【シンガポール】COVID-19状況報告及び対策一覧(6月15日更新)

【新着!】「シンガポール、第二回復フェーズへ!」

 

6月2日より、感染経路断絶措置サーキットブレーカーを解除し、徐々に経済活動を再開していくとしてフェーズ1に入っていたシンガポールでは、6月15日、政府が公式発表にて、感染者数の安定的推移が確認できたとして、以下の通り、条件付きで多くの経済活動を再開させることをを発表しました。

  • 外部で人が集まるのは5人まで可
  • 自宅に人を招いて集まることも5人まで可
  • ソーシャルディスタンス(1m以上の間隔維持)の取り組みは継続
  • 飲食店での店内食、フィットネス、家庭教師、個人レッスン等は再開可
  • 小売店、公園、スポーツ施設、プール、ゴルフコース、遊園地、ボーリング場などは再開可
  • 同好会などは登録の敷地内で会合実施可
  • 予防措置履行の上で、養護施設の訪問可
  • 高齢者に対する健康施設、伝統中国医療、美容、中高年向け活動施設は段階的に再開を指示
  • マスクの着用、セーフディスタンシングは引き続き実施が必要
  • 宗教的集まりなど、リスクの高い活動は控える
  • 高齢者は引き続き自宅待機を継続
  • 飲食店でのライブ音楽の提供、10:30以降の酒類の提供は厳禁
  • カラオケ施設、バー、ナイトクラブ、映画館、劇場、図書館、博物館、その他文化施設、娯楽施設は再開不可
  • その他インドア/アウトドアのアトラクションについても再開は検討中
  • ショッピングモール、その他小売業については人数制限を実施する
  • その他、オフィスワーカーなどは、可能な限り在宅勤務を行う

 

また、同時に海外からのシンガポール入国も許可される幅が増え、6月18日以降、就労許可を持つ従業員に関し、日本を含む以下の国からの入国が許可されるとしています:

  • オーストラリア
  • ニュージーランド
  • ブルネイ
  • 中国(香港・マカオを含む)
  • 台湾
  • 日本
  • 韓国
  • ベトナム

ただし、入国時にはswabテストを有料で実施する必要があり(最大S$214)、入国後には14日間の外出禁止措置が取られます。

また、上記以外の国からの入国も可能になる傾向にありますが、入国に際しては上記swabテストに加え、外出禁止期間を隔離施設で過ごすことが求められます。また、その費用(S$2,140程度)は当該従業員または雇用者の会社が支払うよう求められるため注意が必要です。

 

国内の概況(6月15日時点

 

感染者数:40,818人

死亡者数:26人

 

シンガポールは3月以降、入国者を制限、原則的に外国人旅行者・労働者の入国をゼロにすることで、国外から輸入される感染者をゼロにしています。

国内ではサーキットブレーカー(感染経路断絶)の措置が取られ、住民は徹底的に外出を制限されていましたが、外国人労働者の集中する複数の宿舎(ドミトリー)で集団感染が続いており、徹底された検査で連日数百人の新規感染者が報告されているため、感染者数ではASEAN地域の中でも際立って多く記録されています。

一方、高齢者の多い社会の割には死亡者数は抑えられており、徹底した感染抑え込みの対応と、高度な医療体制が生存者を増やしています。

 

ただし、経済的な影響も深刻になり始めていることを受け、サーキットブレーカーは6月1日までで解除、その後は段階的に国内の活動を正常化させていくことが決まっています。

現在は3つのフェーズのうち、フェーズ1(初期)に当たり、接触の少ない環境下ではオフィス勤務等も許され、理髪等生活に必要な活動は許可されていますが、外出は必要不可欠なものに限定するよう、各社申請が求められる状況が続いています。

 

オフィスへ入構するにもGoBusinessというサイト(https://www.gobusiness.gov.sg/)で翌日の移動を申告、許可を得てのみ、週2回に限定して入ることが許される状況です。

 

Phase 2はできる限りすべての業種で正常に経済活動を再開させつつも、クラスター感染の起こりやすいタイプの活動を一律制限し、段階的に集団が生じる施設も解放していく予定です。

 

Phase 3はCOVID-19の特効薬やワクチンができるまでの間で、一定程度の感染拡大防止措置を講じながら、基本的にはすべての経済活動を再開させるというものです。その後は一切の制限がなくされることになっています。

 

経済対策としては、2020年度予算として「復興と連帯の予算(Resilience and Solidarity Budget)」が追加で打ち出され、Job Support Scheme(JSS)による従業員給与補助、各企業や個人を助ける家賃補助を目的とした補助金支給が続いています。

倒産企業数はこれまでかなり低く抑えられており、失業者数も急増はしていませんが、産業によっては回復にまだ相当長期間を要するとみられるところもあり、慎重な経営判断が求められます。

 

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情報確保のために

 

シンガポールに関する情報は、以下のような政府機関のホームページ掲示、政府機関に登録して受け取るメール通知などで見ることができます。

 

・ビジネスに対する制度全般についてはGoBusiness(https://covid.gobusiness.gov.sg/)

・国内一般情報については厚生省MOH(https://www.moh.gov.sg/covid-19

・労務については人的資源省MOM(https://www.mom.gov.sg/covid-19

・ビジネス支援についてはEDB(https://www.edb.gov.sg/en/news-and-events/news/edb-advisory-on-the-covid-19-coronavirus-disease-2019-for-businesses.html

・税務についてはIRAS(https://www.iras.gov.sg/irashome/web/pages/latestUpdatesListing.aspx

・企業コンプライアンスについてはACRA(https://www.acra.gov.sg/announcements/acra’s-support-measures-and-guidance-for-businesses-during-covid-19

 

また、スマートフォンアプリ、WhatsAppによる政府の通知サービスも構築されており、以下のサイトから登録することで毎日情報を受け取ることができます:

https://www.form.gov.sg/#!/5e33fa3709f80b00113b6891

 

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サーキットブレーカー(感染経路切断措置)解除に向けて:

 

シンガポール政府の認める「重要サービス従事者(Essential Service Provider」を除いて、原則すべての企業に従業員の出勤、外出を控えさせ、テレワーク(Telecommuting)を強制する措置、サーキットブレーカーが続いていましたが、6月1日をもって解除されました。

その後は段階的に経済活動が再開されることになっており、6月2日からはフェーズ1として、フェーズ2、フェーズ3を経て、完全に正常化されることが企画されています。

現在は政府サイトGoBusiness(https://covid.gobusiness.gov.sg/)にて、コロナウイルス拡散防止の取り組み、企業の義務などが網羅された情報が提供されており、基本的にはその指示に従うことが求められています。

特に、感染者拡大防止のために企業と個人が行うべきとされている対応が二つあります:

1.Safe Entry:建物や部屋など住所のついた場所にQRコードを設けて訪問者が逐一その出入りを記録するもの

2.TraceTogether:各人がBluetoothで他人との接触をモニターし、いつだれが誰と接触したか記録するもの

いずれもスマートフォンを通してインターネットの技術を最大限に利用したモニタリング方法ですが、その管理のしやすさから、Safe Entryが特に普及していると言えます。

 

以下に、気を付けたい点を述べていきます。

 

①重要サービスの種類:

  • 飲食(デリバリーのみ可)
  • 医療関係
  • 物流関係(運送、倉庫)
  • その他ライフライン/インフラ関係(エネルギー、水道、ゴミ、環境整備)
  • 建築/設備のメンテナンス
  • 防衛
  • 製造/配達
  • 銀行
  • 法律
  • その他

 

詳細は政府サイト参照(英文):https://covid.gobusiness.gov.sg/essentialservices/

 

②外出規制:

上記主要サービス提供者には、以下のリンクから一般に主要サービスを提供するための外出が認められます(1回きりの申請で有効):

https://form.gov.sg/#!/5e87c80db9fb330011c9473e

それ以外のサービス提供者には、以下のリンクから、時間限定で外出する権利が付与されます(回数制限あり):

https://www.gobusiness.gov.sg/exemptions/login

こうした免除申請を行うことなく外出している従業員についても、取り締まりは厳しく実行されており、外国人であれば就労許可の取り上げ、雇用者には新規就労許可の申請・更新の2年間停止など、厳しい措置が実行されているため、軽く見てはいけません。

 

③入国規制:

特に外国人の入国について、すべての国から一律入国が制限されています。

入国後は発熱の有無などに従って、14日間の検疫(Quarantine)または自宅待機(Stay Home Notice)が課せられていましたが、現在は一律ホテルまたは医療機関で検疫を受けることになっています。

 

また、外国人労働者で既にシンガポールでの就労許可を得ている人であっても、一旦国外に出てしまえば再入国の際にはMOMからの許可を得る必要があります。

仮就労許可IPAが発行されている外国人労働者についても同様で、入国許可の申請は以下のホームページから可能ですが、4月16日現在、ほぼすべての申請が却下される状況となっています。

https://form.gov.sg/#!/5e3cbabee41f590012014e91

 

IPAが発行され、入国まで完了している人については、通常就労開始までに以下の工程を経る必要があります:

1.本人の住居の確定(IPAのみで実行可能)

2.入国カード(Disembarkation Card)の情報に基づきオンラインで就労許可発行(Issuance)手続き

3.指紋および顔写真登録

4.就労許可カードの受け取り(登録住所への配送に対応)

 

上記のうち、MOMのサービスとして3.と4.が停止しているため、現状は2.の手続きまでしかできません。この場合でも、Notification Letterが発行されていれば、就労は可能と判断されています。

 

なお、シンガポールでの就労は通常、シンガポールの法人等から給与所得を受け取ることを意味しますが、SGDでの給与受け取りに必要な個人銀行口座の開設に関しても、従来必要であった就労許可のカードを免除し、Notification Letterを持参して事情を説明すれば開設してもらえるところが出てきています。

 

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シンガポール政府による経済対策

 

国内の人の動きが封じられれば、消費が落ち込み、生産が途絶え、経済成長は鈍化し、大量の失業者を生み出すであろうことは、十分に予想されます。

シンガポール政府はこれに対し、まず企業を存続させ、従業員の雇用を維持することが、国の経済を保つ最も重要な措置だと認識しました。

 

2020年度予算案で64シンガポールドルの経済支援パッケージを打ち出したのに続き、補正予算として484シンガポールドル、更にその後51シンガポールドルを投入する計画を発表しています。

以下にその主な配分方法を挙げます:

 

1.Job Support Scheme(雇用援助スキーム)

シンガポール国籍/永住権保持者の従業員を抱える企業に対し、月額給与(CPF申告金額を基準にする)の一定割合をIRASから払い戻す経済対策です。

払戻しは直接企業の銀行口座に充てて行われ、CPFの申告が行われていれば、特に手続きは必要ありません。

 

援助の割合は業種によって以下の3つに区分されています:

A.航空業、観光業、ホテル業:75%

B.飲食業:50%

C.上記以外の全業種:25%

 

上限は一人当たりS$4,600とされており、四半期ごとにまとめて振り込まれます。

初回については全業種75%まで割合が引き上げられ、2020年2月の従業員の給与金額から計算して、4月の15日に振り込まれました。

 

この全業種75%までの割合引き上げ措置は、サーキットブレーカーの6月1日までの延長を受けて5月も継続されることが発表されました。

 

さらに、これまで対象となっていなかった株主かつ取締役である従業員(Shareholder-Director)についても、2019年度の収入でS$100,000未満の部分については、JSSが適用されるようになりました。

 

2回目は5月の給与金額から計算して7月中旬に支給されること、3回目は8月の給与金額から計算して10月中旬に支給されることが、それぞれ決まっています。

 

2.Enhanced Wage Credit Scheme(拡張型昇給補助スキーム)

国民の教育水準と生産性を高め、所得の増大を推進しているシンガポールでは、企業にも昇給を積極的に行うよう呼びかけられています。

 

今回のCOVID-19による経済の停滞が懸念される中でも、この動きは継続しており、基本月給S$5,000までのシンガポール国籍/永住権保持者の昇給については、その15%を政府が負担し、12か月分の負担分が翌年3月に払い戻されることになっています。

 

こちらは手続きが必要なスキームであるため、詳細も把握して申請をすることになります:

https://www.iras.gov.sg/IRASHome/Schemes/Businesses/Wage-Credit-Scheme–WCS-/

 

3.各種税金の緩和

内国税務局(IRAS)の施策として、以下の援助が差し出されています:

 

A.法人所得税(CIT)支払いの延長(4月~6月分が7月~9月へ、その後も3か月後ろ倒し

B.個人所得税(IIT)の申告期間の延長(4月15日までの期限が5月末へ)

C.固定資産税(Property tax)の免除(30%~100の免除、同金額はテナントへ還元)

D.家賃減免NEAHDBSLAなど所管のテナントには1~3か月分の家賃が免除)

E.外国人雇用税減免(3~5月分の同金額が免除、S$750ずつの還元が行われる)

 

4.資金調達援助

主にスタートアップ企業の財政援助を行ってきているEnterprise Singaporeが、企業一般がローンを組むための援助を、以下の要領で打ち出しています:

 

A.Enterprise Financing Scheme:S$10,000,000までのTrade Loan、およびS$1,000,000までのSME Working Capital Loanにつき、政府側がリスク負担の90%を引き受ける

B.Loan Insurance Scheme:デフォルトを起こした場合の担保として使えるローン保険を特定の銀行と組む場合、その保険料の80%を政府が負担する

C.Temporary Bridging Loan Programme:2020年3月までに申請されるS$5,000,000までのローンについて、政府側がリスク負担の90%を引き受ける

 

ただし、上記ローンの対象は30%以上の株式がシンガポール国籍/永住権保持者に保有されているような企業に限定されており、すべての企業が対象ではないため注意が必要です。

 

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労務関連

 

国内でも経済の停滞が決定的となった状況下で、シンガポール政府は矢継ぎ早に雇用に対する指針を発表しています。

 

全国賃金評議会(National Wages Council)は3月30日、賃金ガイドラインを打ち出し、企業は労働組合に加入しているか否かを問わず、また管理職であるか否かを問わず、以下の優先順位で可能な限り従業員の雇用を守るよう呼びかけました:

 

  1. 給与以外のコスト削減、余剰人員の活用を検討する
  2. ビジネスコストを削減するため、政府支援を最大限活用し、労働変革を推進する
  3. 給与の削減を行う
  4. 最終手段として、ガイドラインに基いた責任ある方法で解雇を実施する

参考(ガイドライン全文):https://www.mom.gov.sg/newsroom/press-releases/2020/0330-national-wages-council-2020-2021-guidelines

 

上述のJob Support Scheme(JSS)など、給与面ではかなりの支援がもたらされますが、オフィス家賃やその他固定費をカバーする売り上げがあげられない場合には、雇用を維持するのも難しくなります。

 

政府からは最後の手段として実施すべきとされていますが、整理解雇(Retrenchment)を実施することで、少しでも負担を軽くするという判断が必要になるかもしれません。

 

ただし、4月~5月については原則としてすべてのシンガポール国籍/永住権保持者の給与に75%のJSSが設けられているため、同金額以上の給与が従業員に支払われない場合、また無給休暇を取らせる措置や整理解雇を行って従業員の給与がゼロになった場合は、企業側に問題があるとみられる可能性があります。

 

この点、従業員が「政府からの補助金を分配していない」と訴えを起こすと、MOMが調査を実行、場合によっては今後のJSSを受け取れなくする措置も取られると発表されています。

 

一方、COVID-19が原因で解雇された従業員(シンガポール国籍/永住権保持者)については、月額S$800の政府援助が最大で3か月支給されることになっています。

 

解雇に踏み切る場合にも、こうした事情を考慮したうえで、従業員と話し合って合意した雇用解除とすることが望ましく、合意の証として条件を明示した書面に従業員の署名を取り付けるなどすることが推奨されます。

 

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会計・監査関連

 

上述のサーキットブレーカー措置により、在宅勤務などが課されている状況下では、スケジュール通りに会計作業などを完了するのも難しいという配慮から、会計監査、財務報告、個人所得税税務申告等の期限の猶予が拡大されています。

 

1.法定申告期限の延長

2019年12月末が会計年度末の企業については、その財務報告書の提出に際して、以下のように猶予が拡大されています:

 

年次株主総会(AGM)および年次会計報告(AR)の期限延長

元々のAGMの期限 AGMの期間(延長後) ARの期限(延長後)
2020年4月16日~4月30日 2020年6月15日~6月29日 2020年7月15日~7月30日
2020年5月1日~5月31日 2020年6月30日~7月30日 2020年7月31日~8月29日
2020年6月1日~6月30日 2020年7月31日~8月29日 2020年8月30日~9月29日
2020年7月1日~7月31日 2020年8月30日~9月29日 2020年9月30日~10月30日

 

2.書類対応の実情

会計・監査・税務の作業を引き受ける会計事務所などの法人は、サーキットブレーカーの実施後、原則として自宅勤務となっています。

 

紙面の確認が必要なところでは書類の受け渡しに遅れが生じる可能性もありますが、2018年以降、殆どの書類が電子コピーの確認で済まされることになり、メールなどデータのやり取りで監査も完結するところが多く、自宅勤務であってもほとんどの会計事務所では滞りなく作業が実施されています。

 

また、問い合わせ対応こそ遅くなる場合があれ、税務署も通常通り営業していることから、GSTや源泉所得税(Withholding Tax)の申告は遅滞なく行うべきと考えられます。

 

※)記載しました内容は、作成時点で得られる情報をもとに、最新の注意を払って作成しておりますが、最新情報等アップされましたら、随時内容を更新させて頂きます。

 

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近藤 貴政 (Kondo Takamasa)

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