【シンガポール】COVID-19状況報告及び対策一覧(2021年8月6日更新)

【コロナ対策措置、ワクチン接種者に対して緩和へ、長期滞在許可保持者の入国も再開か】(2021年8月6日)

国内の行動制限について

2021年7月以降、次々にクラスター感染が発生し、連日100人を超える新規感染を記録、毎週のようにコロナを直接の原因とする死者が生じました。8月に入ってからも、クラスター認定される地域は増え続け、国内の100近いスポットが厳重な管理体制に置かれています。

これに伴い、外食の禁止など、厳しい状況が続いていましたが、同時に急ピッチで進めてきたワクチン注射の措置も功を奏し、8月6日現在、国内では約65%が2回のワクチン接種を完了させました。

これを受けて8月6日、シンガポール保健省の発表により、以下の要領でコロナ対策措置が緩和されることが決まりました。

2021年8月10日から:

・一般飲食店での外食を最大5人まで可能とする(全員が2回のワクチン接種を完了している場合に限る、児童は同一家庭の場合に限り、未接種でも同席可)

・ホーカーセンター、カフェでの飲食を最大2人まで可能とする(ワクチン接種状況によらず、2人まで)

・訪問、会合なども、最大で5人まで可能とする(全員が2回のワクチン接種を完了している場合に限る、それ以外は最大2人まで)

・宗教礼拝、ライブパフォーマンス、結婚式などのイベントの参加を、最大500人まで可能とする(全員が2回のワクチン接種を完了している場合に限る、それ以外は最大50人となる)

2021年8月19日から:

・オフィス勤務を全従業員の50%まで可能とする

・宗教礼拝、ライブパフォーマンス、結婚式などのイベントの参加を、最大1000人まで可能とする(全員が2回のワクチン接種を完了している場合に限る、それ以外は最大50人となる)

・屋外核施設における検温措置の撤廃

なお、ここで「2回のワクチン接種を完了している場合」というのは、2回目のワクチン接種を終えてから、その効果が発揮されるとされる2週間の期間を置いた場合であり、直前に2回目のワクチン接種を終えていても、その結果がTraceTogetherのアプリなどで確認できない場合には、未完了の場合と同一視される可能性があります。

 

シンガポールへの入国

一方、2021年5月以降、一律許可が下りない状態になっていた外国人のシンガポール入国ですが、以下の条件で、8月10日から再度入国許可の申請ができるようになると発表がありました:

・外国人は、就労許可(EP、S-Pass、Work Permitなど)、配偶者許可(DP)などの長期滞在許可を保持していること

・外国人は、ワクチン接種を完了させ、その証明書を保持していること(WHOのEmergency Use Listingの基準に則って判断される)

従前にはSafeTravel Portal上の申請プラットフォームから入国許可を申請する仕組みでしたが、5月以降は日本などほとんどの国と地域からの入国が制限され、申請自体完了できない状態が続いていました。

この申請自体は8月7日現在も変更は加えられておらず、8月10日以降に申請が可能になる可能性があります。

今後の動向が着目されます。

 

【コロナ対策措置、再度厳格化へ】(2021年7月21日)

KTVという名前で知られるカラオケバーで大規模なクラスター感染が確認されたシンガポール、続いて海鮮市場、カジノでもクラスターが発生し、市中感染は急激に増加、12日に規則が緩められてわずか1週間で、再びコロナ対策措置が厳格化されることになりました。

7月22日から8月18日までのコロナ対策措置として、以下のルールが発表されました:

・外食は禁止、テイクアウトかデリバリーのみとする

・屋外での活動は最大2名までとし、インドアでのエクササイズもマスクをつけてできるものに限定する

・訪問は1日2名までとする

・理容、美容などのサービスも、マスクをつけてできるものに限定する

・ライブパフォーマンス、宗教礼拝などのイベントについては、イベント前検査(PET)の実施ありなら最大100人、PETなしなら最大50人に限定する

・海鮮市場をはじめ、市場一般やホーカーセンターでも、SafeEntryによるチェックインを義務化する

・仕事はオフィスワーカーであれば自宅勤務を原則とする

8月9日には、前年に中止となった建国記念日のイベントが企画されており、それまでには国内住民の3分の2がワクチン接種を終えた状態にするよう、目標が定められていますが、連日100人を超える新規感染者が出ている中、厳格な措置で再び感染者を囲い込もうという意図が感じられます。

 

【シンガポールのコロナ対策措置とワクチン接種】(2021年7月7日)

2021年7月7日現在、シンガポールで実行される予定の7月12日以降のコロナ対策措置につき、以下の通りルールが明確化されました:

・外食時の許容人数は5人まで(7月7日現在は2人まで)

・出席者50人までの結婚式が再開可能に

・ジムなど室内活動の最大人数は5人まで(7月7日現在は2人まで)

・業務上の集団活動(ミーティング、リクリエーションなど)は5人まで

・訪問者格納型施設(飲食店、ジム、映画館、美術館など)の運営企業は7月12日~25日の2週間分、10%のJob Support Scheme支援継続へ

 

一方、7月15日、16日以降は、それぞれ訪問者の多い施設のスタッフにつき、ARTテスト(簡易型コロナ検知テスト)が義務付けられたり、ARTテストキットが配布されることになっています。

7月21日以降、いくつかのスーパーでは事前に導入されていた接近するだけで有効になる追跡アプリTraceTogetherから、QRコード読み取り型のログイン体制に戻されることが決まりました。

また、7月末には、ワクチン接種完了者が国内居住者全体の50%を超える見込みとなっており、そこから更にコロナ対策措置が緩和される予定だと発表されています。

 

【シンガポールのコロナ対策措置とワクチン接種】(2021年7月1日)

2021年6月30日現在、2,094,193人が2回目のワクチン接種を終えたシンガポール、予防接種率が40%に近づき、少しずつコロナ対策措置の終わりが見えてきています。

また、2021年末までには観光目的での入国者受け入れ等も再開することができる見込みということで、一気に正常化への期待が高まっています。

 

現在、シンガポールのコロナ対策措置としては、外食を最大2名までとして許可し、在宅勤務を原則とする体制を取っており、違反を許した飲食店や企業が罰金などの処罰を受けるケースが何件も出ています。

経済活動は概ね正常に動いているものの、外国人観光客を対象とした産業については1年以上に及ぶ停止を余儀なくされており、政府からの補助も徐々に打ち切られる中で、生き残りをかけて、措置の解除のタイミングが見計らわれています。

 

なお、6月29日時点で年齢層としては最後のブロックに当たる、12歳~39歳の外国人にもワクチン接種の案内が届き始めており、国民のほぼ全体がワクチン注射を終えるべく、予約が取得されています。

 

観光については、香港をはじめとして、台湾、オーストラリア、韓国などの国と、7月中に隔離滞在なしの訪問活動を開始できないかと計画されており、新規感染者数の落ち着きが望まれます。

入国については、5月以来原則として許可しない状態が続いていましたが、5月以前に入国許可が取得できていた人々を中心に、期間限定で入国受け入れを許可する旨、連絡が届き始めています。

少しずつ、正常化に向かっていると考えて、間違いはないでしょう。

 

【シンガポールのコロナ措置】(2021年6月15日)

2021年5月16日から、シンガポールでは回復フェーズ3まで達していた国内活動の正常化を取りやめ、フェーズ2に戻す措置を取っています。

この措置は初め、6月13日までの4週間とされていましたが、期間中、必ずしも新規感染者数、クラスター発生数が安定せず、6月20日まで措置が延長されることが決まりました。

具体的には以下のような活動制限が課されています:

・外食は禁止、テイクアウトのみとする

・屋外での集まりは、映画鑑賞、麻雀など、親しい人と2名までの行動で、1日2回に限り許容される

・自宅勤務が可能な業態に関しては原則オフィス勤務はなしとする

 

その後、21日からは、以下のような活動制限となり、少しずつ緩和されることが決まっています。

・外食は2人一組まで可能

・ジム、フィットネスクラブは再開可能

・養護施設(Care homes)への訪問は、PCR検査を受ける条件で可能

 

また、7月以降にも以下の事項が定められています:

・飲食店、理容美容施設、ジムなどのスタッフは、7月中旬以降、ARTキットにて隔週でコロナテストを行うことが義務付けられる

・結婚式の会場利用は7月中旬以降の再開となる

 

なお、オフィスでの勤務については、2020年のサーキットブレーカーと同様、オフィス勤務が必要な場合には、これを申請して許可を取る体制が再開されています。

まず、会社ごとにその事業内容に照らして「Permitted Services」に該当するかどうかが見られ、さらにそこからオフィスでの出勤が必要な人員数(50%以下に抑えることが必要)を入力、申請した内容で認可(Approve)された人数に限り、同じ時間にオフィスにいることが許されます。

申請をしていない、または申請した人数よりも多くの人数がオフィスにいることが見つかると、ペナルティーを科される例が出てきています。ペナルティーが外国人労働者に及ぶと、就労許可の取消や将来的な申請不許可という処置がとられるため注意が必要です。

この申請はGoBusinessというポータルサイト(https://www.gobusiness.gov.sg/covid/)に入り、企業のCorpPassでログインして実行することになります。

 

【シンガポールのコロナ感染者増加、再度厳重規制導入へ】(2021年5月15日)

2021年4月下旬からのコロナウイルス感染者の増加を受けて、シンガポール厚生省(Ministry of Health)は5月に入り、毎週の通知で感染拡大防止措置を行うと公言してきています。

一次は市内感染がほぼゼロに抑えられていた国内状況ですが、2020年4月に全面封鎖サーキットブレーカーを行ったときと同様、多数のクラスター感染が発生してしまっており、2度目の全面封鎖が噂されています。

 

社会機能により大まかに分類すると、厳重規制の概要は以下の通りです:

1.食事

・従前は8人まで可能であった会食ですが、5月8日からは5人まで、5月16日からは原則禁止となり、テイクアウトのみが許容されることになりました。

・この外食禁止の措置は、6月15日まで継続されることが決まっています。

2.会合

・従前は8人までの集まりが許容されていましたが、5月8日からは5名までとなり、5月16日以降はビジネスのものも含め、2人を上限とした面談しか許容されなくなりました。

3.職場

・2021年4月に入り、在宅勤務から会社勤務への回帰として、全従業員数の75%までが職場で勤務可能と報じられましたが、5月8日以降は再び50%に戻り、16日以降は原則全員が在宅勤務、複数の職場での勤務や面談は禁止となりました。

4.娯楽

・入場人数制限の目安として、一時は8平米に1人までという基準で入場者が制限されていましたが、5月8日以降は再び10平米に1人、16日からは16平米に一人と、娯楽施設入場者の人数が制限されることになりました。

・各種イベントへの参加、映画館での映画鑑賞についても、従前250人まで許容されていたものが、5月16日以降は50人まで(直前のPCR検査があれば100人まで)に制限されます。

・また、5月16日以降、音楽系のイベントなどで、歌を歌うことは禁止されました。

5.冠婚葬祭

・結婚式への参加は従前の250人から50人まで(直前のPCR検査があれば100人まで)という制限が課されることになりました。

 

以上の措置は、現状6月13日まで実行することが決まっており、その間に状況の改善が見られれば随時解消されることが期待されています。

また、就労許可保持者の外国人の入国は当面禁止とされており、先月末に計画されたマレーシア、香港との一般の往来再開も、5月中の再開がなくなり、無期限で延期と決定されています。

 

 

【概況~シンガポールのコロナ感染者増加対応措置】(2021年5月8日)

全世界的に再び猛威を振るうコロナウイルス、シンガポールでも2021年4月下旬以降、隔離施設外の市内感染者が急増し、部分的には再びロックダウンの措置が開始されています。

重要なクラスター感染源となったのはタン・トク・セン病院(Tan Tock Seng Hospital)ですが、緊急医療機関で集団感染が確認されただけでなく、感染源の特定できない感染者が増加していることから、政府は5月1日以降の措置を打ち出しました。

5月1日時点で公表された主な規則は以下の通りです:

・込み合った場所を避け、家にいるようにする

・他人の家であっても公的な場所であっても、人と集まる行為は一日に最大で2回までに制限する

・集団行動は最小限の人数にとどめ、かつ成員は変動しないよう、規則的な集まりとなるようにする

・体調のすぐれない場合は家にとどまり、病気だと感じたら医師にかかって検査を行う

・ワクチンを進められたら受け入れる

・会社では可能な限り従業員が自宅勤務できるようにし、時間差勤務を実施する

・会社では、フレックス制(日本のフレックス制に類似したFlexible Work Hours)を導入する

・大型のテンポやショッピングモールでは、10平方メートル当たり、平均1人の密度となるように入場者を制限する(従前は8平方メートル当たり平均1人)

・民族的な休暇施設となっているLucky PlazaやPeninsula Plazaでは、身分証番号の最後の一桁が奇数か偶数かによる入場制限を実施する

・屋外のバーベキューピットやキャンプサイトの開放は中止する

・5月7日から14日まで、通商産業省(Ministry of Trade and Industry:MTI)から事前に認可を受けた娯楽施設については、入場率を50%までに制限して運営する(従前は65%)

更に、上記タン・トク・セン病院に出入りしていたと思しき人については、連日検査等が行われます。

 

次に、5月7日までに出された主な措置をお伝えします:

・5月8日から30日まで、身体的な接触を伴うハイリスクなイベントは行わない。

・礼拝など宗教的理由での集まりは、参加者の直前PCRテストを実行すれば250人まで、実行しなければ100人までと制限される。

・葬儀に関しては30人、結婚式については50人と制限される。

・企業では従業員の出勤比率を50%までとし、できる限り在宅勤務を推奨する。

 

更に越境に関してはサーキットブレーカーに匹敵する厳しい措置が取られています:

・低リスク地域(オーストラリア、ニュージーランド、ブルネイ、中国、台湾、香港、マカオ)を除く、すべての国からの入国を禁止する。

・就労許可保持者の入国は、建設業、港湾業、加工業の人材を除いて、一律延期される。

特に、既に入国許可を取得し、入国後の隔離滞在(Stay Home Notice)の手配をしていた外国人の勤務先企業については、当該外国人人材の来星が延期されることになり、少なからず影響を受けることが決まっています。

この期間は一旦5月30日まで続くと見られており、その後の判断は経過により決されると見られています。

 

【概況~シンガポールの渡航制限】(2021年4月30日)

シンガポールと海外との行き来については、開放を進めようとする動きと、閉鎖を進める動きが同時並行で起こっています。

 

具体的には、2021年4月下旬以降、新種株も増加し、感染者が急増しているインドからの渡航者を制限する動きが強まり、そのインドから直行でなく、周辺諸国に迂回してシンガポールへ入国する動きが目立って観察されたため、従前のイギリス、インドに加えて、以下の国からのシンガポール入国も禁止されました:

・バングラデシュ

・ネパール

・パキスタン

・スリランカ

2021年5月2日以降、上記の国に14日以内の滞在記録のある旅行者(シンガポール人/永住権保持者は除くと考えられます)は、長期滞在許可、短期滞在許可、就労許可の有無にかかわらず、シンガポールへの入国もシンガポールの空港のトランジット利用も禁止されます。

また、従前には隔離滞在に緩和措置が適用されていたタイからの入国についても、指定隔離施設での14日間の滞在が義務付けられるようになりました(日本からの場合と同条件)。

 

一方、シンガポールはマレーシアとの越境再開措置を検討しており、5月17日以降、親族や友人の冠婚葬祭を主な目的とする訪問が許可されることになりました。

詳細については今後公表されることになっており、まだ必要な手続きなどはわかっていません。

さらに、シンガポールは香港と、5月26日よりトラベル・バブル(Air Travel Bubble)の対応を実施するとしています。

これは、観光目的の訪問を含む両国の往来を、出発・到着前後のPCR検査受検を条件に、隔離期間なしで認めるというもので、2020年末にも企画され、開始延期となった施策です。

条件としては、両国で感染者追跡アプリとして導入されているモバイルアプリをインストールすること、出発前の14日間、隔離滞在ではなく滞在していること、フライト当たり、200人の乗客に制限すること、などとなっており、いずれの国の平均市内感染者数が5人を超えた時点で中止となることになっています。

 

【概況~ワクチン接種状況について】

新規感染者がほぼ国外からシンガポールへ入国し、隔離期間(Stay Home Notice:SHN)を過ごす滞在者に限定されている中、シンガポールは出勤時の規制を一部緩和、これまで「可能な業種についてはすべて在宅勤務を標準の勤務体制とする」としてきた措置を変更、2021年4月5日からは、オフィス勤務を標準形態として、最大で従業員全体の75%まで出勤を許す決定をしました。

また、2021年4月24日からは、結婚式に250人まで、コンサートなどライブパフォーマンスに750人まで(ただし、現場での簡易検査あり)、葬儀(埋葬/火葬のみ)には80人まで、それぞれ許容人数が拡張されることになりました。

一方、ワクチン注射については医療・保険業務従事者、高齢者等から申し込み、接種が始まりました。

現在、60歳以上のシンガポール居住者(国民、永住権保持者、外国人長期滞在許可保持者を含む)にワクチン注射が施されており、45歳~59歳までの居住者にもワクチン注射の申し込みが始まっています。

該当する方にはSMSでメッセージが届き、オンラインで申請することが可能となっています。

https://connectatchangi.sg/

 

【入国状況~Connect@Changi】

4月5日現在、シンガポールに入国する方法は、原則として就労ビザなど長期滞在許可を取得してSafe Travel PassのEntry Approval申請を行うことに限られています。

ただし、Connect @Changiという隔離滞在兼面談用施設が開設されており、こちらは入国時にPCR検査を行えば、24時間以上、最大で14日までシンガポールのChangi空港横の施設に滞在することができます。

滞在の期間にもよりますが、入国後、3日目、5日目、14日目にもPCR検査が実施されます。また、出発前にもPCR検査を受けていることが必要となるため注意が必要です。

ガラス張りの施設でシンガポール国内の人と会議形式の面談を行い、必要であれば滅菌設備を備えた受け渡し口を通して、契約書などの書類の受け渡し、調印式などを行うこともできます。

値段は食事込みで1泊約S$400と設定されており、日本を含め、多くの国から隔離なしでシンガポールで面談することが可能になっています。

 

【一時帰国について】

※2021年5月8日以降、就労許可を保持する外国人労働者の一時帰国を含む移動は、シンガポールへの再入国ができない点、実質的に不可能な状況が続いており、以下の内容は入国禁止措置が解除された場合にのみ可能となります。

コロナとシンガポールの対応

こちらの記事の記載は、2021年3月15日です。シンガポールが外国人の入国を制限し、入国許可の取得を義務付けることを発表した、ちょうど1年後です。

この間、シンガポールは概ね2週間ごとに対応を決め、発表から約2日後に施策を実施するというテンポで、矢継ぎ早にコロナ対策を打ち出してきました。

際たるものが、4月7日から6月18日まで続いた、サーキットブレーカーです。

市民の生活にかかわる重要なサービス(Essential Services)を除いて、実質すべての人が出勤を禁じられ、外出も最小限にとどめ、集会などは罰金を以て処するという、厳しい対応を行いました。

この期間は同時に、シンガポール内国人(市民権/永住権保持者)を除いた、ほぼすべての外国人の入国を一律禁じていた期間でもあり、就労許可を有していても、国外に出ていた外国人はシンガポールへの入国が許されませんでした。

その後、6月の「回復フェーズ1」突入以降は徐々に開放を進め、9月には「回復フェーズ2」に、12月末からは「回復フェーズ3」に、それぞれ移行しました。

区域ごとにQRコードを設けて訪問者の管理をするSafe Entry、接触者をブルートゥースで記録するTrace Togetherなど、技術を駆使して感染者の拡大を抑える施策を打ち、その利用を徹底させてきました。

これにより、徐々に集会などの活動も許可されるようになり、海外労働者の暮らすドミトリーの集団感染も収束したことから、経済活動は一部の業種を除いてほぼ復活しています。

ただし、現在に至るまで、自宅でできる仕事の場合はできる限り在宅勤務(Work from Home)は継続されており、最大でも出勤者の割合が50%に収まるよう、出勤時間を調整する勧告が出されています。

一方、海外からのシンガポール入国は、一貫して制限がかけられており、今でも原則は長期滞在許可(就労許可、配偶者滞在許可、就学許可などを含む)を保持していなければ入国はできません。

一時期、2020年の9月から11月にかけて、ほぼ隔離期間を必要としないビジネストラック(Green Lane Travel)で日本とシンガポールを往復できる時期もありましたが、その後、日本をはじめとした諸外国の感染者が急増したことを受け、ビジネストラックは中断されています。

 

一時帰国の手続き

就労許可の発行を受けてシンガポールに居住している外国人は、出国先の国の方針に従って出発前のPCR検査などを受ければ、原則として一時帰国が可能です。

ビジネストラックの場合は出国先の国の在シンガポール大使館・領事館でビジネストラックを利用する旨を記したレターを発行してもらい、指定されたフォームへの記入、事前提出などが求められていましたが、隔離期間を伴う一時帰国であれば、出国時の手続きは上記出発前の検査以外、特にありません。

一方、一時帰国先からシンガポールへ再入国する際には、2021年3月現在、以下のステップを踏みます:

1.入国許可申請

2.PCR検査予約(シンガポール到着時用)

3.出発前PCR検査

4.オンライン入国カード記入

5.Safe Travel Conciergeチェックリストの完成

6.フライト~PCR検査(シンガポール到着時)

7.ホテル隔離

8.PCR検査(ホテル隔離滞在終了前)

以下、詳述します。

 

1.入国許可申請

就労許可申請主体であるシンガポール雇用主の側から、以下のサイトで担当政府当局のMOMへの入国許可(Entry Approval)を申請します(2021年3月15日より旧サイトでの申請は無効):

https://eservices.ica.gov.sg/STO/

これには、雇用主である会社の側でCorpPassが作成されている必要があり、一般的にはEP申請などを行う社内外の総務担当者が申請することになります。

入力すべき内容としては、雇用者側の連絡先、従業員側の出国先、連絡先、隔離期間後の滞在先などがありますが、雇用者側と従業員側の連絡先は併用できない点に注意が必要です。

また、新サイトでの申請では、隔離滞在の費用を支払うことが必要になりました。

費用は、一人であればS$2,150、二人であればS$2,850、という金額になります。

ここで入力した雇用者側の連絡先にメールで入国許可の結果が通知され、一方従業員の連絡先に隔離期間中MOMから連絡が入るため、いずれも真正な内容で申請することが必要です。

申請がシンガポール時間の午前中に行われれば、その日の夜中、午後に行われれば翌日の夜中に、それぞれ結果が通知されます。

基本的には、シンガポールが外国人を受け入れるキャパシティーに達していなければ許可される仕組みであり、早く申請すればそれだけ許可される可能性は高くなりますが、現状、フライト予定日の7日以上前に申請すれば、許可が下りている傾向にあります。

なお、申請が可能なのは、フライトの前日から60日前までとされており、2か月を超えて先の入国について許可申請はできません。

 

2.PCR検査予約(シンガポール到着時用)

2021年3月15日からの変更で、シンガポール到着時に、空港でPCR検査を受けることが義務付けられました。

このために、上記1.入国許可申請を完了すると、到着時のPCR検査を予約するよう指示が出されるようになりました。

具体的には、以下のリンク先サイトで予約者、シンガポール入国予定者の情報を入力し、それぞれのPCR検査の予約、および料金支払いを行う制度となっています:

https://safetravel.changiairport.com/#/

こちらは新たな要求であるため、ともすれば忘れられてしまう可能性がありますが、予約がされていなければ入国拒否、強制出国、就労許可剥奪が命じられる可能性があり、注意が必要です。

 

3.出発前PCR検査

日本が対外的に認める医療機関で、出発72時間以内にPCR検査を受け、陰性の証明を取得します。

現在、日本では、概ね1日で陰性の証明を取得することができ、こちらを空港で提示することにより、フライトが許可される形になっています。

ただし、シンガポールの国としては、外国の検査結果については重視しない傾向があり、実際にも毎日数十人、入国後の検査で陽性と判定される外国人入国者を記録しています。

このため、上記2.PCR検査予約(シンガポール到着時用)が追加されました。

 

4.オンライン入国カード記入

フライトの72時間前から2時間前までの任意のタイミングで、オンライン入国カード(SG Arrival Card)を記入します。

数年前までは航空機内で記入していた紙の入国カード(Disembarkation Card)を廃止してオンライン申請の形式にしたもので、現在は健康状態申告(Electronic Health Declaration)を兼ねています。

長期滞在許可を持たない外国人に対しては、ここから短期滞在許可(Short-Term Visit Pass)が発行され、その許可ID(Disembarkation Card No.)が記載されます。

シンガポールの入国管理局に当たるICAの以下のサイトで実行することができ、個人、集団などで手続きが可能です:

https://eservices.ica.gov.sg/sgarrivalcard/

就労許可を取得している外国人が一時帰国からシンガポールに戻る場合は、左の「Long-Term Pass Holders」のページに入って申請します。

記入後に発行される入国カードをダウンロード、プリントアウトするなどして、見せられるようにしておくことが求められます。

 

5.Safe Travel Conciergeチェックリストの完成

上記2.PCR検査予約(シンガポール到着時用)の際に利用するサイト、Safe Travel Concierge(https://safetravel.changiairport.com/#/)には、Travel Checklistとして、PCR検査を含め、以下の項目を網羅するよう求めるチェックリストが設けられています:

・Safe Travel Lane(上記1.入国許可申請)

・Pre-Travel COVID-19 Test(上記3.出発前PCR検査)

・Arrival COVID-19 Test(上記2.PCR検査予約(シンガポール到着時用)

・SG Arrival Card & Health Declaration(上記4.オンライン入国カード記入)

・TraceTogether App(スマートフォンアプリのインストール)

基本的には上記1.~4.までで網羅されているべき項目であり、最後の5.TraceTogetherのアプリインストールだけ完了させれば網羅できます。

こちらをサイト上で全て完了ステータスにしたうえで、入国することが求められています。

 

6.フライト~PCR検査(シンガポール到着時)

上記一連のステップで発行される以下の書類をプリントアウト、またはタブレットなどの端末から電子版で見せられるようにして、フライトに臨みます:

・入国許可通知メール(雇用主からメール転送)

・PCR検査陰性証明

・オンライン入国カード記入結果

到着時には空港でPCR検査を受けることになります。

 

7.ホテル隔離

シンガポールの空港(Changi Airport)に到着すると、入国審査、荷物受け取りの後、タクシーで隔離施設(Designated Facility)に移動させられます。

この施設は入国前には知ることができず、現在は市の中心ビジネスエリア(CBD)のいずれかのホテルが割り当てられています。

隔離期間(Stay Home Notice:SHN)は、2021年3月現在、日本からの入国に対して2週間とされており、自宅での滞在は許されません。

ホテル施設の空き具合にもよるとされていますが、家族帯同の場合、同一のフライトで入国した場合に限って、同じ部屋で滞在することができます。

隔離期間中はMOMからの電話、メッセ―ジが届き、指示や確認が行われます。

アプリとして「WhatsApp」、および「FWMOMCare」というアプリをモバイル端末にインストールし、連絡および一日三回の体調報告を行うことになります。

なお、隔離滞在が始まってから携帯電話のSIMを入手する場合には、以下のサイトから電話番号をMOMに通知します:

https://form.gov.sg/#!/5ebce51952407a0011696961

 

8.PCR検査(ホテル隔離滞在終了前)

シンガポール入国後のPCR検査(Swab Test)は、現在概ね隔離滞在の最終日前日に実施されることが多くなっています。

以前は検査施設まで自費でタクシーを手配して移動するということもありましたが、現在はホテル隔離滞在の場合、多くホテル内に検査官が訪れてPCR検査を行っています。

検査結果は当日の夜中から翌日の午前中にかけてSMSで通知され、それをホテルのスタッフに見せ、外出のタイミングを確認した後、入国後15日目の正午以降に隔離施設を出ることになっています。

 

以上、シンガポール就労許可保持者の一時帰国について伝えします。

※実際の状況は、上記内容と異なる場合もあります。こちらの記載内容に関わらず、メールなどメッセージの内容、担当官の指示をよく理解し、正確に従うよう努めてください。

【状況報告】「ビジネストラック、3か月間凍結」

感染力の強い新種のコロナウイルスが世界各国で報告され、数多くの地域で過去最高の新規感染者数が報告されるようになった2021年1月の状況を受け、シンガポール政府は2月1日から、ブルネイと中国の一部地域を除く各国とのビジネストラックを凍結することを決定しました。

これに先立って、2021年1月13日には、日本が世界各国とのビジネストラック一時停止を始めており、これにはシンガポールからの入国者も含まれていました。

ビジネストラック、シンガポールでGreen Laneと呼ばれる移動は、ビジネス目的で移動する場合、訪問先の会社が受け入れ機関となって申請を行い、行動範囲を原則としてホテルと訪問先企業の間のみに制限することで、感染者を広げることのない安全な活動範囲を確保し、発着の度にPCR検査を受けることで感染の危険を除去するというもので、当初は隔離期間を一切必要としないスキームで計画されました。

シンガポールはビジネスハブとしての地位を維持するためにも、各国との連携でこのビジネストラックを実現するため、積極的に外交交渉を行ってきました。

しかし、その後感染者数に増加が生じると、各国はビジネストラックの場合でも隔離期間を設けるなど、当初想定されたスキームの維持は困難になり、シンガポール自体も日本などを訪問したビジネスマンがシンガポールへ帰国した際、2週間の隔離期間Stay Home Noticeを義務付けるようになっていました。

今回のビジネストラックは期間も3か月と明確に打ち出されており、ほぼすべての国との往来には、就労ビザに当たる長期滞在許可の取得、および出発前後のPCR検査と2週間の隔離期間が義務付けられています。

 

「回復フェーズ3、計画通り年末に開始」

コロナウイルス感染経路断絶措置、サーキットブレーカーを解除し、徐々に経済活動を再開してきているシンガポールは、2020年12月28日から、回復フェーズ3に入りました。

まず、ここに至るまでの条件を確認します:
1.TraceTogetherの利用率70%
2.Safe Management措置の徹底
3.高速ウイルステストの実行可能性

この中、1.のTraceTogetherが最も明確に数字が求められる厳しい条件でしたが、トークンを発行して使用させることにより、概ね誰もがTraceTogetherを利用する状況は作られました。

次に、2.のSafe Management措置については、12月にも16店舗もの飲食施設が規則を違反して営業停止になっており、必ずしも完全に順守できているとは言えませんが、社会全体としては遵守していると理解されています。

また、3.のテスト実行可能性については、少しずつ大人数を簡易的に検査する方法が採用されつつあります。

これらに加え、また世界的にワクチンも認可され使用が開始される見込みとなったことを受けて、第3フェーズへの移行が実現したという状況です。

 

一方、第2フェーズからの変化については、可能になる活動が以下のようにまとめられます:

1.最大8人までの集団行動
2.最大8人までの訪問
3.1グループ50人ずつ、最大250人のイベント開催
4.音楽ライブパフォーマンスの再開

まず、元々5人まで出会った食事などの集まりが、最大8人まで可能になり、多くの飲食店ではテーブルを囲んでにぎやかに食事をとることが可能になります。

また、最大8人までの訪問者は、訪問を受ける側の人数を含めないため、家庭の中であれば、10人を超える集まりも可能になります。

イベントについては、飽くまでもSafe Management措置を遵守した上ではあり、必ずしもコロナ前と同様とはいきませんが、イベント会場の使用が相当長期にわたって停止していたところから、ある程度の規模で実施が可能になったと言えます。

 

さらに、12月28日からではなく、2021年1月以降ですが、バーなど一部のナイトライフ産業についても、試験的に営業再開が行われることになっています。

また、ガーデンズ・バイ・ザ・ベイなどの観光スポットも、収容率をこれまでの最大50%から、最大65%まで拡大しており、これに習う施設が出てきています。

元々、第3フェーズで有効な薬剤の到着を待ち、完全にウイルスの脅威がなくなったらコロナ対策措置を解除する、という形でサーキットブレーカーが解除されたところ、ワクチン注射も2020年末から保険業務担当者を筆頭に開始されており、シンガポールは描いたヴィジョンの通りに推移していると言えるでしょう。

 

出入国、および日星間の状況

シンガポールからの出国は、現在航空便があり、且つ入国先の滞在許可(国籍、永住権なども該当)がある限り、多くの国との間で可能とされています。

一方、シンガポールへの入国は、コロナウイルス新規感染者の推移などから身分ごと、および国ごとに、以下のように対応が分かれています:

・シンガポール人、永住権保持者であればすべての国から可能

・長期滞在許可(就労許可等)保持者については入国申請で許可されれば(英国など厳重注意対象国を除いて)概ね可能

・一部の国とはビジネストラック(正式名称はGreen Laneと言います)の枠組みを利用すれば商用訪問も可能

・観光での訪問は一部の国との間でのみ、Air Travel Passという枠組みの中で可能

(※2月1日現在、多くの地域でGreen LaneおよびAir Travel Passは凍結されております。)

 

また、日本-シンガポール間での行き来の詳細は以下の通りです:

1.日本人長期滞在許可保持者のシンガポールから日本への出張

https://www.mofa.go.jp/a_o/na/page22e_000928.html

 

1.1.基本情報

・対象者:日本人長期滞在許可保有者(EP、DP、S-Pass、PEP、EntrePass、LTVP)

(※シンガポール人/永住権保持者の場合は旅程(Schedule of Activities in Japan)の提出は不要)

・日本滞在中の病院滞在等をカバーするため、個人の医療保険に加入する

・LINE、COVID-19 contact tracing、およびMapのアプリケーションをインストールする

※日本到着後、空港でもチェックされる

・以下の場合は違反者となり、その後の申請が却下される

  • 14日間のLINEによる健康状態の報告を怠った場合
  • 検査結果で陽性と判定され、保健所の調査を受け、COVID-19 contact tracingを使用していなかったことが判明した場合

 

1.2.申請の流れ

・シンガポールから日本への出発14日前まで、毎日体温を測って記録すること

※37.5度以上の熱や呼吸器官の異常、倦怠感があれば、出張は取り消す

※シンガポール滞在期間が14日以内なら免除

・記録を事前に提出する必要はなく、航空機内で質問表(Questionnaire)に記載する

・在シンガポール日本大使館で宣誓書(Written Pledge)の写しと行動予定表(Schedule of Activities in Japan)を提出し、カバーレター(Cover Letter)を取得する

・カバーレターで指示された通り、出発の72時間前までにPCR検査を受検する

・PCR検査で陰性の結果が出たら、証明書として原本とその写し持参する(書面が必要)

・必要書類(下記)を持参してシンガポールを出発、日本へ入国する

・入国後14日間は受入会社側に毎日健康状態を報告、受入会社はLINEで出張者の健康状態を日本語で報告する(出張者本人がLINEで日本語で報告できる場合は自分で行う)

・健康労働保険省指定のCOVID-19 contact tracingのアプリケーションをインストールし、入国後14日間稼働させておくこと

※ダウンロード:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/cocoa_00138.html

・出張者はMapのアプリケーションで日本入国後14日間所在地の記録をつける

※詳細:https://www.mhlw.go.jp/content/000652555.pdf

 

1.3.必要書類

・宣誓書(Written Pledge):原本2部

※ダウンロード:https://www.mofa.go.jp/files/100094421.pdf

・行動予定表(Schedule of Activities in Japan):原本2部

※ダウンロード:https://www.mofa.go.jp/files/100094422.pdf

・カバーレター(Cover Letter):原本またはデータ

※シンガポールへ再入国する際に提出が求められるため、所持することが必要

・PCR検査結果:原本およびその写し

※検査結果はフォーマットが違ってもよいが、英語で以下の内容が網羅されていること:

  • 個人情報(氏名、パスポート番号、国籍、生年月日、性別)
  • 検査機関の正当性、結果、検査データ採取日、検査結果確定日、検査結果発行日
  • 検査医療機関情報(名称、所在地、医師氏名、医師署名)

※検査結果等はデータで受領することも可能だが、日本到着に際しては書面で提出する

 

2.日本からシンガポールへの出張の場合

https://safetravel.ica.gov.sg/japan/rgl/requirements-and-process

2.1.基本内容

・用語は以下の通り:

  • 保証人(Sponsor):政府機関またはシンガポール法人による保証人申請が必要
  • 受入法人(Host):受入側政府機関または法人、シンガポール法人の場合は上記保証人(Sponsor)と同一
  • SafeTravel Pass:日星ビジネストラック申請サイト(https://form.gov.sg/#!/5f43764f9b0ffc001135ead4)
  • 日本政府提供のPCR検査:サイトにリストアップされた機関で提供される検査https://www.meti.go.jp/press/2020/07/20200703002/20200703002-1.pdf
  • 行動制限旅程(Controlled Itinerary):入国後14日間につき、事前に提出し承認されるための旅程(実質、宿泊施設とビジネス実行場所のみ)、フォーマットに沿って記載する(https://safetravel.ica.gov.sg/files/controlled_itinerary_sample.docx
  • アプリ(Mobile Application):政府機関指定のアプリ2種:TraceTogether(https://www.tracetogether.gov.sg)およびSafeEntry(https://www.safeentry.gov.sg

・日本居住者(Resident in Japan)にのみ適用

・出発は東京(成田、羽田)と大阪(関空)のみ

・申請は出発から7~20営業日以内

・週次で人数制限あり

・申請後の申請内容変更(訪問場所の追加など)は不可

 

2.2.条件

・個人情報取り扱いに合意すること

・条件に適う場合のみ承認、規則が守られなければ承認の取り消し、将来の申請は不許可

・シンガポール入国日前(当日を除く)に14日間日本に滞在していた事実があること

・フライトおよび宿泊施設の情報は事前提出が必要=申請前に予約することが必要

・宿泊施設は住宅(Residence)不可、個別トイレのある個室に限定される

・SafeTravel Passで事前申請を行い、承認が得られたら、以下を提出:

  • 72時間以内に受検し陰性と証明された、日本政府機関の提供するPCR検査の結果
  • シンガポール内での旅程(宿泊施設とビジネス実行場所のみ)
  • フライト番号と到着時間詳細

・上記と別に、到着日から3日以内に、健康状態および滞在場所の記録をSG Arrival Card上で提出していること

・出張者がシンガポール滞在中にTraceTogether等アプリが使用可能な端末を保持していない場合、受入法人(Host)により端末が提供されること

・滞在日数が15日を超えない滞在の場合、日本帰国前のPCR検査は免除

 

2.3.出張者向け注意事項

・SafeEntry passのスクリーンショットを保存すること

・当局からの電話またはSMSによる出張者位置確認に即座に応答すること

・規則の違反者には出張者滞在許可(Visit Pass)の取消、および将来の申請が不許可になる

・出発時に以下の書類の提出を求められる(書面、データ可):

  1. 承認後のSafeTravel Pass
  2. ビザ(必要な場合)
  3. PCR検査の陰性証明書
  4. 日本への帰国時のフライト、および空港までの移動についての証明

・到着時、入国管理局(Immigration)でも上記(a. ~ d.)の書類を提出(書面、データ可)

・到着後にも自費でPCR検査を受検する

・空港から宿泊施設まで、受入法人(Host)の手配した交通手段で移動する

・到着後のPCR検査の結果を宿泊施設で待つ

・万が一行動制限旅程外に行く必要が発生した時は、受入法人(Host)に事前に通知する

・以下、行動規則を遵守する:

  1. TraceTogether and SafeEntryのアプリをダウンロードする
  2. 一日2回、朝夕に、体温、呼吸器官の状態などを受入法人(Host)に報告する
  3. 万一行動制限旅程外に行く必要が発生した時は、受入法人(Host)に事前通知する
  4. 社用車、ハイヤーされたタクシーを除いて、公共交通機関を使用しない
  5. 職場などビジネス実行地でも、MOMのSafe Management Measuresを遵守する
  6. Safe Management Measuresに則った商用の会食を除き、出張者は単独で食事をとる
  7. ミーティング出席者は自己を含めて10人までに限定する

・帰国後、アプリ使用のため受入法人(Host)により提供された端末は出発前に受入法人(Host)に返却されること

・出張者個人の端末の場合、シンガポールから帰国した後少なくとも14日間はTraceTogetherのアプリをアンインストールせず、また万が一その後のPCR検査で陽性の結果が出た場合には、日本に帰国後少なくとも14日間はデータの更新を続けること

 

2.4.受入法人(Host)向け注意事項

・受入法人(Host)は指定アプリの使用を含め、出張者の規則の遵守を監視、保証すること

・違反者が出た場合には当該出張者の滞在許可は取消、その後の申請は却下される

・受入法人(Host)は空港から出張者の宿泊施設までの移動手段を確保する

・万一出張者が申請された旅程以外の場所に行くことになった場合、受入法人(Host)は保証人(Sponsor)政府機関または通商産業省(MTI)に、可能な限り早期に連絡する

・出張者が陽性と判明するか、その疑いが出た場合は、受入法人(Host)は保証人(Sponsor)政府機関または通商産業省(MTI)に可能な限り早期に連絡する

・出張者に端末を提供した場合、出張者が帰国後少なくとも14日間はTraceTogetherのデータを維持し、万が一その後のPCR検査で陽性と判定された場合、帰国後少なくとも14日間はデータのアップロードを続ける

・受入法人(Host)と出張者は強制帰国や帰国前の拘留にかかる費用を含め、規則に違反した場合の費用を共同で負担することに了承する

 

なお、現在も以下の条件付きで、経済活動が許可されています。

  • 外部で人が集まるのは8人まで可
  • 自宅に人を招いて集まることも、訪問者8人まで可
  • ソーシャルディスタンス(1m以上の間隔維持)の取り組みは継続
  • 飲食店での店内食、フィットネス、家庭教師、個人レッスン等は再開可
  • 小売店、公園、スポーツ施設、プール、ゴルフコース、遊園地、ボーリング場などは再開可
  • 同好会などは登録の敷地内で会合実施可
  • 予防措置履行の上で、養護施設の訪問可
  • 高齢者に対する健康施設、伝統中国医療、美容、中高年向け活動施設は段階的に再開を指示
  • マスクの着用、セーフディスタンシングは引き続き実施が必要
  • 宗教的集まりなどは、50人ずつのグループに分かれて最大で250人まで可能
  • 高齢者は引き続き自宅待機を継続
  • 飲食店での10:30以降の酒類の提供は厳禁
  • ライブ音楽の提供は検査環境が整っていれば可能
  • カラオケ施設、バー、ナイトクラブ、映画館、劇場、図書館、博物館、その他文化施設、娯楽施設は再開不可
  • その他インドア/アウトドアのアトラクションについても再開は検討中
  • ショッピングモール、その他小売業については人数制限を実施する
  • その他、オフィスワーカーなどは、可能な限り在宅勤務を行う

 

また、同時に海外からのシンガポール入国も許可される幅が増え、6月18日以降、就労許可を持つ従業員に関し、含む以下の国からの入国が許可されるとしています:

  • オーストラリア(ヴィクトリア州を除く)
  • ニュージーランド
  • ブルネイ
  • 中国(マカオを含む)
  • 台湾
  • 韓国
  • ベトナム

ただし、入国前には専用オンラインフォームで申請して入国許可を取得する必要があり、また、そこでswabテストを受けることを了承することになります(S$185程度)、また、入国後には14日間の外出禁止措置が取られます。

日本、香港、オーストラリア・ヴィクトリア州を含む、上記以外の地域からの入国も可能ではありますが、入国に際しては上記swabテストに加え、外出禁止期間を隔離施設で過ごすことが求められます。また、その費用(S$2,140程度)は当該従業員または雇用者の会社が支払うよう求められるため注意が必要です。

背景としては、日本国内で感染者数が再度急上昇を始めたことを受け、7月20日以降、日本からの入国者に対して警戒が強まったことがあります。

 

国内の概況(2021年3月15日時点

 

感染者数:60,105人

死亡者数:30人

 

シンガポールは3月以降、入国者を制限、原則的に外国人旅行者・労働者の入国をゼロにすることで、国外から輸入される感染者をゼロにしていました。

国内ではサーキットブレーカー(感染経路断絶)の措置が取られ、住民は徹底的に外出を制限されていましたが、外国人労働者の集中する複数の宿舎(ドミトリー)で集団感染が起き、徹底された検査で連日数百人の新規感染者が報告されたため、感染者数ではASEAN地域の中でも高い数字となっています。

8月10日でこのドミトリー居住者の検査が概ね完了し、新規感染者数は100人程度に抑えられるようになりましたが、それ以外での感染者も引き続き発生し続けており、厳しい管理体制が続けられています。

一方、高齢者の多い社会の割には死亡者数は抑えられており、徹底した感染抑え込みの対応と、高度な医療体制が生存者を増やしています。

現在のPhase 3はCOVID-19の特効薬やワクチンができるまでの間で、一定程度の感染拡大防止措置を講じながら、基本的にはすべての経済活動を再開させるというものです。その後は一切の制限がなくされることになっています。

経済対策としては、2020年度予算として「復興と連帯の予算(Resilience and Solidarity Budget)」が追加で打ち出され、Job Support Scheme(JSS)による従業員給与補助、各企業や個人を助ける家賃補助を目的とした補助金支給が続いています。

倒産企業数はこれまでかなり低く抑えられており、失業者数も急増はしていませんが、産業によっては回復にまだ相当長期間を要するとみられるところもあり、慎重な経営判断が求められます。

 

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情報確保のために

 

シンガポールに関する情報は、以下のような政府機関のホームページ掲示、政府機関に登録して受け取るメール通知などで見ることができます。

 

・ビジネスに対する制度全般についてはGoBusiness(https://covid.gobusiness.gov.sg/)

・国内一般情報については厚生省MOH(https://www.moh.gov.sg/covid-19

・労務については人的資源省MOM(https://www.mom.gov.sg/covid-19

・ビジネス支援についてはEDB(https://www.edb.gov.sg/en/news-and-events/news/edb-advisory-on-the-covid-19-coronavirus-disease-2019-for-businesses.html

・税務についてはIRAS(https://www.iras.gov.sg/irashome/web/pages/latestUpdatesListing.aspx

・企業コンプライアンスについてはACRA(https://www.acra.gov.sg/announcements/acra’s-support-measures-and-guidance-for-businesses-during-covid-19

 

また、スマートフォンアプリ、WhatsAppによる政府の通知サービスも構築されており、以下のサイトから登録することで毎日情報を受け取ることができます:

https://www.form.gov.sg/#!/5e33fa3709f80b00113b6891

 

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サーキットブレーカー(感染経路切断措置)解除に向けて:

 

シンガポール政府の認める「重要サービス従事者(Essential Service Provider」を除いて、原則すべての企業に従業員の出勤、外出を控えさせ、テレワーク(Telecommuting)を強制する措置、サーキットブレーカーが続いていましたが、6月1日をもって解除されました。

その後は段階的に経済活動が再開されることになっており、6月2日からはフェーズ1として、フェーズ2、フェーズ3を経て、完全に正常化されることが企画されています。

現在は政府サイトGoBusiness(https://covid.gobusiness.gov.sg/)にて、コロナウイルス拡散防止の取り組み、企業の義務などが網羅された情報が提供されており、基本的にはその指示に従うことが求められています。

特に、感染者拡大防止のために企業と個人が行うべきとされている対応が二つあります:

1.Safe Entry:建物や部屋など住所のついた場所にQRコードを設けて訪問者が逐一その出入りを記録するもの

2.TraceTogether:各人がBluetoothで他人との接触をモニターし、いつだれが誰と接触したか記録するもの

いずれもスマートフォンを通してインターネットの技術を最大限に利用したモニタリング方法ですが、アプリとしてはTraceTogether一本に集約され、常にBluetoothをつけておくことで接触を記録、同じアプリでQRコードを読み取ってSafeEntryも実行できるように工夫されています。

 

EPを取得して日本からシンガポールに赴任する場合、現行のルールでは以下のような流れでEPを取得することになります。

 

1)企業によるEP申請

myMOM Portal(https://www.mom.gov.sg/eservices/services/mymom-portal)という専用サイトが立ち上げられ、EP/S-Passの申請に関してはこちらで実行することが必要です。

元々のポータルサイト、EP Onlineでの申請の際には求められなかった情報として、上記JobsBank等シンガポール住民用の求人広告の掲載情報を詳しく記載する欄が設けられ、また当該EP発行対象の外国人がシンガポール法人の関係会社に属する人材かどうかも申告することになりました。

関係会社の従業員である場合、本国関係会社における組織図を提出する必要が生じ、簡易なものでも上司部下の関係を図示してPDF/JPEGファイルなどでアップロードすることになります。

 

2)IPA~入国申請

申請内容に問題がなければIPAが発行されます。

これをもって、MOMのサイト(https://form.gov.sg/#!/5e3cbabee41f590012014e91)で入国申請を行い、入国日を確定させます。

入国申請では、入国後14日は外出禁止(Stay Home Notice)措置を受けることとなること、その間、政府の指定する施設(概ねシンガポール政府の借り上げた有名ホテル)で過ごすことになること、同外出禁止期間中にPCR検査(現地では「Swab test」と呼ばれます)を受けること、その全てが会社または本人負担(合計で約S$2,200~S$2,700程度)で行われることを、了承する必要があります。

また、入国期間は申請日の翌日から30日後までの期間で選択できますが、選択した日の前後1日ずつを加えた、合計72時間の時間枠で入国することが求められ、2日以上入国日をずらすことはできません。

 

3)入国~外出禁止措置

入国時、上記外出禁止措置の対応については厳重に注意がなされます。

従前は機内で入国カードとして受け取り記載していたDisembarkation Cardが廃止され、オンラインで申請、発行されるオンライン入国カード(SG Arrival Card)の方式に代わっています。

専用サイト(https://eservices.ica.gov.sg/sgarrivalcard/)で「Foreign Visitors」の側を選択し、必要情報を記入します。

入国後は速やかに専用施設に移動し、「Homer」というスマートフォンアプリをダウンロードして、14日間自分の健康状態を記録することになります。

ここで重要なのが、シンガポールでSMSを受け取れる現地の携帯電話番号を入手していることが必要である点です。コンビニでパスポートを見せればプリペイドカードを購入することはできますが、入国後にコンビニまで行くことができないケースもあるため、会社と協力して事前に手配しておくことが推奨されます。

 

4)顔写真・指紋登録~カード受け取り

外出禁止措置、およびPCR検査で問題がなければ、14日目の正午に外出が可能になります。

会社側にEPの発行を依頼し、オンライン(https://www.mom.gov.sg/eservices/services/make-an-appointment)でアポイントメントを取得して、顔写真・指紋登録を行います。

このEP発行(EP Issuance)の際、該当のEP対象者は既に住居を確定している必要がありますが、会社で契約する場合を除き、外出禁止期間中に手続きすることは難しい点にも注意が必要です。

顔写真・指紋登録が完了すると、「3週間以内にカードを配達する」というメモが手渡されますが、基本的には従前と同じく、5営業日(ちょうど一週間後)で配達されるケースがほとんどです。なお、シンガポールでの就労は通常、シンガポールの法人等から給与所得を受け取ることを意味しますが、SGDでの給与受け取りに必要な個人銀行口座の開設に関しても、従来必要であった就労許可のカードを免除し、Notification Letterを持参して事情を説明すれば開設してもらえるところが出てきています。

 

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シンガポール政府による経済対策

 

国内の人の動きが封じられれば、消費が落ち込み、生産が途絶え、経済成長は鈍化し、大量の失業者を生み出すであろうことは、十分に予想されます。

シンガポール政府はこれに対し、まず企業を存続させ、従業員の雇用を維持することが、国の経済を保つ最も重要な措置だと認識しました。

 

2020年度予算案で64シンガポールドルの経済支援パッケージを打ち出したのに続き、補正予算として484シンガポールドル、更にその後51シンガポールドルを投入する計画を発表しています。

以下にその主な配分方法を挙げます:

 

1.Job Support Scheme(雇用援助スキーム)

シンガポール国籍/永住権保持者の従業員を抱える企業に対し、月額給与(CPF申告金額を基準にする)の一定割合をIRASから払い戻す経済対策です。

払戻しは直接企業の銀行口座に充てて行われ、CPFの申告が行われていれば、特に手続きは必要ありません。

 

援助の割合は業種によって以下の3つに区分されています:

A.航空業、観光業、ホテル業:75%

B.飲食業:50%

C.上記以外の全業種:25%

 

上限は一人当たりS$4,600とされており、四半期ごとにまとめて振り込まれます。

初回については全業種75%まで割合が引き上げられ、2020年2月の従業員の給与金額から計算して、4月の15日に振り込まれました。

 

この全業種75%までの割合引き上げ措置は、サーキットブレーカーの6月1日までの延長を受けて5月も継続されることが発表されました。

 

さらに、これまで対象となっていなかった株主かつ取締役である従業員(Shareholder-Director)についても、2019年度の収入でS$100,000未満の部分については、JSSが適用されるようになりました。

 

2回目は5月の給与金額から計算して7月中旬に支給されること、3回目は8月の給与金額から計算して10月中旬に支給されることが、それぞれ決まっています。

 

2.Enhanced Wage Credit Scheme(拡張型昇給補助スキーム)

国民の教育水準と生産性を高め、所得の増大を推進しているシンガポールでは、企業にも昇給を積極的に行うよう呼びかけられています。

 

今回のCOVID-19による経済の停滞が懸念される中でも、この動きは継続しており、基本月給S$5,000までのシンガポール国籍/永住権保持者の昇給については、その15%を政府が負担し、12か月分の負担分が翌年3月に払い戻されることになっています。

 

こちらは手続きが必要なスキームであるため、詳細も把握して申請をすることになります:

https://www.iras.gov.sg/IRASHome/Schemes/Businesses/Wage-Credit-Scheme–WCS-/

 

3.各種税金の緩和

内国税務局(IRAS)の施策として、以下の援助が差し出されています:

 

A.法人所得税(CIT)支払いの延長(4月~6月分が7月~9月へ、その後も3か月後ろ倒し

B.個人所得税(IIT)の申告期間の延長(4月15日までの期限が5月末へ)

C.固定資産税(Property tax)の免除(30%~100の免除、同金額はテナントへ還元)

D.家賃減免NEAHDBSLAなど所管のテナントには1~3か月分の家賃が免除)

E.外国人雇用税減免(3~5月分の同金額が免除、S$750ずつの還元が行われる)

 

4.資金調達援助

主にスタートアップ企業の財政援助を行ってきているEnterprise Singaporeが、企業一般がローンを組むための援助を、以下の要領で打ち出しています:

 

A.Enterprise Financing Scheme:S$10,000,000までのTrade Loan、およびS$1,000,000までのSME Working Capital Loanにつき、政府側がリスク負担の90%を引き受ける

B.Loan Insurance Scheme:デフォルトを起こした場合の担保として使えるローン保険を特定の銀行と組む場合、その保険料の80%を政府が負担する

C.Temporary Bridging Loan Programme:2020年3月までに申請されるS$5,000,000までのローンについて、政府側がリスク負担の90%を引き受ける

 

ただし、上記ローンの対象は30%以上の株式がシンガポール国籍/永住権保持者に保有されているような企業に限定されており、すべての企業が対象ではないため注意が必要です。

 

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労務関連

 

国内でも経済の停滞が決定的となった状況下で、シンガポール政府は矢継ぎ早に雇用に対する指針を発表しています。

 

全国賃金評議会(National Wages Council)は3月30日、賃金ガイドラインを打ち出し、企業は労働組合に加入しているか否かを問わず、また管理職であるか否かを問わず、以下の優先順位で可能な限り従業員の雇用を守るよう呼びかけました:

 

  1. 給与以外のコスト削減、余剰人員の活用を検討する
  2. ビジネスコストを削減するため、政府支援を最大限活用し、労働変革を推進する
  3. 給与の削減を行う
  4. 最終手段として、ガイドラインに基いた責任ある方法で解雇を実施する

参考(ガイドライン全文):https://www.mom.gov.sg/newsroom/press-releases/2020/0330-national-wages-council-2020-2021-guidelines

 

上述のJob Support Scheme(JSS)など、給与面ではかなりの支援がもたらされますが、オフィス家賃やその他固定費をカバーする売り上げがあげられない場合には、雇用を維持するのも難しくなります。

 

政府からは最後の手段として実施すべきとされていますが、整理解雇(Retrenchment)を実施することで、少しでも負担を軽くするという判断が必要になるかもしれません。

 

ただし、4月~5月については原則としてすべてのシンガポール国籍/永住権保持者の給与に75%のJSSが設けられているため、同金額以上の給与が従業員に支払われない場合、また無給休暇を取らせる措置や整理解雇を行って従業員の給与がゼロになった場合は、企業側に問題があるとみられる可能性があります。

 

この点、従業員が「政府からの補助金を分配していない」と訴えを起こすと、MOMが調査を実行、場合によっては今後のJSSを受け取れなくする措置も取られると発表されています。

 

一方、COVID-19が原因で解雇された従業員(シンガポール国籍/永住権保持者)については、月額S$800の政府援助が最大で3か月支給されることになっています。

 

解雇に踏み切る場合にも、こうした事情を考慮したうえで、従業員と話し合って合意した雇用解除とすることが望ましく、合意の証として条件を明示した書面に従業員の署名を取り付けるなどすることが推奨されます。

 

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会計・監査関連

 

上述のサーキットブレーカー措置により、在宅勤務などが課されている状況下では、スケジュール通りに会計作業などを完了するのも難しいという配慮から、会計監査、財務報告、個人所得税税務申告等の期限の猶予が拡大されています。

 

1.法定申告期限の延長

2019年12月末が会計年度末の企業については、その財務報告書の提出に際して、以下のように猶予が拡大されています:

 

年次株主総会(AGM)および年次会計報告(AR)の期限延長

元々のAGMの期限 AGMの期間(延長後) ARの期限(延長後)
2020年4月16日~4月30日 2020年6月15日~6月29日 2020年7月15日~7月30日
2020年5月1日~5月31日 2020年6月30日~7月30日 2020年7月31日~8月29日
2020年6月1日~6月30日 2020年7月31日~8月29日 2020年8月30日~9月29日
2020年7月1日~7月31日 2020年8月30日~9月29日 2020年9月30日~10月30日

 

2.書類対応の実情

会計・監査・税務の作業を引き受ける会計事務所などの法人は、サーキットブレーカーの実施後、原則として自宅勤務となっています。

 

紙面の確認が必要なところでは書類の受け渡しに遅れが生じる可能性もありますが、2018年以降、殆どの書類が電子コピーの確認で済まされることになり、メールなどデータのやり取りで監査も完結するところが多く、自宅勤務であってもほとんどの会計事務所では滞りなく作業が実施されています。

 

また、問い合わせ対応こそ遅くなる場合があれ、税務署も通常通り営業していることから、GSTや源泉所得税(Withholding Tax)の申告は遅滞なく行うべきと考えられます。

 

※)記載しました内容は、作成時点で得られる情報をもとに、最新の注意を払って作成しておりますが、最新情報等アップされましたら、随時内容を更新させて頂きます。

 

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近藤 貴政 (Kondo Takamasa)

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