【インドネシア】新型コロナウィルスへの対応や影響

個人所得税 申告期日の延長

インドネシアにて居住性が認められる場合、インドネシア内にて確定申告をする必要があります。通常の申告・納付期限は翌年の3月31日となりますが、今回は全世界的に経済を揺るがしているコロナウイルスの影響により税務署が4月5日までクローズするという事態になり、それに紐づき確定申告の期日を4月30日まで延長することを決定しました。
まだ準備ができていない方は、今のうちに必要書類等確認の上早いうちに処理を終えられるようにしていただければ存じます。(ちなみに日本は4月16日まで延長措置がされています)

※遅延が発生した際のペナルティ※
納税の遅延  月利 2%(最高 48%)
申告書の遅延 1つのレポートにつき10万ルピア

 

インドネシア入国に関する健康診断書の提出

現在(2020年3月24日時点)はインドネシアのVISA取得及び、入国の際には入国前7日以内に発行された健康証明書の提出が義務付けられています。

こちらに関して、政府より書類の正式な指示などがないため日本大使館なども情報がうまく流れていないといったケースが起こっています。
現在、記載が必要とされている内容は、下記の5つの項目についてです。

【記載が必要な項目】

  • 喉の痛み
  • くしゃみ
  • 呼吸困難

また、健康証明書の中に『航空機への搭乗ができる健康状態である』といった記載がなかったために、航空会社から登場を拒否されるといったケース、病院名、住所の記載がない、医師名の記載がない、スタンプがないなど様々な理由でリジェクトされているケースを耳にします。

この健康証明書は健康診断書の英語のものではなく、あくまでも今回の入国のために必要な情報が書いてあるものでなければ、拒否されるものと思われます。
病院やクリニックによってはフォーマットを持参すれば即日で診断・発行してくれる場所もあるので事前に病院・クリニックに確認することをお勧めします。

 

PT Tokyo Consultingでは、弊社の社員が実際に入国できた健康証明書をご準備しておりますので、疑問やご質問が御座いましたら是非お気軽にご連絡下さい。

 

ルピア額の下落

昨今のコロナウイルスの影響を受け、ルピアは現在1ルピア=0.0066と2018年11月以来の安値となっており、2018年11月以来の安値を記録しております。アジア通貨危機時まではいかずとも、今後も動向を追う必要があります。特に人口の多いインドネシアにおいて、コロナウイルスがどこまで影響を及ぼすかは未だ検討がつかない段階となっております。ロックダウンやインドのような外出禁止などのような措置が取られる場合、更なる下落も予想されます。

貨幣価値下落による為替差損の影響と対策

・輸出企業の場合

売上は試算表に記帳するが、商取引は一般的には信用取引である売掛金にて後日の決済となることが多いです。売上計上時の社内レートの決め方は、直近の一定日のレートまたは平均レートを使うなど、合理的な根拠がありかつ監査人が認める範囲内において決めることができます。ただしこの社内レートは社内計上のためのものであり、実際に入金された際にはその時のレートを使用した上での計上が求められます。
例えば、その日のレート1ルピア=0.008円の日に1,000千ルピアの売上があった場合、売上と同時に入金があれば、売上金額は8千円となりますが、信用取引により入金が一ヵ月後となれば、その日まで売上代金は確定しません。
8千円と計上したが、実際の入金時のレートが0.006円なら6千円となり差額2千円の損が発生いたします。これは「為替差損」として損益計算書(P/L)の営業外費用に計上されることとなります。

・輸入企業の場合

同様に輸入業者においてもルピア額の下落に基づき信用取引をおこない買掛金等が発生していると、計上と支払いのズレに起因して為替差損が発生することとなります。
例えば、1,000千円のモノを輸入した際1円=140ルピア時に計上し実際に決済をおこなったときは1円=155ルピアだった場合、15,000千ルピアが為替差損として計上されることとなります

輸入者が法人の場合、輸入通関時に法人税の前払法人税(PPh22)が必要となります。税率は一般的に7.5%と定められております。
また課税対象は下記三種類と設定されています。
・国庫及び政府関連による物品の引き渡し時
・輸入時または特定の営業活動をおこなう特定の法人
・贅沢品販売時に購入者から税金を徴収するための特定法人

輸入に伴う源泉税が発生した背景といたしましては、輸入をおこなう会社はインドネシア国内にて調達する会社よりも、大きな利益を確保できる会社であるという認識の基、前払にて納付する仕組みができたとされています。
当該PPh22については、年度末の確定申告の際に法人所得税の総額から税額控除ができるため、最終的には輸入に伴うコストにはなりません。しかし利益が出なかった場合には、前払の納税額を還付申請する必要が発生し、インドネシアにおいて還付申請は労力を要するために注意が必要となります。

・考えうる影響

この為替差損により、利益率が低下し連結上での減益につながることや、それに起因して資金繰りを懸念され、銀行からの借入においての審査が厳しくなるということも起こり得ます。

 

・為替差損への対策 

【為替予約】
このような為替変動への対策を図る手段として取引するレートを予め決め、期日に決めておいたレートでの為替取引を行うことができます。予約時の取り決めとして「3月1日に1,000千ルピア、1ルピア=0.008円のレートで売却」といった内容となります。このように1ルピア=0.008円と決めておけば、決済日に1ルピア=0.006円となった場合においても為替差損のリスクを逃れることができる。

【同通貨の使用】
換算により差額がはっせいしてしまうことへの対策として、使用口座内にルピア建てだけでなく、JPY口座やUSD口座を設けて、当該各口座より取引をおこなえる体制をつくる。

 

その他コロナウイルスによる政府措置と影響


観光業

外国人観光客を増やすために、旅行会社や航空会社に補助金を割当、チケット代などの割引を促す。また広告活動やインフルエンサー(情報拡散力の強い人)などを通じた宣伝。
国内旅行の促進には、国内線の各便の座席数のうち25%を対象にチケット代を3割引きする。適用期間は3~5月。該当地域のホテル税とレストラン税は向こう半年間免除する。

・製造業

年収が2億ルピア(約160万円)以下の就労者を対象に個人所得源泉税(PPh21)を免除とし政府による負担にする。

・税制措置  輸出促進事業19 産業

輸入時に前払いで支払う所得税(PPh22)は全額、 法人の予納税(PPh 25)は税額の3割について、いずれも徴収を猶予する。中国からの原材料の輸入が滞っている企業において、新たな輸入先に切り替えるための費用等を確保するための施策。また付加価値税の還付申請手続きにて発生する税務調査を省略できる申請額を、現在定められている10 億ルピアから 50 億ルピアに引き上げる。輸出事業者には上限額を設けない。
~19産業~
1.化学物質、化学製品
2.その他輸送機器
3.食品
4.卑金属
5.紙、紙製品
6.飲料
7.医薬品、化学薬品
8.自動車
9.ゴム製品、プラスチック
10.金属を除く採掘品
11.既製服
12.電気機器
13.繊維
14.その他の機械、装置
15.機械、機器を除く金属製品
16.印刷、記録用機器の再生産
17.革製品、履物
18.家具
19.コンピューター、電子・電気機器

・学級閉鎖

学級閉鎖をおこなった州については下記の通り
・ジャカルタ
・西ジャワ州バンドン市、チルボン 市、デポック市
期間は、16 日から約2週間。

インドネシア大学は18 日から、ガジャマダ大学は16 日から、インターネットを使った遠隔授業で講義を行う方針を明らかにしている。

・公共交通機関の規制

MRTは運行間隔を20分に1本とし、1車両での人数に制限をかけている。トランスジャカルタ、LRTにも同様な規制がかかっている。
また道路状況の流動性を図るナンバー規制についても、2週間の停止を決定し公共機関利用による感染拡大阻止する動きが見られる。

・その他

在宅勤務へと切り替えている企業も多く見受けられます。アルコール消毒やマスクを常備する、ミーティングはWebにて開催など対策を講じることが求められております。
また近隣諸国の対応も厳しくなってきているので、外国へ行かれる方は常に情報をキャッチして、不測の事態へ備えていきましょう。

 

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