小する中で、海外売上比率をますます高めていかなければなりません。そのためには、体系的な海外赴任者教育を行うことが急務と言えるでしょう。

■日本の外資系企業の実態

海外人事戦略を考えるにあたって、まず、日本に進出した外資系企業がどのようなことを行ったかを考えるとよいと思います。

ここには多くの失敗事例・成功事例があります。失敗事例を研究することによって、自分が

犯してはいけない誤りに気付くかも知れません。

多くの外資系企業は、初めて進出したとき、日本の商慣習や市場について十分な知識を持っていません。そこで、即戦力になる日本人の経験者を採用します。

 

進出したばかりの小さな外資系に入ろうとする人の多くは、その外資系の企業を日本において成功させようと考えているよりも、外資系特有の高い報酬に魅力を感じて入社します。

そのような人材は、今までにも多くの外資系企業を渡り歩いてきた人です。

しかし、外資系企業は、日本企業以上に過去の経験を重視します。ヘッド・ハンター等を通じて採用する場合にも、人柄よりも業界知識・経験が重視されます。

 

また、本社側の人物評価も、本社とコミュニケーションが円滑にできるかで大きく異なります。結果として、仕事ができる人より、英語ができる人の評価が高くなる傾向があります。

経験者をたくさんそろえても、本社が求めるビジョンや志向性の共有を図らなければ、組織がまったくまとまらない状態になります。

社員は、お互いが協力し合う関係になく、自分の与えられた責務だけにしか関心を持たなくなり、社内がギスギスした状態になることも、よく見られる光景です。

 

このような傾向は、社員数が 100 名以下の外資系に顕著に表れていま す。20 名以下のところでは、1 ~ 3 年程度で頻繁に社長の交代が起きま す。日本人社長を雇っても、雇われ社長は、本社に対していかに日本のマ ーケットが特殊で売れないかを説明することが得意なだけ、ということも

あります。

 

さて、このような話は、決して日本における外資系企業だけではありま

せん。我々がインドに子会社を設立したときも起こりうる話なのです。で は、日本の外資系でどのような企業が成功しているのか ? 一言で言えば、 現地駐在員が起業家精神をもって会社運営をしているケースです。このよ うな会社は、ゼロから人材育成を行う仕組みを構築します。そして、日本 で独特の企業文化を作ります。

 

我々がインドで成功するためには、現地駐在員の起業家精神と教育シス

テムが鍵になるのではないでしょうか。

参考文献

  • 山本貴之、上定昭仁「インドの投資環境と日本企業のインド進出における課 題・将来性」     http://dl.ndl.go.jp/view/download/digidepo_9977038_po_s42japanese.    

 pdf?contentNo=1&alternativeNo=

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  • 城繁幸『内側から見た富士通 :「成果主義」の崩壊』光文社、2004 年
  • 佐々木隆彦、藤井恵『Q&A 海外進出企業のための現地スタッフ採用・定着と駐在員育成のポイン  ト』清文社、2009 年
  • 竹内規浩『国際経営下の人事管理論』税務経理協会、2002 年
  • インド日本商工会・ジェトロ「第 12 回賃金実態調査概要」2018 年 6 月

 http://www.jccii.in/Docs/0412_18_12th_salary_survey(summary).pdf

  •  高井伸夫『中国で成功する人事労務の戦略戦術』講談社、2002 年 ・『中国統計年鑑』中国統計出 版社』 2015 年版 ・『在アジア日系企業における現地スタッフの給料と待遇に関する調査〈2018

 インド編〉』日経リサーチ、2018 年

  •  久野康成『できる若者は 3 年で辞める ! : 伸びる会社はできる人よりネクストリーダーを育てる』 出版文化社、2007 年
  • 久野康成、井上ゆかり『もし、かけだしカウンセラーが経営コンサルタントになったら : 母性の経 営』出版文化社、2010 年
  •  P.F. ドラッカー著、上田惇生編訳『チェンジ・リーダーの条件』ダイヤモンド社、2000 年

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